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思想・学問

箸礼讃

日本の家庭では、大抵お茶碗と箸は自分の物はこれ、と決まっています。 お父さんは大きくて青っぽいお茶碗に太くて木製の箸、お母さんは赤っぽくて小さめのお茶碗に細めの塗り箸、坊っちゃんはアニメのキャラクターが描いてあるお茶碗に小さなお箸、という具合。 ところが、欧米では、ナイフやフォークが誰のもの、と決まってはいないようです。 大体どれも似たような銀色で大きさも変わりがありませんから、当然といえば当然です。 欧米では、誰それのフォーク、という習慣がないかわりに、マイナプキンが決まっているそうです。 旅行や外出にマイ箸を持ち歩く自称エコな人が近頃頻出しているようですが、欧米ではマイナプキンを持ち歩く人が多いとか。 なんでかな、と思ったら、「身辺の日本文化」という本に、興味深い記述をみつけました。 ヨーロッパで一般庶民がナイフとフォークを使うようになったのは、ほんの200年ほど前からだ、というのです。 それまでは、スープは木製のスプンで、パンやおかずは手づかみで食していたため、非常に手が汚れる。 そのため、ナプキンは必需品で、それぞれ自分のナプキンを持っていたらしいのです。 なんでもロシア革命の...
社会・政治

大風呂敷

昨日は菅総理の所信表明演説がありましたね。 さすがに幾多の修羅場をくぐり抜けてきた大政治家だけあって、じつに立派な演説でした。 私は非常に感銘を受けました。 社会保障について、与野党が党派を超えて討議と合意形成を進めるべき、とおっしゃっていました。 まったくそのとおり。 我が意を得たり。 しかし民主党が野党のころ、頑強に自民党の呼びかけを拒否し、反対のための反対を貫いたのは、他ならぬ菅総理でした。 TPPについて、自民党は、3月中に党の賛否をはっきりさせる意向を明らかにしている、とおっしゃいました。 では民主党はいつ、どういう方向で賛否をはっきりさせるのでしょうか。 よその党や那覇地検などの役所に責任を押し付けるのは菅総理の得意技とみえます。 『国民の知る権利』の強化を図る、とは驚きました。 海上保安庁の監視船に中国の漁船が体当たりしてきた映像をひた隠しにしたのは、民主党執行部。 そのせいで海上保安庁の優秀な職員が一人職を失いました。 仙谷前官房長官は、犯罪行為、と断じていましたが、それは民主党執行部が作った犯罪と言うほかありません。 語るに落ちるとはこのことです。 政権を取る前、民主...
文学

屍鬼

最近インフルエンザが猛威をふるっているそうですね。 私は五年前インフルエンザにかかり、大変な思いをしたことから、その後毎年11月に予防接種を受けるようにしており、今のところ健康です。 インフルエンザに限らず、高熱が出ると、意識がおかしくなって、幻覚を見たり幻聴を聞いたり悪夢にうなされたりしますね。 私は繰り返し、吸血鬼の幻覚に悩まされました。 吸血鬼といっても、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」のような、吸血鬼でござい、という格好をしているわけではありません。 見た目は全く普通のおっさんやおばさん、にいちゃん、ねえちゃんが、病気の私を心配するようにベッドに近づいてきて、いきなりガブッとくるわけです。 敵だと思いもしなかった相手に攻撃されることほど怖ろしいことはありません。 インフルエンザから回復して、シンクロニシティ(必然性のある偶然、共時性ともいう)を感じる出来事がありました。 読もうと思って買っておいた長いホラー小説を回復してから読んだら、まるで私が見た幻覚とそっくりなのです。 その小説は、「屍鬼」と言います。 ある小さな村に洋館が建ち、ある一家が引っ越してきたことから、事件は発生...
社会・政治

異動拒否

横須賀市役所で、昨年4月1日付けで窓口サービス課から港湾総務課へ異動を命じられた40歳の主任が、命令を無視して窓口サービス課に出勤し続け、昨年12月に停職一カ月の処分を受けたそうですね。  サラリーマンから見ると信じられない行動ですが、なんと停職明けの今日、性懲りもなく窓口サービス課に出勤し、港湾総務課に出勤するよう説得していた人事課長が転倒してけがをする、という事件があったとか。 説得は会議室で行っていたとのことで、何があったかは不明ですが、主任が暴力をふるったのだとすれば、言語道断、懲戒免職にすべきでしょう。 4月1日に異動の辞令を受けながら、12月に停職一カ月の処分をくだすまで、8カ月もの間、主任は何をしていたのでしょうね。 元の部署の管理職や異動先の管理職、さらには市長は何をしていたのでしょうね。 不思議です。 なんでも、窓口サービス課から港湾総務課に異動すると、評価が下がるから嫌だ、と言っていたとか。 駄々っ子ですね。 異動命令に従わないほうがはるかに評価が下がることぐらい、分からなかったんでしょうか。 私の職場では、以前、50代の女性係長が、不本意な人事異動に遭い、4月1日...
思想・学問

ノスタルジア

ノスタルジアというと、郷愁とか、過去を懐かしむとかいう意味で使われますが、元々は精神病を表わす言葉だったそうです。 スイスの精神科医が、異国の前線で戦う兵士たちに蔓延した、抑うつや悲哀感をともなう症状で、これを説明するために、造語をしたそうです。 2つのギリシャ語、「nostos」:帰郷、および「algos」:心の痛み、を基にして造った合成語で、「故郷へ戻りたいと願うが、二度と目にすることが叶わないかも知れないという恐れを伴う病人の心の痛み」というのがその定義です。 しかし今では、ノスタルジアを精神病の一つとして使うことはありませんね。 多くは中高年が若かりし頃の流行りや風俗にノスタルジアを感じること。 しかし近頃、「三丁目の夕日」とか、横浜ラーメン博物館とか、昭和30年代に特化したノスタルジアを国民総出で感じているように思います。 言わば、集団的ノスタルジア。 自分が生まれる前の時代にノスタルジアを感じるというのは、本や映像でしか知らないわけですから、当然理想化が起きているものと想像できます。 歴史学者や歴史オタク、あるいは古典文学者などは、その最たるものではないでしょうか。 司馬遼...
文学

陽射し

今日は昨日とはうってかわって冷たい北風が吹いています。 惰弱な私は北風を嫌って、家に閉じこもっています。 そうは言っても、朝夕に日が伸びているのを感じ、冷たい空気のなかにも陽射しが強くなってきているのを実感します。 古来、わが国では花を待つ歌が詠まれてきました。 春を待ち焦がれる気持ちは、暖房が行き届かない時代には現代よりもつよかったことでしょう。 まして日本家屋は夏を快適に過ごせるように考えられてできています。 冬は隙間風が吹いてさぞ寒かったことでしょう。 私の実家は木造二階建ての古い家。 コンクリートで固めた現在住まうマンションに引っ越して、冬の暖かいのに驚きました。  朝夕に 花待つころは思ひ寝の 夢のうちにぞ 咲きはじめける     千載和歌集に見られる崇徳院の歌です。 花が咲くのを待つ思いが強くて、夢のなかで花が咲き始めた、という切ない思いを優美に詠んだものです。 今の私が花を待つ気持ちと、平安の昔に崇徳院が待った気持ちとでは、違いがあるように思うかもしれませんが、そうではないと思っています。 わがくにびとが花を待つ気持ちは、昔も今も変わらぬ、祈りのようなものです。 過去から...
映画

リアル鬼ごっこ2

昨年劇場公開された「リアル鬼ごっこ2」を鑑賞しました。 前作「リアル鬼ごっこ」の続編ということですが、前作の原作をはるかに上回るストーリー展開に比べて、凡庸の感は否めません。 独裁者が佐藤さんを狙って捕まったら即殺害されるという怖ろしいゲームを強行する、という点は前作と同じですが、パラレルワールドという強引な説明付けが、いかにも不自然です。 ただ、子供のころ鬼に追われる遊びが本当に怖かったことを思い出すと、生死をかけた鬼ごっこがいかに恐怖かは迫ってきます。 前作がよくできていただけに、残念な出来に終わっています。リアル鬼ごっこ2 石田卓也,吉永 淳,三浦翔平,蕨野友也,渡辺奈緒子ジェネオン・ユニバーサルリアル鬼ごっこ スタンダード・エディション 石田卓也,谷村美月,大東俊介,松本莉緒,吹越満ジェネオン エンタテインメント↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
美術

ホキ美術館

小春日和に恵まれ、芸術に接したくなった私は、昨年11月に開館したばかりのホキ美術館に出かけました。 場所は千葉市緑区あすみが丘です。 ここは写実絵画の専門美術館ということで、写真と見まがうばかりの見事な写実絵画がこれでもか、と並んでいました。 裸婦であったり、滝であったり、静物であったり。 写実絵画に見慣れていない私には、新鮮な驚きでした。 しかし、あまりに写実に忠実であるためか、そこから画家の意図なり思いなりを汲み取ることができませんでした。 勉強不足を痛感したしだいです。 ⇒ ホキ美術館のHPです。 すぐ隣が昭和の森という広大な自然公園になっており、絵画に集中して疲れた神経を休めるため、しばし散策しました。 アップダウンが多く、木々も豊富で、ここは千葉市内か、と疑うほど、自然豊かな公園です。 早いもので、梅が咲き始めていました。 長い一週間を終えて好天に恵まれ、ふらふらと出かけるのはこの上ない喜びです。 これからもう一つの喜び、焼酎をいただきましょう。↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
社会・政治

軌道修正

菅総理が、民主党政権になってから認めていなかった官僚による省庁間の政策調整を認める旨の発言があったそうですね。 遅きに失した感は否めませんが、少しまともになったのは喜ぶべきことでしょう。 大臣・副大臣・政務官の政務三役だけで膨大な案件を他省庁と調整するなど、不可能なことは誰の目にも明らか。 第一、税金で雇っている官僚に仕事をやらせなくては、道義にもとるというものです。 11月でしたか、当時の枝野幹事長代理はある講演会で「政治主導なんてうかつなことを言った。与党がこれほど忙しいとは思わなかった」と、いくら野党とはいえ長く国政に携わっていた人とは思えない発言をして、世の失笑を買いました。 なんだか民主党は官僚を目の敵にして責め立てていれば支持率が上がると勘違いしていたようです。 各省庁の設置法を斜めに読むだけで、各省庁が抱える仕事の膨大さは想像がつきますし、それを政治家だけでまわしていこうとは、じつに馬鹿げた大風呂敷というべきで、各省庁には万単位の役人が雇われているのですから、政務三役の役割はこれらをおだてたりすかしたりしながら、気持ちよく働かせることでしょう。 大方針を政務三役が掲げて、...
仕事

一週間

金曜日の勤務を無事終えました。 月曜日から金曜日、長かったですね。 忙しい部署だとあっという間なのでしょうが、私が今担当している仕事はかなり余裕があるので、時間が経つのがゆっくりです。  私は1992年の4月に就職しました。 3月で丸19年が経ちます。 定年60歳が延長にならなければ、あと19年。 ちょうど折り返し地点にたどり着いたことになります。 まだ半分なんですねぇ。 もう十分働いたような気がします。  昔は人間50年と謡われていましたから、あと十年ないんですねぇ。 そう考えると、疲れるし、色々なことがどうでもよく思えてしまうのも仕方のないことかもしれません。 宝くじでも当たらないかぎり、定年まで働かざるを得ません。 面倒くさいですねぇ。 でもマンションのローンも10年ちかく残っていますし、快適な生活をおくるためにはどうしても安定収入が必要です。 今さら職場に貢献したいとか、出世したいとか、そういうことは考えられませんが、与えられた仕事はきっちりこなして、解雇されないようにしなくてはいけませんね。 とりあえず、今週皆勤できたことに、感謝。 そして来週も、今日だけ出勤を積み重ねていき...
思想・学問

同居による孤独

最近わが国では、高齢者の孤独死が後を絶ちませんね。 いずれ私も年老い、孤独死するでしょう。 他人事ではありません。 しかしこれはなにも日本に限った現象ではありません。 欧米などの先進国でも、同様の問題が発生しています。 「Heat Wave: A Social Autopsy of Disaster in Chicago」という本がアメリカで出版され、大きな話題を呼びました。 「熱い波ーシカゴにおける社会的災害の検死」というほどの意味になろうかと思います。 内容はシカゴでの数百人にもおよぶ独居高齢者の孤独死を分析したものですが、そこには日本と似た問題と、日本とは異なる問題があります。 一般に日本では、老後は自分の子ども家族と同居して、孫の笑顔に囲まれながら暮らすのが良い、という風潮があったように思います。 その当然の帰結として、老人の独り暮らしは寂しくつらいものだ、という認識が導き出されてきました。 一方米国では、成人した子供と同居する習慣がなく、夫婦のうちのどちらかが亡くなれば必然的に老人の独り暮らしが生まれるものと考えられてきたそうです。 しかし米国では事態はさらに進んで、独居を避...
映画

ザ・ウォーカー

昨夜はDVDで「ザ・ウォーカー」を鑑賞しました。 世界を巻き込んだ大戦争から30年を経た世界。 文明は失われ、かつて平気で消費していた石鹸やシャンプーを奪い合うようになり、水は高値で取引されています。 そんな中、独り、ある本を運ぶため、西に向かって歩き続けるデンゼル・ワシントン演じる男。 その本は、崩壊寸前の人間社会を復活させる切り札と見なされています。 旅の途中、次々に襲いかかる強盗やならず者。 しかし男は、無敵の強さで躊躇することなくそれらを殺害していきます。 関わるな、歩け、という男が自分に言い聞かせる言葉が、木枯らし紋次郎の、あっしには関わりのねえこってす、とかぶります。 そしてその強さは座頭市と。 本を何が何でも手に入れたいと執念を燃やす町の支配者は、宿場を支配するヤクザの親分とかぶります。 薄暗い茶色がかった映像が世界の絶望を、町の支配者から脱出して途中から旅を共にする少女の力強い意思を持った目が希望を表わしています。 「北斗の拳」、「バイオレンス・ジャック」、「マッドマックス2」などの、一度滅んだ後の世界を描く作品としては、極めてシンプルな作りになっています。 ただ、本の...
文学

大寒

今日は大寒ですね。 その名のとおり、ここ数日、南関東でも底冷えの日が続いています。 幸い雪は降らず、連日晴天ですが、晴天ゆえの放射冷却と空気の乾燥に悩まされています。  冬を詠んだ句はたくさんありますが、わりと知られている句を数句。 大寒の  薔薇に異端の  香気あり  飯田龍太 本来初夏に咲くはずの薔薇が、おそらく温室栽培なのでしょう、大寒に咲いている。季節はずれにさく薔薇の美しさに異端をみたということでしょう。 大寒・薔薇・異端・香気と、二文字の漢語表現が俳句らしからぬ幻想美を生んでいるように思います。 大寒や 北斗七星 まさかさま 村上鬼城 何の用事があったのか、大寒の夜に外出したのでしょう。 寒空を見上げたら、北斗七星がさかさまに見える、不思議なことだ、ということでしょうか。 最後の、まさかさまがユーモラスですね。 冬日今  瞼にありて  重たけれ  高浜虚子 寒さの中にも冬の日があたって、しかも瞼にあたって眠くなる、そんな幸せな冬の日向ぼっこでしょうか。 私は毎日17時15分の定時で帰宅しています。 ここ数日、その時間に職場を出ると、西の空がうっすら明るく見えます。 冬至から...
思想・学問

世界の終わり

世界の終わりという観念には、どこか人を浮かれさせる要素がありますね。 一種のスペクタクル願望ですかね。 阪神淡路大震災や太平洋戦争末期のような、本当に世界の終わりかと思うような悲惨な状況が発生した場合はそんな浮ついたことは言っていられないでしょうが、観念の遊びとしては面白いと思います。 平安時代に末法思想が流行ったのも、わくわくするような観念の遊びであったことでしょう。 江戸時代末期のおかげ参りやええじゃないかも、古い時代の破滅を予見した庶民が浮かれ騒いだというのが実態ではないかなと思っています。 「12モンキーズ」では、ウィルス学者が、世界中を旅して猛毒のウィルスをばらまいて回るオチがついています。 ウィルス学者は本気で人類絶滅を実行したのです。 その時のウィルス学者の慈愛に満ちた微笑みが印象的です。 彼は言わば、人類を苦しみから解放しようとしていたのでしょう。 私の職場の先輩で、もう定年退職して5年になるじいさんと時折飲むのですが、「若い頃は歯痛に悩まされたけど、今は歯が一本もないから楽だ、歯なんてあるから痛いんだ」と言っていました。 それを敷衍すると、人間は存在するから苦しいんだ...
文学

不条理

生後わずか12日の長男を、41歳の母親が風呂で溺死させたという痛ましい事件が起こりました。 育児に悩み、将来を悲観して無理心中を図った、とか。 しかし乳幼児ではない大人は、どんなに意思が強くても風呂場で入水自殺できるものではありますまい。 息苦しければ顔を上げてしまうでしょう。 夫が風呂場にいる妻と息子の遺体を見て、消防と警察に連絡したとか。 わずか生後12日で育児ノイローゼのために赤ちゃんを殺害するとはにわかには信じがたい事実ですが、事実は小説より奇なり、世の中なんでもおこるのですねぇ。 そういえば夫婦で酔っぱらって銃を使った、ウィリアム・テルごっこ、をやっていたところ、誤って夫が妻を射殺してしまった、という笑えない事件が昔米国で起こりました。 しかも犯人が、ニュー・ウェーブSFの旗手にしてビート・ジェネレーションの代表、ウィリアム・S・バロウズであったことから、センセーションを巻き起こしました。 バロウズといえば、ヤク中でアル中でゲイ寄りのバイセクシャル。  代表作「裸のランチ」など、良く言えば実験的、悪く言えば意味不明。  クローネンバーグ監督が「裸のランチ」を映画化した時、あま...
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