主権回復

社会・政治

 昨日は連合国の占領を脱し、わが国が主権を回復した記念すべき日でした。

 昭和27年の4月28日、わが国は米国等、戦勝国のうち自由主義陣営とだけ講和条約を結び、それが発効したというわけです。

 わが国の3,000年におよぶ歴史の中で、唯一、外国に占領されるという悲哀を味わった、長い6年半が終わった、喜ばしい日で、政府主催の記念式典が開かれ、天皇・皇后両陛下のご臨席を賜りました。

 一方、沖縄県はこの後も20年の長きに渡って米国の支配下におかれたことから、この記念すべき日を、本土と切り離された恥辱の日ととらえる見方が大勢を占めているそうです。

 それはそうでしょうねぇ。

 日本政府に見捨てられたような、ハワイのように米国の一部になってしまうのではないか、という恐怖と不安に襲われたであろうことは容易に想像がつきます。

 私と同世代の沖縄出身者は、子供のころ、本土に上陸するにはパスポートが必要だったわけですから、心中は複雑なものであったでしょう。

 しかしこの主権回復によって、国論は長く2つに分かれることになりました。

 正論である、ソビエト等共産圏を含めた全面講和を主張する人々と、現実的に、とりあえず自由主義諸国のみと講和を結んで一刻も早く独立を回復しようとした人々です。

 これは後に日米安保への賛否、非武装中立論と日米同盟堅持など、主に外交・安全保障政策でわが国は不毛な論争を繰り返し、政治的エネルギーをつまらぬ神学論争に費やし、そのため現実の外交政策や安全保障政策の策定が疎かになるという真に不幸な事態が出来しました。

 しかし、平成の御代も四半世紀になろうとして、ようやっと、外交・安全保障政策について、国民の間でコンセンサスが醸成されようとしています。
 非武装中立などという絵に描いた餅ではわが国の平和を維持することができず、国力に見合った軍隊を持ち、わが国以外のほとんどすべての国が何のためらいもなく行使している集団的自衛権を行使できるようにしようとしています。

 しかしこれらは、じつは長い自民党政権下においては密かに進められていたことであり、わが国民がやっと敗戦の呪縛から抜け出して、世界標準の国家を目指すことを良しとするようになったというだけのことです。

 護憲を唱える勢力は、憲法9条を世界へのメッセージにしよう、などと寝言をぬかします。

 しかし予算規模で世界5位の強力な軍隊であるところの自衛隊を保有し、米国の核に守られているわが国がそんなメッセージを発すれば、世界から失笑を買うだけでしょう。

 なにしろ言っていることとやっていることがまるで一致していないわけですから。

 主権回復から60年以上経ちました。

 遅きに失した感は否めませんが、早急に憲法を現実に合ったものに改正する必要がありますし、おそらく現政権ならそれを成し遂げられるのではないかと思います。


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