夢かうつつか

文学

 今週も週末を迎える頃となりました。
 大過なく過ごせていることに、まずは感謝。

 猛暑、猛暑と言っていましたが、お盆を迎えて、今週は少し涼しかったように思います。
 立秋も過ぎて、秋の気配でしょうか。
 花見だ、若葉だ、梅雨だ、夏休みだ、月見だ、雪見だと、そしてまた正月だと、あわただしく時が流れるのは人の世の常でしょうか。

 昨日まで 花の散るをぞ惜しみこし 夢かうつつか 夏も暮れにけり

 
源実朝の歌です。
 「金塊和歌集」を残して、三十前に甥の公卿に暗殺されてしまいましたね。

 正岡子規はこの人の歌を絶賛して、もう10年生きていれば、どれだけ名歌を残しただろう、と惜しんでいます。

 惜しいけれども、長生きしてつまらぬ歌を残したかもしれず、今残っている実朝の歌を楽しむ他ありますまい。

 私はただ、時のうつろいに身をまかせるほか、生きようがないとおもうのです。

金槐和歌集 (岩波文庫)
源 実朝,斎藤 茂吉
岩波書店
われて砕けて―源実朝に寄せて
石川 逸子
文芸書房