文学

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その世とこの世

昨夜は京懐石の店(なぜか千葉にある)で結婚26周年のお祝いをしました。 京都で長年修行したという板前が10年前に開いた店で、まぁまぁ満足できました。 良い夜だったと思います。 今日は「その世とこの世」という、大詩人の谷川俊太郎とライターのブレイディみかこの往復書簡集を読みました。 150ページ程度ですので、すぐに読み終わりました。その世とこの世谷川 俊太郎岩波書店 タイトルのその世とこの世は、あの世とは別にその世があり、世界はこの世とその世とあの世で成り立っている、という示唆に富んだ書簡から取ったものです。 詩人とライターという関係性ですが、幽霊とお化けの話から、ウクライナ戦争やコロナ禍の話、果てはトランスヒューマニズムという一種の未来の人間の在り方を規定しようとする思想の話まで出てきて、スリリングな内容になっています。 少々昨日の酒が残っている身には、読みやすくて興味深い書簡集だったと思います。
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永遠と横道世之介

横道世之介3部作の最後、「永遠と横道世之介」を読み終わりました。 上下2巻。 合わせて700頁に及ぶ長編です。 第1作では大学1年生の一年間を、第2作では就職に失敗してバイトで過ごす24歳の1年間を、今作ではまがりなりにもプロのカメラマンとなった39歳の世之介が描かれています。 お調子者で誰からも好かれる世之介。 唯一、女性からはもてません。 今作では、30歳でお付き合いした薄幸の女性との思い出が頻繁に語られます。 世之介が彼女に出会った時、すでに彼女は余命2年の宣告を受けていました。 しかし世之介は、彼女に「早く出会えて良かった」と言います。 2年遅かったら彼女は亡くなっていたと思うと、2年といえど長い年月なのかもしれません。 短い夏の思い出も、クリスマスの思い出も、2回だけ。 それでも世之介にとっては最高の彼女なのです。 彼女と死に別れて後、新しい彼女と付き合うことになりますが、あろうことか最初の告白の時に、「2番目に好き」と言ってしまいます。 死に別れた彼女が永遠に一番ということでしょうか。 世之介にとって最高の人生はリラックスして生きること。 世之介は実際にそうやって生きていま...
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おかえり 横道世之介

今朝はなんだかひどく体が重く、起き上がる気が起きなかっので、思い切って休暇を取りました。 あらかじめ申請してあった休暇と違い、何となく罪悪感がありますが、仕方ありません。 重い頭でベッドから出ずに読書しました。 かねて読み進めていた「おかえり 横道世之介」を読み終わりました。おかえり横道世之介 (中公文庫 よ 43-5)吉田 修一中央公論新社 前作では18歳から19歳にかけての、大学1年生という設定でしたが、続編では24歳にして就職に失敗し、バイトとパチンコに明け暮れながらぼんやりと写真家を目指す姿がゆるーく描かれています。 舞台が小岩のせいか江戸川区出身の私には親しみやすい物語でもありました。 いわゆる良い人であることが唯一の取柄のゆるーい横道世之介、それでも生きていかなければなりません。  死なないかぎり生きていかなければならないのは当然のことで、私もまた、あと30年だか20年だか生きなければなりません。 現役で働いている間は難しいと思いますが、退職したならば、自己実現を目指そうと思うのも、誰もが同じことなのかもしれません。
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イノセント・デイズ

昨日はどこに出かけるでもなく、読書をして過ごしました。 読んだのは「イノセント・デイズ」という小説です。イノセント・デイズ(新潮文庫)早見和真新潮社 早見和真という作家の本です。 この人の小説を読むのは初めてです。 書店で見て、興味を持ちました。 ミステリー、ということになるんでしょうか。 私には文芸作品のように感じられました。  30歳の確定死刑囚の女が処刑される日から物語は始まります。 その後に死刑囚の生い立ちや性格、生まれ育った環境等が友人や恋人らの視線から語られます。 とりわけ小学生時代の仲良しグループで、秘密基地で遊んだ男の子が長じて弁護士になっており、弁護士は女囚に再審請求を勧めますが、拒否されます。 女囚は死刑を怖れてはいません。 それどころか、早期の執行を望んでさえいます。 女囚は短い生涯のなかで、必要とされること、愛されることに飢えてきました。 そういうことがほとんど無かったのです。 太宰治の「人間失格」ではありませんが、生まれてきてごめんなさい、というセリフまで飛びだします。人間失格 (新潮文庫)人間失格【新潮文庫】 (新潮文庫 (た-2-5)) 治, 太宰治, 太...
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横道世之介

昨夜は吉田修一の長編「横道世之介」を読みました。 平易な読みやすい文章と、テンポ良く転がる物語の世界に引き込まれ、文庫本で470頁強の小説を、少々夜更かしして最後まで読んでしまいました。 青春小説ということになるんでしょうね。 主人公の横道世之介はバブル全盛期に長崎県の片田舎から大学進学のため上京します。 時に18歳。 大学名は明記されませんが、武道館で入学式をやったとか、武道館から歩いて大学に戻るとかいった描写があり、法政大学で間違いないと思います。 作者のプロフィールを見ると長崎県出身で法政大学卒業とありますから、かなりデフォルメしてあるにせよ、作者自身がモデルになっているものと思われます。 18歳から19歳の、大学一年生の1年間が月ごとに章立てされ、描かれます。 バイトやサークル、恋に友情等、青春小説のエキスとでも言うべきものがたっぷりと盛られ、飽きさせません。 バブル全盛期に大学生活を送ったのは私と同じ。 作者の年齢が55歳、私が54歳ですから、あの狂乱の時代をともに大学生として生きていたわけです。 嫌でも親近感がわくというものです。 時折横道世之介をめぐる人々、友人だったり恋...
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