文学

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演歌

日本の歌謡史に演歌なるジャンルが確立したのはいつ頃なんでしょうね。  私が子どもの頃には、すでに森進一や五木ひろしや矢代亜紀や都はるみといった人々が人気を博していました。 その他に、ムード歌謡というジャンルも人気がありましたね。 子どもの私にはその良さが分かりませんでした。 ついでに言うと、中年になった今もわかりません。 あまりにも情が強くて、すんなり耳に入ってこないのです。   明治初期の自由民権運動家が演説をする際にわかりやすく歌にして謡った、演説歌が最初だったと聞いたことがあります。 「オッペケペー節」がその代表格だとか。 その後政治風刺をからめながら庶民の哀歓を歌う演歌師なるものが現れ、さらにレコードの登場によって爆発的に演歌が広まっていったものと思われます。 演歌を指して日本の心だという言説を耳にすることがあります。  私はこれには非常な違和感を覚えます。 なぜなら演歌の歌詞というのが、花鳥風月をからめて恋や心情を遠回しに詠う、和歌や連歌などの伝統的な日本の歌謡とあまりにも異なっているからです。 むしろ民謡や童謡に日本の心を感じます。  演歌はむしろ、歌詞がストレートであるこ...
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高等遊民

最近、非正規雇用者の増大やニートが社会問題になっています。 明治末期から昭和初期にかけても、似たような問題がありました。 高等遊民の問題です。 高い教育を受けながら、就職せずにふらふら遊んでいるインテリです。 高等遊民というと、真っ先に思い浮かぶのは夏目漱石の「それから」に出てくる主人公でしょう。 高等教育を受けながら職に就かず、親からの仕送りで家に書生まで置いて読書や観劇にひたり、友人の奥さんと不倫する、どうしようもないやつです。 松田優作と藤谷美和子主演で映画化もされました。 ささやくようなセリフまわしの、静かな良い映画でした。 時の政府は高等遊民が共産主義や無政府主義などの反国家的な思想傾向を持ちやすいことから、これらを根絶やしにしようとしました。 つまり、職に就かせようというわけです。 しかし、高等遊民には武士は食わねど高楊枝的な態度の者が多く、求人があっても大学出の自分には不釣り合い、として断ってしまうことが多々あったと言います。 これなど、現在見られる大企業志向とだぶりますね。 高等遊民と言っても「それから」の主人公のように裕福な者ばかりではなく、生活のために日雇いの仕事を...
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屍鬼

最近インフルエンザが猛威をふるっているそうですね。 私は五年前インフルエンザにかかり、大変な思いをしたことから、その後毎年11月に予防接種を受けるようにしており、今のところ健康です。 インフルエンザに限らず、高熱が出ると、意識がおかしくなって、幻覚を見たり幻聴を聞いたり悪夢にうなされたりしますね。 私は繰り返し、吸血鬼の幻覚に悩まされました。 吸血鬼といっても、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」のような、吸血鬼でござい、という格好をしているわけではありません。 見た目は全く普通のおっさんやおばさん、にいちゃん、ねえちゃんが、病気の私を心配するようにベッドに近づいてきて、いきなりガブッとくるわけです。 敵だと思いもしなかった相手に攻撃されることほど怖ろしいことはありません。 インフルエンザから回復して、シンクロニシティ(必然性のある偶然、共時性ともいう)を感じる出来事がありました。 読もうと思って買っておいた長いホラー小説を回復してから読んだら、まるで私が見た幻覚とそっくりなのです。 その小説は、「屍鬼」と言います。 ある小さな村に洋館が建ち、ある一家が引っ越してきたことから、事件は発生...
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陽射し

今日は昨日とはうってかわって冷たい北風が吹いています。 惰弱な私は北風を嫌って、家に閉じこもっています。 そうは言っても、朝夕に日が伸びているのを感じ、冷たい空気のなかにも陽射しが強くなってきているのを実感します。 古来、わが国では花を待つ歌が詠まれてきました。 春を待ち焦がれる気持ちは、暖房が行き届かない時代には現代よりもつよかったことでしょう。 まして日本家屋は夏を快適に過ごせるように考えられてできています。 冬は隙間風が吹いてさぞ寒かったことでしょう。 私の実家は木造二階建ての古い家。 コンクリートで固めた現在住まうマンションに引っ越して、冬の暖かいのに驚きました。  朝夕に 花待つころは思ひ寝の 夢のうちにぞ 咲きはじめける     千載和歌集に見られる崇徳院の歌です。 花が咲くのを待つ思いが強くて、夢のなかで花が咲き始めた、という切ない思いを優美に詠んだものです。 今の私が花を待つ気持ちと、平安の昔に崇徳院が待った気持ちとでは、違いがあるように思うかもしれませんが、そうではないと思っています。 わがくにびとが花を待つ気持ちは、昔も今も変わらぬ、祈りのようなものです。 過去から...
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大寒

今日は大寒ですね。 その名のとおり、ここ数日、南関東でも底冷えの日が続いています。 幸い雪は降らず、連日晴天ですが、晴天ゆえの放射冷却と空気の乾燥に悩まされています。  冬を詠んだ句はたくさんありますが、わりと知られている句を数句。 大寒の  薔薇に異端の  香気あり  飯田龍太 本来初夏に咲くはずの薔薇が、おそらく温室栽培なのでしょう、大寒に咲いている。季節はずれにさく薔薇の美しさに異端をみたということでしょう。 大寒・薔薇・異端・香気と、二文字の漢語表現が俳句らしからぬ幻想美を生んでいるように思います。 大寒や 北斗七星 まさかさま 村上鬼城 何の用事があったのか、大寒の夜に外出したのでしょう。 寒空を見上げたら、北斗七星がさかさまに見える、不思議なことだ、ということでしょうか。 最後の、まさかさまがユーモラスですね。 冬日今  瞼にありて  重たけれ  高浜虚子 寒さの中にも冬の日があたって、しかも瞼にあたって眠くなる、そんな幸せな冬の日向ぼっこでしょうか。 私は毎日17時15分の定時で帰宅しています。 ここ数日、その時間に職場を出ると、西の空がうっすら明るく見えます。 冬至から...
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