苗字

社会・政治

 今日は苗字制定記念日なんだそうで。

 なんでも明治8年、太政官布告により、平民苗字必称義務令が出され、必ず苗字を名乗らなければならない、とされたとか。

 江戸時代までは、苗字を名乗るのは公家・武家・大商人・名主などの有力農家に限られていたのを、一般庶民にも苗字を名乗るように命じたというわけで、当時どう名乗っていいか分からず、役所に言って徳川だの豊臣だのと言った有名な苗字を名乗ろうとする農民が殺到し、市役所職員に一喝されて、田中だの鈴木だのといった平凡な名前を名乗ることになった者が大勢いたと聞き及びます。

 私の父方のルーツは青森の名主なんだそうで、元々苗字帯刀を許されていたそうです。

 祖父が東京に出てきて、どういうつてを使ったのか、無主の寺に住職としておさまり、その後父、兄と寺を継いでいます。
 祖父は42歳で亡くなっており、その時父はわずか13歳。
 寺を継ぐまでの十数年はずいぶん苦労したようです。

 当然、私は祖父と会ったことはありません。
 私が生まれるはるか以前に亡くなっているわけですから。

 母は長崎の出身で、母方の祖父は太平洋戦争で亡くなっており、会ったことはありません。
 母は長崎で巨大な粒の黒い雨を浴びたそうで、4歳ながら原爆をくらった長崎の惨状を鮮明に記憶しており、子どもの頃よく聞かされました。

 母の実家が苗字を持っていたのか、それとも平民苗字必称義務令によって苗字を名乗るようになったのか、今となってはわかりません。

 今、苗字を持たない一族がわが国に一つだけ存在していますね。
 皇族です。
 宮家の場合はそれでも宮号がありますが、天皇一家と皇太子一家はそれすらありません。
 今上陛下の名前は、明仁だけ。
 皇族があらゆる意味で特殊なのはこの事実一つをもって明らかです。

 苗字を持つことで日本国民は家を守るという意識が下々にまで行き渡り、それには良い面も悪い面もあったことでしょう。
 
 私には子がないせいか、家という意識が希薄です。
 家などというつまらぬものに縛られる生き方は人間を不幸にするような気がします。

 昔みたいに熊さん八っつぁんで構わないような気がしますがねぇ。


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