文学 物語
物語というのは、それが文学作品であれ、映像作品であれ、舞台芸術であれ、なぜかくも私たちを魅了するのでしょうね。 物語というのはその名のごとく、元は語られるものであったはずです。 親が子に、祖父母が孫に語って聞かせるお話しが、物語の源流であったことでしょう。 そういう意味では、落語や講談など、一人で語って聞かせる芸が、もっとも原始的な物語なのではないでしょうか。 物語は経験をコントロールして道を説いたり、美的発明として物語作者に与えられた方法であったり、と考えがちですが、私はそれは正確ではないと思います。 物語は人間精神の基本的な活動であり、運動です。 物事を学習するのも、批判するのも、物語に拠っており、したがって生きることそのものが物語としか言いようがない事態が現出します。 私と他者との物語、社会的・個人的な過去と未来についての物語を紡ぎながら、私たちは日々、生きているのでしょう。 つまり生きることは物語であり、真実は物語の中に存在します。 その真実を問うとき、物語のあまりの膨大さに、私たちはしばし呆然とします。 膨大な物語のなかに、世界に関する物語と、私に関する物語が存在するように思...