文学

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時分の花

この花は、まことの花にはあらず。ただじぶんのはななり。 世阿弥の能楽書、「風姿花伝」に見られる有名な一節です。 芸本来の美とは別に、若さゆえの華やかな美しさが表れるということでしょうか。 自分が40代になって、確かに若いというだけで人は美しいと思うようになりました。 それは男も女も。 それは言ってみれば、赤ちゃんは可愛いみたいなものなのだと思います。 しかしそれは、世阿弥が指摘したごとく、所詮は時分の花でしかありはしません。 真の円熟した美とはおよそ異なるものです。 私は時分の花を咲かせる時期はとうに過ぎました。 それを惜しいとは思いません。 なぜなら、30歳くらいまで、私は存分に若さゆえの美しさを利用してやりたい放題しましたから。 ただ、やりたい放題やったがゆえに、今の私に時分の花という言葉は無縁になったはずだと思います。 「泥棒日記」などで有名なフランスの作家、ジャン・ジュネは同性愛者で、しかも麻薬はやる、盗みはやるとやりたい放題で、しかし初老の紳士の陰間となって可愛がられることに無上の喜びを感じていました。 老いて、小説家としての地位を確立した頃、彼は美少年を愛でることしか出来な...
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憂悶

今年はばかに春の訪れが早いようで、もう桜が満開です。 私はといえば、相も変らぬ俗事にかまけ、せっかくの週末、花見に出かけることもままなりません。 来週末、花が散り乱れているであろう頃に、花見に出かけようかと愚考しています。 せめてはかねて愛吟しながらあまりこのブログで取り上げなかった詩歌でも紹介しましょうか。 あはれなり わが身のはてや あさ緑 つひには野べの霞と思へば 新古今和歌集にみられる小野小町の歌です。 野べの霞とは、一般的に火葬の際の煙がたなびく様と解されています。 絶世の美女と呼ばれた小野小町も年老いて、春愁とともに世の無常を詠みこんだものと思われます。 次はいっそ思い切り美的な西行法師の春の和歌を。 春風の 花を散らすと見る夢は さめても胸の 騒ぐなりけり 桜が散るさまの美しさを、これほどの烈しさでもって詠んだ歌も少ないでしょうねぇ。 父は西行法師に憧れていたようですが、私はその歌の烈しさと、美を追求する執念みたいなものが、なんとなく怖ろしく、単純に西行法師に憧れるような気持ちにはなれません。 歌がうま過ぎるのと烈しすぎるので、おそらく平安末期の歌詠みからは嫌われていたん...
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他生の縁

今日は疲れました。 湘南国際村での式典が15時30分に終わり、車で帰って家についたのが18時。 18時半から精神科の予約をしていたため、そのままクリニックに向かいました。 クリニックまでは車で20分ほどですが、100キロ以上運転した後では、その20分も苦痛でした。 通常土曜日に診察を受けているところ、一か月ほど前から同居人もプレ更年期障害と思われる不定愁訴のため、同じクリニックに通院しており、クリニック近くの職場で働く同居人は金曜日の夜に診察を受けていることから、同じ日に合わせたというわけです。 同居人にはごく少量の抗うつ薬のジェイゾロフトと、これまた最少量の抗不安薬のメイラックスが処方されていますが、年度末に伴う職務多忙のため、気持ちが沈むようで、抗うつ薬のジェイゾロフトが最少量の25mから50mに倍増となりました。 このところ好調の私はといえば、薬に変化はありませんでした。 それでも私の薬は同居人の倍以上です。 とはいえ、私が一番たくさん薬を飲んでいた頃に比べれば、五分の一くらいにまで減っています。 パワハラ事件の直後は、フラッシュバックや悪夢に悩まされ、幻覚や幻聴を抑える統合失調...
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今日は春分の日でお休み。 昨日行われた職場の30周年記念式典疲れが残っていたのか、朝は6時半に起きたのですが、朝飯を食ってリビングに横になっていたら、大爆睡。 目が覚めたら14時をまわっていました。 昨日はOBを大勢招待しており、懐かしい顔に会えました。 会いたくない人もいましたが。 当たり前ですが、みなそれぞれに年を食っていました。 私も。 眠りすぎたせいか食欲がわかず、今日は昼を抜くことにしました。 うすべにに 葉はいちはやく 萌えいでて 咲かむとすなり 山桜花    若山牧水 今年は桜の開花が早いようで、今週末には満開を迎えるとか。 季節は着実に進んでいます。 明日、明後日は葉山に出張。 一つ一つ、目の前の仕事をこなすうちに歳月は過ぎ、めでたく引退の日を迎えるのですね。 その日まで、どうしても生きなければなりません。 私の業界は、細く長くが最も得するようにできていますから。若山牧水歌集 (岩波文庫)伊藤 一彦岩波書店にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
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ババ抜き

昨夜はババ抜きを題材にした心理サスペンス「ジョーカー・ゲーム」を鑑賞しました。 「バトル・ロワイヤル」以降、「カイジ」、「ライアー・ゲーム」に続く、生き残りを賭けたゲームを行う和製心理劇です。 予告編をご覧ください。 文部科学省の特別教育プログラムにより、ランダムに選んだ高校のあるクラスの生徒が山中の廃校で四日間の合宿を行います。 目的は次世代のリーダーとなるべく、権謀術数、指導力、人間関係などを学ばせる、というふれこみです。 ルールは簡単。 クラス全員でババ抜きをやるのです。 最後までジョーカーを持っていたものが負け。 負けた者がどうなるか、分からずに初日のゲームが始まります。 和気あいあいとゲームを始める少年少女たち。 ゲームが終わり、敗者が確定すると、突然警備員数名が教室に入ってきて、敗者に何やらを注射。 敗者は泡を吹いて倒れ、警備員に連れ去られます。 先生の説明によると、運が弱く、ジョーカーを誰かにひかせる知恵も無いような者は、将来が心配なため、矯正施設に送られるんだとか。 震え上がる生徒たち。 あと3日、このゲームを続けなければなりません。 このゲームには、契約システムという...
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