文学

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立冬

今日は立冬。 冬というほどではないにしても、近頃めっきり冷えてきました。 家ではセーターの上から綿入れ半纏を着て、職場ではフリースを羽織って膝かけをかけてしのいでいます。 体重が激減してから、寒さが一際こたえます。 わが国では、夏と冬の和歌が少なく、春と秋のそれが多いとされています。 わが国の美意識では、過酷な夏や冬は詠みにくかったのかもしれませんねぇ。 昔は冷房は無いし、暖房も心細いものだったでしょうから、私たちが想像する以上に、夏も冬もしんどい季節だったのでしょう。 そんな中、冬の初めの和歌をいくつか。 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 百人一首にも採られた凡河内躬恒の和歌です。原色小倉百人一首―朗詠CDつき (シグマベスト)鈴木 日出男,依田 泰,山口 慎一文英堂 霜で白菊の花だかなんだか分からなくなってしまったその白菊を折ってみようというわけで、素朴な味わいの、しかしきれいな和歌ですねぇ。 冬には冬の楽しみがあるとでも言いたげです。 秋はいぬ 風に木の葉は散はてて 山さびしかる 冬は来にけり  木の葉散 秋も暮にし 片岡の さびしき森に 冬は来にけり ...
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文化功労者

歌人にして国文学者の岡野弘彦先生がこのたび、文化功労者に選ばれました。 御年89歳。 国文学者・民俗学者としては折口信夫(おりくちしのぶ)、歌人としては釈迢空(しゃくちょうくう)の名で活躍した大先生の愛弟子であった方です。古代から来た未来人 折口信夫 (ちくまプリマー新書)中沢 新一筑摩書房 昭和54年から平成20年まで、長きにわたって歌会始の撰者を務め、同時に皇族の和歌指南を務めていただけに、このたびの文化功労者は遅きに失した感があります。 私は大学生の頃、岡野先生に源氏物語を学びました。 授業科目の名は中古文学概論でしたが、概論とは名ばかりで、実際は演習でした。 ある時は羽織袴、ある時は英国紳士風のブレザー姿で現れる洒落者で、しかもロマンチストで涙もろい人で、源氏物語のすばらしさを解説しつつ、思わず感極まって声を詰まらせるということが何度もありました。 また、たいへん厳しい講義で、文学部の学生なのにずいぶん勉強に時間を取られ、バブルまっただ中でもあり、騙されたような気分がしました。 当時、秋篠宮殿下が紀子妃殿下と結婚することが決まり、花嫁修業の一環として和歌の指南を仰せつかったはよ...
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野分

台風27号が接近中です。 しかも大型で強いとか。 つい先週、台風26号の影響で首都圏の交通網は麻痺したばかり。 今度の台風は、土曜日に首都圏に最接近するそうで、通勤には影響しないのが救いと言えば救いです。 ただ、私は日曜日にイベントがあるため出勤の予定。 台風の速度が少し遅れれば、日曜日であっても影響を受ける可能性無しとしません。 うん十万円もかけてポスターやチラシを作成して関係機関にばらまき、準備おさおさ怠りなく進めてきたこともあり、無事に開催したいものです。 古く、私たち日本人は台風なんていう無粋な言葉を使いませんでした。 台風という言葉の意味とはぴったり一致するわけではありませんが、野分と言いましたね。 最も野分というと、雨より強風のイメージが強いですが。  鳥羽殿へ 五六騎急ぐ 野分哉 与謝蕪村の句です。 与謝蕪村と言う人、史実に材を採った句を残しており、これもその一つかと思われます。 鳥羽殿とは、平安期に主に上皇が利用していた鳥羽離宮のことですが、この句では、後白河法皇が平清盛によって幽閉された事件を指しているものと思われます。 京都の自宅で台風に怯えながら、俳人は鳥羽離宮に...
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日本教信者

昨夜、韓国で生まれ育ちながら日本教信者を自認し、日本に帰化した呉善花先生の「私はいかにして日本信徒となったか」を読みました。私は、いかにして「日本信徒」となったか (WAC BUNKO)呉善花ワック 韓国の田舎で生まれ、都会に憧れてソウルの高校に入学し、ヨーロッパに憧れて当時西ドイツが多くの韓国人看護師を受け入れていると聞いて看護学校に進むも、西ドイツが政策を転換するや退学し、なぜか職業軍人になります。 軍は4年ほどで辞め、今度は米国留学を夢見ますが、当時韓国人が米国のビザを取るのは至難の業であったため、とりあえず日本に留学し、それを足掛かりにして米国留学を目指そうと決意します。 この時、もう27歳。 しかも強い反日教育を受けた最初の世代とあって、日本といえば悪魔の国と答えるほど、ガチガチの反日意識を持ったまま、米国留学のための方便だと自分に言い訳しつつ、東京にやってきます。 1980年代初頭のことです。 当時すでに日本は経済成長をとげ、やがて来るバブルの予感に浮かれていたわけですが、韓国はまだ貧しく、初めての東京生活は驚きの連続だったそうです。 風呂トイレが付いた1DKのアパートを借...
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レンタル彼氏

世の中には不思議な職業があるものですねぇ。 昨日、夕方のニュース・ショーを見ていたら、近頃、レンタル彼氏なる商売が繁盛していることを知りました。 女性が若いイケメンとご清潔なデートを楽しむためにお金を払う、というシステムのようです。 主に20代前半の男性とのデートを、20代から50代の幅広い層の女性が利用しているとか。 冷え切った夫婦関係に不満を持つ主婦、夫の浮気が原因で離婚したシングル・マザー、若くして管理職となって年上の部下との関係性に苦しむ独身女性などなど。 中には男性と話をするのが怖いのでそれを克服したい、という切実な悩みを抱えた女性もいるようです。 レンタル彼氏に採用されるのは、100人中3人か4人という狭き門。  採用の条件は、ホスト経験が無いこと、清潔感があること、聞き上手であること、気配りが細やかなこと、そしてもちろん、若くてイケメンであること、だそうです。ホスト経験が無い、という条件が、主に中高年女性の性欲を満たすイメージがある出張ホストと異なる点でしょうねぇ。 面白いのはホスト経験があってはいけないことですかねぇ。 普通のデートのような楽しさを求める女性には、素人っ...
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