文学

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憂国忌

今日は憂国忌。 三島由紀夫と森田必勝が市ヶ谷の自衛隊駐屯地で決起すべしと檄を飛ばすも、ほとんどの自衛官から罵倒され、切腹して果てた日です。 同性愛関係にあった三島由紀夫と森田必勝の情死と解説する人もいますね。 芸術家が狂気を孕んでいることは、多くの人が指摘していますが、あれほどシニカルで、冷静な筆致の作品群を生み出した三島由紀夫ですら、幻の美しい日本を求めて、狂気としか思えない自死を遂げるとは、芸術家というものの業を感じずにはいられません。 45歳の若さで亡くなってしまいました。 自決の日の朝書き上げたと伝えられる「豊饒の海」の第4部「天人五衰」も、その後狂気の自殺を遂げる人とは思えない、冷静な筆で、しかも読者をあっと言わせるような装置を仕掛けています。天人五衰―豊饒の海・第四巻 (新潮文庫)三島 由紀夫新潮社 彼の魂はいかなる変遷を遂げ、幻に殉じる覚悟を決める地平にまで辿り着いたのでしょうね。 三島由紀夫は海外でも高く評価されていたため、切腹という時代錯誤な自殺方法は、わが国の評判を貶しめました。 その後、緒方拳主演で「Mishima」という映画が日米合作で製作されています。Mish...
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永久機械

今朝は変に冷え込みましたねぇ。 道行く人も、多くがコートやダウンを着こんでいました。 季節は確実に冬に向かっているようです。 地球温暖化が嘘のように、今年の冬は寒いとの長期予報も出ています。 北海道や東北では早くも積雪が始まっています。 若い頃は、冬のピリピリした感じの空気が好きでしたが、いつの間にやら大の苦手になってしまいました。 数日前から、股引きを履いています。 いざという時格好悪いですが、私にはもう、いざという時なんて無いだろうと思っています。 わだの原 生れてやがて消えてゆく 浪のあをきに 秋かぜぞ吹く 相むかひ 世に消えがたき かなしみの 秋のゆふべの 海とわれとあり ゆふぐれの 沖には風の 行くあらむ 屍のごとく 松にもたるる いずれも若山牧水の歌集「独り歌へる」に見られる晩秋の和歌です。若山牧水歌集 (岩波文庫)伊藤 一彦岩波書店 いずれも寂しい感じ、メランコリックな感じが出ていて、惹きこまれます。 この人、酒を歌うと急に意地汚くなってしまう悪癖がありますが、季節や景色に仮託しておのれの孤独な心情を歌わせると右に出る者がいません。 石川啄木ほど嫌らしい感じが無く、きれい...
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ベスト・セラー

過去、世界で売れた書籍のベストセラー・ランキングを目にしました。 1位は、言わずと知れた「聖書」。 これは鉄板でしょうねぇ。 で、イスラム教の聖典「コーラン」が2位なのかと思いきや、さにあらず。 「コーラン」は3位だそうです。 となると、2位は何なんだ、と思うのが人情。 2位は、「毛沢東語録」だそうです。 なるほど。 中国は人口が多いですからねぇ。毛沢東語録―付・奪権闘争を論ず (1971年) (角川文庫)竹内 実角川書店 但し、1位と2位では大分差があります。 1位の「聖書」は約50億部。 2位の「毛沢東語録」は約9億部だそうです。 毛主席、著作の売り上げだけで相当稼いだんでしょうねぇ。 かのヒトラー総統も個人資産のほとんどは「わが闘争」の売上だったと言いますし。わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫)平野 一郎,将積 茂角川書店わが闘争(下)―国家社会主義運動(角川文庫)平野 一郎,将積 茂角川書店続・わが闘争―生存圏と領土問題 (角川文庫)Adolf Hitler,平野 一郎角川書店 ほとんどキリスト教徒がいないはずのわが国でも、かなり安いビジネス・ホテルに泊まっても「聖書」...
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立冬

今日は立冬。 冬というほどではないにしても、近頃めっきり冷えてきました。 家ではセーターの上から綿入れ半纏を着て、職場ではフリースを羽織って膝かけをかけてしのいでいます。 体重が激減してから、寒さが一際こたえます。 わが国では、夏と冬の和歌が少なく、春と秋のそれが多いとされています。 わが国の美意識では、過酷な夏や冬は詠みにくかったのかもしれませんねぇ。 昔は冷房は無いし、暖房も心細いものだったでしょうから、私たちが想像する以上に、夏も冬もしんどい季節だったのでしょう。 そんな中、冬の初めの和歌をいくつか。 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 百人一首にも採られた凡河内躬恒の和歌です。原色小倉百人一首―朗詠CDつき (シグマベスト)鈴木 日出男,依田 泰,山口 慎一文英堂 霜で白菊の花だかなんだか分からなくなってしまったその白菊を折ってみようというわけで、素朴な味わいの、しかしきれいな和歌ですねぇ。 冬には冬の楽しみがあるとでも言いたげです。 秋はいぬ 風に木の葉は散はてて 山さびしかる 冬は来にけり  木の葉散 秋も暮にし 片岡の さびしき森に 冬は来にけり ...
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文化功労者

歌人にして国文学者の岡野弘彦先生がこのたび、文化功労者に選ばれました。 御年89歳。 国文学者・民俗学者としては折口信夫(おりくちしのぶ)、歌人としては釈迢空(しゃくちょうくう)の名で活躍した大先生の愛弟子であった方です。古代から来た未来人 折口信夫 (ちくまプリマー新書)中沢 新一筑摩書房 昭和54年から平成20年まで、長きにわたって歌会始の撰者を務め、同時に皇族の和歌指南を務めていただけに、このたびの文化功労者は遅きに失した感があります。 私は大学生の頃、岡野先生に源氏物語を学びました。 授業科目の名は中古文学概論でしたが、概論とは名ばかりで、実際は演習でした。 ある時は羽織袴、ある時は英国紳士風のブレザー姿で現れる洒落者で、しかもロマンチストで涙もろい人で、源氏物語のすばらしさを解説しつつ、思わず感極まって声を詰まらせるということが何度もありました。 また、たいへん厳しい講義で、文学部の学生なのにずいぶん勉強に時間を取られ、バブルまっただ中でもあり、騙されたような気分がしました。 当時、秋篠宮殿下が紀子妃殿下と結婚することが決まり、花嫁修業の一環として和歌の指南を仰せつかったはよ...
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