
尊属殺人
昨夜は19世紀末の米国で起こった実際の殺人事件に取材したサスペンス「モンスター」を鑑賞しました。 リジー・ボーデン事件とよばれるもので、夫婦が何者かによって惨殺され、次女のリジー・ボーデンが逮捕されますが無罪となり、結局迷宮入りした事件です。 この映画では、無罪となったリジー・ボーデンこそ真犯人として描いています。 主演の女優の妖しい演技はじつに魅力的です。 彼は教会で子供たちの教師をやったり、ボランティアに精を出したりする模範的少女の顔と、虚言癖があり、盗みも働く、悪な面を持っています。 映画は一見法廷劇のようですが、圧巻は、彼女が無罪放免となった後、自宅に帰り、ただ一人の家族となった姉の耳元で、真実をささやくシーンです。 すなわち、凶行の詳細をひそひそ声でささやくのです。 姉は手が震え、涙を流し、荷物をまとめて出て行ってしまいます。 それを冷笑をうかべて見送るリジー・ボーデンの歪んだ表情が、じつに心に残ります。 実話を基にしているので、やや退屈のそしりは免れません。 また、なぜ彼女が父親と継母を斧で10回以上切りつけるという残虐な方法で殺害に及んだのか、その動機がもう一つ伝わってき...