文学 外科室
私の中学時代の友人が、山形大学医学部附属病院で外科医をやっています。 たまたま彼が出張で東京に来るというので、明日、会う予定になっています。 私と彼は、中学時代、互いを意識しあう仲でした。 1学期に彼が学級委員をやれば、2学期は私。 3学期はどちらかの取り巻きがやるという具合。 女子生徒が男子生徒の人気投票をやれば、彼が1位で私は僅差で2位でした。 彼は学力優秀、スポーツ万能の優等生タイプで、私は斜に構えた変人タイプ。 でも二人で話をするのは、楽しいことでした。 外科医というのは体力も要るし知力も要るし、まして人の命に関わる仕事で、ずいぶん苦労も多いようです。 思い立って、何十年ぶりかで泉鏡花の「外科室」を読み返しました。 以前、坂東玉三郎監督、吉永小百合主演で映画化され、50分の短編といことから、入場料1,000円ということが話題になりました。 「外科室」は、外科手術を受けることになった伯爵夫人が、麻酔をかけるとうわ言で秘密を漏らしてしまうから麻酔は嫌だ、と拒否します。 周りはずいぶん説得しますが、外科医はおもむろにメスを取り、麻酔なしで手術を始めます。 メスが骨に達した時、伯爵夫人...