文学 今から思えば
今から思えば、あなたがワーグナーの、シンフォニーを聴きはじめたのが、二人の別れていく、印になった。 さだまさしの「シンフォニー」に見られるフレーズです。 それこそ、今から思えば腹に落ちる歌詞であると言わざるを得ません。 男がシンフォニー、わけてもワーグナーのシンフォニーを愛好し始めたなら、もはや男女の関係は切れる他ないでしょう。 ワーグナーの音楽がどれほど男を魅了し、この世ならぬ世界に導くかは、あまりにも明白です。 ナチがワーグナーの音楽を常に宣伝に使ったことは歴史的事実で、第二次世界大戦の敵であった米軍でさえ、ベトナム戦争の際には、兵士の士気高揚にワーグナーの音楽を多用しました。 映画史上最高の戦争映画である「プラトーン」においては、歴戦の勇士である兵士が、基地で、一夜、酒とマリファナに溺れる場面があります。 明日をも知れぬ身であればこそ、酒やマリファナに溺れる気持ちも分かりますが、それを国家が出来ようはずもないので、せめてワーグナーの音楽で兵士の気分を盛り上げたというわけでしょうか。 はるか昔、23年も前のことで、もはや時効でしょうから、あえて告白しますと、私は一度だけ、酒とマリフ...