思想・学問

スポンサーリンク
思想・学問

追悼 コリン・ウィルソン先生

昨日の新聞、死亡欄に、小さくコリン・ウィルソン先生が逝去された旨を伝える記事が掲載されていました。 享年82。 私は小さな記事を見つけて、衝撃を受けました。 その死よりも、扱いの小ささに。 私にとっては高校から大学にかけて、最も興味深く読んだ思想家の一人だったからです。 先生は貧しい家庭に生まれ育ち、中学卒業と同時に工場労働者となります。 しかし、ほどなく職を辞し、大英博物館に通いつめて思いのたけを執筆。 この間、野宿生活を送っていたと伝えられます。 実存主義哲学に基づき、社会の常識の中で生きることが出来ず、社会秩序の外に身を置く芸術家らを取り上げた「アウトサイダー」が大ヒット。  後に怒れる若者たちを生み出すきっかけになったとも言われています。アウトサイダー(上) (中公文庫)中村 保男中央公論新社アウトサイダー(下) (中公文庫)中村 保男中央公論新社 以来、先生は様ざまなジャンルに興味を示し、多くの評論、小説を手がけました。 先生は正統的なアカデミズムの世界に身を置いた経験が無いことから、いわゆる正統な学者からは蛇蝎の如く嫌われていましたが、そんなことは関係なく、興味の赴くままに...
思想・学問

あそこの分かれ道で

今日、無事3本の会議を終えて、帰宅しました。 疲れますねぇ。 熱い湯につかり、今、粗末なつまみでウィスキーのロックをちびりちびりとやっています。 明日は日曜出勤の振替でお休み。 一息つけます。 サラリーマンは時間を切り売りして禄を食んでいる生き物ですから、何より自由な時間を持てることが嬉しいですねぇ。 そのうえ今日は冬のボーナスが振り込まれたのですよ。 一時期に比べると金額は落ちましたが、それでもやっぱり嬉しいですねぇ。 まぁ、そのためにつまらぬ仕事に耐えているわけですが。 つまらぬ中にも小さな喜びがないわけではありません。 懸案事項がうまく片付いたとか。 しかし強欲な私は、小さな喜びを生きがいにして、日々の晩酌を楽しみに生きるのは耐えられないと思いながら、もう22年間もサラリーマンを続けてしまいました。 さだまさしに、「主人公」と言う歌がありました。 時をさかのぼるチケットがあれば、欲しくなるときがある。あそこの、分かれ道で、選びなおせるならって、という歌詞が、40代半ばを迎えたおじさんの私には心にしみます。 しかしそれは、絶対に不可能なこと。 その時々に、これが精一杯と思って選んで...
思想・学問

メタ認知能力

メタ認知能力という言葉を最近知りました。 メタボリック症候群のメタとは何の関係もありません。 Metacognitiveの略だそうです。 新しい言葉なので、和訳は難しいですが、相対的に、とか俯瞰的に、とか言った意味になるようです。 主に教育学者や教育心理学者などが唱え始めたそうで、メタ認知能力が高いと、大人になってからの収入や社会的地位が有意に高いそうです。 どう定義づけられているかというと、 ① 能力を監視する知識 ② 知っているということを知っていること ③ 認知していることの認知 ④ 自分の理解していることを理解すること となるそうです。 平たく言えば自分の能力や知識を客観的、かつ俯瞰的に自覚する能力ということになりましょうか。 これは国語や算数などの授業科目の優劣以上にその後の人生に大きな影響を与える能力で、就学前からの家庭での教育や、就学後は学習に対する保護者の態度によって決まるとされ、先天的、遺伝的な才能はほとんど関係ないとか。 就学前においては、ルールは守るとか、人に親切にする、とか言った基本的な道徳を教え込むことによって、就学後は、学習に対して過干渉でも放任でも駄目で、...
思想・学問

霊的存在

夕刻、マンションの一階広場で、奇妙な老紳士を見かけました。 2秒ほどで消えてしまったところをみると、霊的存在であったのかなと思います。 私は時折、そういう存在を見かけます。 しかし、恐怖を感じたことはありません。 なぜならそういう存在には物理的な力を行使する能力が無いからです。 思うに、この世を構成する存在は、我々生きている者だけではなく、霊的存在も含まれると思います。 ビッグ・バンでこの世が生まれたという説を信じるならば、霊的存在もまた、その後に生まれたはずです。 また、クロマニヨン人とかネアンデルタール人の幽霊を見たという話を聞いたことがありませんが、落ち武者の幽霊を見たという話は聞いたことがありますので、幽霊にも、この世に残れる寿命があるのだと思われます。 しょせん、誰にも分からないことです。 私の少ない経験から言って、幽霊と呼ばれる存在は怖くありません。 気味悪くはありますが、物理的な力を発揮することはできませんので、むしろこちらがしっかりしていれば、幽霊が生身の人間を怖れるのではないかと思います。 人間必ず死にます。 死んだならば、死を自覚して次なるステージに進むのが圧倒的多...
思想・学問

道徳の授業化

近頃一流ホテルやデパートなどに出店する高級レストランが食材を偽装表示していた事件が次々に発覚し、責任者は判で押したように、「知らなかった」だの「偽装表示ではなく誤表示だ」だの、醜い言い訳を繰り返しています。 ささやき女将で有名になった船場吉兆はその後廃業においこまれましたが、吉兆嵐山本店は今、1人あたりの客単価が世界一高いことで知られています。 また、ある京都の老舗の料亭の女将が、客に「これほどの味を出せるのだから、支店を出したらどうか」と勧められ、「屏風と食べ物屋は広げたら倒れますのや」と応えたと聞きます。 個人が商いをしている店があんまり店を広げれば、主人の考えが行き届かなくなるということでしょう。 逆に、大手チェーン店などは、細かいマニュアルを作って社員を教育し、どの店に行っても同じようなサービスを提供できるように努力しているようです。 結局、倫理規範や道徳の問題に行き着くでしょうね。 400年も前、江戸時代の儒者は、商売は商人と客が互いに利益になるように行うべきで、人を損させて儲けようとするのは商人の道に反する、と説いています。 商人には商人の、農民には農民の、職人には職人の、...
スポンサーリンク