今日は昭和11年に2.26事件が起きた日ですね。
一部の青年将校が昭和維新の断行を唱え、下士官兵1,500名ちかくを率い、政府要人の暗殺、放送局などの占拠を行い、自分たちが支持する陸軍大将を首相にするよう求めた事件です。
当初陸軍幹部は青年将校らに同情的だったと伝えられますが、昭和陛下が激怒。
「朕自ら近衛師団を率い、賊軍の鎮圧にあたらむ」と強い意志を示したことから、陸軍幹部も彼らを賊軍として鎮圧することとなりました。
彼らの理論的支柱で、後に処刑される国家社会主義者の北一輝は、一報を聞き、「宮城は占拠したのか、昭和天皇は捕えたのか」と聞き、それが行われなかったことを知り、クーデターの失敗を確信したそうです。
![]() | 北一輝 (ちくま学芸文庫) |
渡辺 京二 | |
筑摩書房 |
ロマンチストの青年将校たちは、行動を起こせば、昭和陛下の共感を得られると信じていたようですが、リアリストの北一輝は、昭和天皇を脅して操り人形にするか、場合によっては暗殺し、言いなりになる皇族を即位させて操ろうと考えていたようです。
![]() | 国体論及び純正社会主義 (常葉文庫) |
平山 洋 | |
常葉書房 |
裁判は一審のみ、弁護人無しという苛烈を極めるもので、青年将校たちはほどなく処刑されることになります。
首謀者の一人は、獄中日記に「余は日夜、陛下に忠諌を申し上げている、八百万の神神を叱っているのゼ、この意気のままで死することにする。天皇陛下 何という御失政でござりますか」と、激烈に昭和陛下への恨みごとを述べています。
![]() | 二・二六事件―獄中手記・遺書 |
河野 司 | |
河出書房新社 |
おのれの幼稚な頭では、昭和陛下をお怨み申し上げるくらいしか、できることは無かったのでしょう。
また、三島由紀夫は「英霊の聲」という小説に青年将校たちの霊を登場させ、「などてすめろぎは人となり給ひし」という言葉を、特攻隊の英霊らとともに、呪文のように繰り返させています。
![]() | 英霊の聲 オリジナル版 (河出文庫) |
三島 由紀夫 | |
河出書房新社 |
戦後の天皇の人間宣言を批判したものでしょうが、そういうロマンティシズムに生きていたという時点で、昭和維新を行う資格は無かったと言えるでしょう。
帝都を震撼させたこの事件、昭和史の汚点と言わざるを得ません。
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