文学 春、バーニーズで
吉田修一の連作短編集、「春、バーニーズで」を読みました。 モノクロの写真が点々と挿入された、フォトブックのような美しい体裁の本でした。春、バーニーズで (文春文庫)吉田 修一文藝春秋 構成は、先日読んだオカマの閻魔ちゃんと同棲する若者、筒井の生活を描いた「最後の息子」から10年後の筒井の日常を、さまざまな角度から切り取った短編集になっています。最後の息子 (文春文庫)吉田 修一文藝春秋 人は若者から中年にさしかかれば、当然、成長します。 筒井は幼い子を持つ女性、瞳と結婚し、瞳の実家で義母と同居しています。 平凡な会社員となり、毎日を忙しく暮らしているわけですが、ちょっとした事件は誰にでも、起こるものです。 新宿のバーニーズで偶然、閻魔ちゃんと再会したり、マクドナルドで相席となった女性とアドレスを交換したり。 挙句の果てには、突然会社に行くのが嫌になり、日光まで東北道を飛ばしたり。 筒井という男、いくつになってもどこかモラトリアムというか、学生気分が抜けない男で、私も年相応の貫録がつかないせいか、変に感情移入できるから不思議です。 実際、理由が必要だった。このまま東京に帰るにしても、会社...