文学 夕顔
昨日このブログに書いた「ホスピス」では、男が自分をいじめたグループ、中でも岡惚れしていた女を、生霊となって祟りをなすさまが描かれていました。 恋情が叶わないとき、可愛さあまって憎さ百倍とばかり、相手を恨むのは洋の東西、時代を問わず行われ、今現在も各地で行われていることでしょう。 六条御息所は生あるうちは生霊となって、死して後は死霊となって、光る君をめぐる女たちに害をなしますが、最初に害を与えた女は夕顔でした。 他の巻と違って夕顔に祟る霊が六条御息所だとははっきり書かれていないため、逢瀬を楽しんだ荒れた屋敷の地霊だとか、諸説ありますが、私は素直に、六条御息所の生霊デビューの巻と読みたいと思います。 夕顔の巻は、「源氏物語」全体を俯瞰すると、別編というか、大きなストーリーとはあまり関係のない、光る君の若き日のエピソードという趣に感じられます。 そして意外なほど、この巻は人気があるのですよねぇ。 まず、夕顔が可憐で頼りない、いかにもなお姫様風に描かれているのに、どこの何者だかはっきりせず、光る君も自分の氏素性を隠して密会を重ねるという、ミステリアスな雰囲気。 そして初めて二人きりで外出し、...