スポンサーリンク
映画

アイヒマン・テスト

アイヒマンといえば、ナチのユダヤ人収容所所長で、長く逃亡していましたが捕えられ、裁判で自分は命令に従っただけであり無罪である、と主張した人物です。 世間では極悪非道の冷酷漢とされていますが、当時のナチの将校が果たして国の政策に人道的見地から反対することが可能であったかといえば、極めて困難で、私がアイヒマンの立場にあれば躊躇なくユダヤ人を虐殺したでしょう。 DVDで「私の中のアイヒマン」を観ました。 ある女子高の演劇部が、「アンネの日記」を演じるにあたって、当時の過酷な状況を体験するため、OGである女優の指導のもと、収容所の所長、兵隊と、捕虜に役割を決め、ロールプレイを一週間行うという心理サスペンスです。 いわゆるアイヒマン・テストを地で行ったわけです。 女子高生たちは役割にのめりこみ、狂気に突入していきます。 7人の女子高生とOG、演劇部顧問の女性教師の、女性しか登場しない華やかな映像が、醜くゆがんでいきます。 アイヒマン・テストの当然の帰結です。 人間が役割を与えられると、驚くべき適応を示します。 地位が人を育てる、とか言われるやつです。 高い地位につけば偉そうに、低い役割であれば卑...
映画

おそいひと

「おそいひと」を観ました。 なんとも評価の難しい映画です。  重度の脳性麻痺を持つ障害者が主演する殺人劇です。 モノクロの詩情あふれる映像で、切なげな音楽を背景に障害者の日常が淡々と描かれます。 ある日、ヘルパーに女子大生が来るようになり、主人公の暗い欲望が噴出し、ついには連続殺人を引き起こすにいたります。 障害者が同時に怖ろしい殺人犯であるというのは、なにも不思議なことではありません。 殺人鬼がたまたま障害者であったというだけです。 それなのに、なぜか違和感を感じます。 私のなかに、障害者は可哀そうな善人だ、という偏見があったからでしょう。 偏見を打ち砕く力がこの映画にはあります。 それにしても、障害者でもあるこの役者、目の演技に凄味があります。 無邪気な目をしたかと思えば、とてつもなく邪悪な表情を浮かべます。 この表情の演技だけでも、一見の価値ありです。 おそいひと 住田雅清,とりいまり,堀田直蔵,白井純子,福永年久ビデオメーカー  ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
その他

関節

昨夜から腰と関節に鈍い痛みがあり、今日は大事をとってお休みしました。 市販薬を飲んで寝ていたのですが、痛みはなかなかとれません。 熱はないのですが、夏風邪でしょうか。 なんともだるいです。
その他

山本モナと尼

最近山本モナが結婚を発表しましたね。 先んじて、梨花や西川先生も結婚しました。 いずれも恋多き女とか言われて、ワイドショーにネタを提供してくれた人たちです。 これらのタレントは、恋愛遍歴を続けることで、自身の商品価値を高めたのでしょう。 人の本性ともいえる恋を重ねることが収入にもつながる、うらやましい女たちです。 しかし、恋愛は御法度の女たちもいます。 宗教によって異なりますが、尼さんというのは、恋は御法度のはず。 七十一種類の職人等が、月と恋という題で和歌を詠み、優劣を判じた、室町時代に編まれた「七十一番職人歌合」に、尼さんによる面白い歌があります。禅の比丘尼と法華の尼衆が対戦しています。 本性を つくさんとこそ思ひしに 別に障碍(しょうげ)の 男おそろし  (修行を積んで真実を見極めようと思っていたのに、障害となる男が怖い) 男より 手わたしにこそ取らねども つゐに我らを 落し文みつ   (男から直接恋文を受け取ることはないが、自分を堕落させる恋文が落とされているのを拾って見てしまった) 尼さんも、けっこうお盛んですねぇ。 それよりも、この歌合せの判詞がまた過激です。 聖の恋はしか...
文学

高校野球

夏の甲子園大会も佳境を迎えていますね。 私は元来、高校野球を好みません。 技術も未熟だし、体もひょろひょろで頼りない。 そのうえ用もないのにヘッドスライディングなんかしてユニフォームに土をつけて喜んでいるのがあざとい感じがします。 しかし、因縁浅からぬ高校が出場すると、そうは言っても気になります。 東東京の関東一高と千葉の成田が対戦しました。 東東京は私のふるさと。関東一高に進んだ友人も大勢います。 一方千葉は現在私が住まいする地。 職場の人々はみな成田を応援していました。 結果、成田が快勝しましたね。 関東一高の選手も悔いはないのではないでしょうか。今やかの 三つのベース人満ちて  そゞろに胸のうちさわぐかな若人の すなる遊びはさはにあれど ベースボールに如く者はあらじ 野球をこよなく愛した正岡子規の歌です。 私はスポーツは苦手で、もっぱら観戦するほうですが、ときには自分にもスポーツの才能があったらいいな、とおのれの運動音痴を嘆くのです。正岡子規―ベースボールに賭けたその生涯城井 睦夫紅書房
社会・政治

小沢総理誕生か

報道では、小沢一郎議員が民主党代表選に条件つきながら立候補する方向で検討を始めたらしいです。 もし当選すれば、小沢総理誕生ですね。 そうなると、菅直人政権は超短命政権に終わることになります。 この様子だと、総理大臣なんていてもいなくても、ことは平穏無事に進んでいくかに見えます。 しかし、総理大臣が何事かをなしとげようと決意すると、その権限は強力で、相当いろいろな仕事ができます。 古くは岸総理の安保改定や、中曽根総理の行政改革、竹下総理の消費税導入など、反対する政治家やマスコミが巨大でも、強い権限で押し通すことができます。 翻って、小沢議員は何を目指すのでしょうね。無駄の洗い出しとバラマキですかね。そういうのは日本の政策上の大問題ではなくて、小手先のテクニカルな話にすぎません。 これをやるんだ、という目玉を持って、代表選に臨んでほしいものです。もちろん、管総理も。
精神障害

婚活疲労外来?

都内某精神科クリニックが、婚活疲労外来なる看板を掲げたそうです。 院長いわく、結婚は人生の重大事で、それを求めて日常的に行動することは大きなストレスであり、まして気に入った相手に交際を断られることは重大な挫折体験になり、何度も断られると精神疾患に陥る可能性が高いため、専門医のケアが必要、だそうです。 それはそうでしょうねぇ。 失恋の痛手は大きいですからねぇ。 でも失恋外来とは言わないところを見ると、もっぱら結婚を目指してかなわず、精神に変調をきたした人を治療するのでしょうか? 風が吹けば桶屋がもうかるではないですが、未婚男女が増えると医者が繁盛するんでしょうかねぇ。 いつの時代も流行りというものがあります。 「曽根崎心中」が流行ったときには、実際に心中するカップルが続出したとか。 1980年代に有名アイドルが飛び降り自殺したら、後追い自殺が大勢でました。 おのれの命まで流行に左右されるとは。 それを思えば、流行に追われるように結婚を目指すなどは、微笑ましいかぎりです。 そういえば、男女雇用機会均等法が制定される前後、クロワッサン症候群とか結婚しないかもしれない症候群とか、独身を貫く生き...
文学

南方浄土

浄土というと西方に在るというのが一般的ですが、平安時代から江戸時代にかけて、南方の浄土を目指す命がけの渡海が行われていたことを、最近知りました。 西方浄土の場合には、あくまで信仰上の問題で、実際に西に向かって旅立ったという話は寡聞にして知りません。 しかし南方の場合には、多く那智の海岸から、小舟を仕立てて、あえて台風の多い11月に、僧侶一人が乗りこんで、海流のままにこぎ出したそうです。 南方の海の彼方に浄土があると信じたのですね。 当然のことながら、その小舟がどうなったかという記録はほとんどなく、いわば即身成仏のような、自殺行だったと考えられます。  これを、補陀落渡海(ふだらくとかい)と呼んだそうです。  私はこれを、井上靖の「補陀落渡海記」という作品で知りました。 那智の補陀落寺の住職は61歳になると補陀落渡海に出るならわしがあり、周囲の圧力から逃れられません。 住職、金光坊はこの自殺でしかない宗教儀式の時を、死の恐怖と信仰の狭間に揺れながら待っています。 そして渡海後、金光坊は船から逃れて小島に上陸し、生き延びようとしますが、役人や信者に捕えられ、再び渡海を強要されます。 井上靖...
文学

残暑

昨日、今日と、地面から蒸し上げるような熱気がこみ上げ、私が住む町は残暑とは思えない猛烈な暑さに見舞われました。 近頃は朝晩二回、水のシャワーを浴びていますが、水道水さえ肌にぬるく感じられます。 エアコンも一晩中かけっぱなし。 タイマーをかけて寝ても、冷房が止まったらすぐに目が覚めてしますのです。 外での肉体労働に従事している方は、さぞやお辛いことでしょう。 死ぬほど暑いといって、本当に亡くなる方が後を絶たないのですから、常軌を逸しています。  アスファルトジャングルが暑さを加速させている、という説がありますね。 しかし、 熱さ哉 八百八町 家ばかり   上野から 見下す町の あつさ哉 当時の気温や湿度の記録はないでしょうから客観的な比較はできませんが、少なくとも主観的には、上記二句からうんざりするような暑熱を感じます。 正岡子規の句ですが、明治の帝都も暑そうです。 エアコンも扇風機もなく、シャワーもないし内風呂も普及していなかったでしょうから、さぞ暑くて不快だったでしょうねぇ。
思想・学問

ネズミ算

日々小説や映画などの物語に接して、ぼんやりとした不思議を感じます。 例えば1000年前の「源氏物語」を読んでいて、私は私の「源氏物語」を再編成しているわけですが、これがあらゆる物語の享受者によって同時並行的に行われるということは、驚愕すべき事態です。  作者はAという物語を作り上げます。そしてそのAは、作者にとって一種の自己弁護に過ぎません。 作者が面白い、もしくは美しい、あるいは正しい、と思う、作者にとっての良い物を自慰のように垂れ流すのです。 そしてAを鑑賞するものは、Aを元にして、Aとよく似た、しかしAとは違うA´を作り上げます。 仮にAを100人の人が鑑賞したなら、100のAのような物語が生まれるわけです。 これが同時に、しかも時代を超えて行われるわけですから、Aによって無限の物語が生まれ、拡大再生産を続けることになります。 それが外国の作品であれば翻訳によって、また古典であれば現代語訳によって、また、舞台化や映画化によって、Aのヴァリエーションはもはや収拾不可能なパラレルワールドを生み出します。 まるでネズミ算のようです。 物語が人の数だけ拡がっていく様を、芥川龍之介は「藪の...
思想・学問

犀の角 

私のまわりでは、結婚するよ、という友人・知人からの知らせより、離婚しました、という報告のほうが多くなってきました。 私の年齢が上がって、これから結婚する友人より、すでに結婚した友人が多いからかもしれませんが、せっかく縁あって一緒になったものをもったいない、という思いと、嫌なら一分でも早く分かれたほうがよい、という思いとが、交錯します。 以前、ヘレン・フィッシャーという人類学者が、「愛はなぜ終わるのか」という著書で、恋愛の寿命は四年だ、という説を唱えて、世の浮気者を喜ばせました。 もしかしたら本能的にはそうなのかもしれませんが、人間と人間の付き合いが、四年で終わるわけもなく、焼ぼっくいに火がつくなんて言葉があるとおり、それが男と女であれ、同性同士であれ、複雑な人間関係は長々と続くのが当然です。 そうでなければ、添い遂げる夫婦があまたいるという事実が腑に落ちません。 ただ、社会が離婚に寛容になったことはたしかでしょう。  「ニューヨークの恋人」という映画で、19世紀からタイムスリップしてきた青年貴族が、現代のニューヨーカーを演じるメグ・ライアンに自由恋愛について大真面目に力説し、吹き出され...
映画

ケース39

昨夜、衝撃のサスペンス・ホラー「ケース39」をDVDで観ました。 38件の案件を抱えるレニー・ゼルヴィガー演じるソーシャル・ワーカーが、39件目の案件を上司に押し付けられます。 児童虐待が強く疑われる少女を引き取ることにしたソーシャル・ワーカー。 少女と一緒に暮らし始めてから間もなく、少女の異常なまでの心理洞察力に気付き、やがて怖ろしい事件が起こります。 レニー・ゼルヴィガーというと、「ブリジッド・ジョーンズの日記」の印象が強すぎ、今回のようなシリアスな物語には適さないのではないか、とも思いましたが、観ているうちに、違和感はなくなりました。 少女に同情的で、少女の両親に不信感を抱いていたソーシャル・ワーカーが、ほどなくして精神病院に入院中の両親にアドヴァイスを求めに行くシーンは印象的です。 少女を演じた子役が、子供らしい邪悪さをうまく演じていました。 邪悪な子供というと、「オーメン」シリーズや「エスター」を思い浮かべます。 それらに比べて本作は謎解きの部分は弱いですが、より衝撃的な内容になっています。 満足いく出来栄えでした。ケース39 スペシャル・コレクターズ・エディション レニー・...
映画

カイジ

DVD鑑賞をしました。 藤原達也主演の「カイジ」です。  友人の借金の保証人になったことから膨大な額を用意しなければならなくなり、命がけのギャンブルに参加します。 ラストの、金貸しの幹部を演じる香川照之とのカードゲームによる一騎打ちは圧巻でした。 低賃金労働への風刺も効いていて、サスペンス・コメディーといった趣でした。カイジ 人生逆転ゲーム 通常版 藤原竜也,天海祐希,香川照之,山本太郎,光石研バップ
社会・政治

終戦記念日

終戦記念日ですね。 敵味方関係なく、先の大戦で亡くなられた方すべての冥福をお祈りします。 そして、世界中の現在進行中の紛争が早く解決されることと、将来にわたって平和が維持されることをお祈りします。 合掌
美術

日本美術のヴィーナス

日比谷の出光美術館に出かけました。 日比谷公園の地下駐車場に車を停めましたが、ガラガラでした。お盆なんですねぇ。  展覧会は、「日本美術のヴィーナス」です。 江戸から終戦直後までの、浮世絵を始めとする美人画を一堂に並べたものです。 最初の絵が普賢菩薩だったのには驚きました。 中性的に表現されてはいるものの、男じゃないですか。 しかしその後は、遊女やら少女やらの美人画ばかりで、飽きさせません。  私がとくに気に入ったのが、葛飾北斎の月下歩行美人図です。 図録の写真を撮ったのですが、フラッシュで焼けてしまいました。  はかなげな美人が物思わしげに月の下をゆるゆると歩く姿は、なんとも幻想的で、私はしばし、この絵の前に立ち尽くしました。 この図録を枕の下に入れたら、満月の晩、現れて、私と夜の散歩を共にしてくれないでしょうか。 あるいは夢に現れて、月夜の逢瀬を演じてはくれないでしょうか。 画狂老人の筆の冴えは、はるか時を越え、私に恋心を抱かせたのです。
スポンサーリンク