文学 クララとお日さま
カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞後第1作となる長編「クララとお日さま」を読みました。 500頁弱の作品ですが、3日もかかってしまいました。 この作品は、AIを題材にしています。 今時AIを題材にした小説など珍しくもなんともありませんが、この作品の独特な点は、AI自身が語り手になっているところです。 AF(アーティフィシャル・フレンド=人工親友)と呼ばれる、子供の友達であり世話役となるロボットを描いています。 クララという名のAFがある少女に買われ、少女が大学に入るまでの交流を描いています。 いや、交流という言い方は不完全でしょう。 少女は重い病気にかかり、命の危機に瀕するのですが、その時少女の母親はクララが少女の特徴を深く学習し、少女そのものとなってくれることを願うのです。 人工娘ですね。 しかし少女は、クララがAFの栄養源であるお日さまに必死に願うことにより、見事回復するのです。 この長い物語は、クララがお役御免となって捨てられ、ゴミ捨て場で過去を回想するシーンで終わります。 AFとして最高に幸せだった、と。 そしてこの物語で語られる世界は、カズオ・イシグロの名作「わたしを離さ...