現代社会に暗い影を落としている要因の一つに、多数の引きこもりやニートの存在があげられます。
一説には、引きこもりとニートを合わせて100万人とも言われています。
しかし厳密に言えば、引きこもりとニートは異なります。
ニートは就労も就学もしておらず、就職活動もしていない15歳から34歳の若者、と定義されています。
しかし引きこもりは、家に引きこもって外に出ようとしない、あるいは出られない、という人々で、ニートよりも深刻であり、精神障害が疑われます。
もし重い精神障害であれば、まずは精神科を受診し、精神障害の治療を目指すべきでしょう。
治癒が困難な場合、障害者年金で暮らすことで、少なくとも親への経済的依存からは抜け出せます。
また、ニートにしても、35歳になったら突然働き始めるはずもなく、35歳以上の高齢ニートはすでにより深刻な問題になりつつあります。
そこで、大阪府と大阪のNPO法人がこれらの問題解決に一歩踏み出しました。
引きこもりやニートは基本的に納税しておらず、それどころか生活保護などのセーフティ・ネットによって生活している場合が多く、そうでない場合は親の経済的保護の下に生活しているものと思料されます。
大阪府は日本一生活保護の受給率が高く、引きこもりやニートの問題は、要するに経済的な問題に収斂していきます。
平たく言えば、働いておのれの腹はおのれで満たし、さらに納税せい、ということです。
そうでなければ、誰かが働いて得た金や納めた税金が、巡り巡って働かない者の腹を満たすことにつながってしまうということで、昔から言われる働かざる者食うべからずの原則から外れてしまいます。
大阪府と大阪のNPO法人が始めたことは、ニートを就労意欲の高い者と低い者の2種類に分けて、まずは就労意欲の高い者に就職してもらおう、という取組です。
そこで就労意欲の高い者はニートと呼ばず、レイブルと呼ぶことにしようという運動を始めました。
レイブルはLate Bloomerの略で、晩成とか遅咲きとかいった意味です。
まずはレイブルという用語を広報し、集会を開いて彼らの話を聞くと、様々な問題があることが分かりました。
あるレイブルは、毎日パソコンで遊んでいるうちに、早く正確にデータ入力ができるようになった、だけど接客や電話応対は自信がない、データ入力だけの仕事がしたい、と言っていました。
またある者は、生まれてこの方彼女がいたことがないけれど、仕事が見つかったら結婚したい、と夢を語っていました。
どれも道のりは遠そうですが、一歩を踏み出したことは確かでしょう。
NPO法人は、実際に15人のレイブルを数カ月の臨時雇いで雇用し、適性などを見極めて就職活動の支援を行うそうです。
この手の問題は、一気に解決することは不可能です。
100万人もの引きこもりやニートがいれば、100万通りの個別具体的な問題があるわけです。
そういう意味では、まずは就労意欲の高いレイブルから救いの手を差し伸べようというのは、現実的であり、効率的です。
わが国では、問題が起きた時、駆け込み寺的な組織を作る人が必ず現れます。
立派な行為で、頭が下がります。
レイブルの運動、全国に波及するといいですね。
私は精神障害を持て余して、おのれ一人、仕事を続けるのに精いっぱいです。
何もお手伝いはできませんが、陰ながら応援しています。
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