残暑

文学

   ここ数日非常に厳しい残暑が続いていますね。
 まだエアコンなしでは眠れません。
 夏はあんまり暑くなかったように感じますが、残暑がしつこい感じがします。

 秋暑き 猫の横顔 たけだけし  日野草城

 猫の横顔がたけだけしいだなんて、よけい暑くなっちゃいますよ。
 うそでもいいから日向で気持ちよさそうに寝ていなさい。 

 
友を葬る 老の残暑の 汗を見る  高浜虚子

 これはまだ私にはわからない心境ですねぇ。
 友人の葬式というのは出たことがありません。
 ていうか、友人で死んだやつはまだいません。
 しかしそれでも、ドスのきいた、迫力ある句であることはなんとなくわかります。

 ぢりぢりと 向日葵枯るる 残暑かな  芥川龍之介 

 
これはまた、なんとも不気味な句ですねぇ。
 向日葵が枯れる風情というのは、他の花と違い、荒々しくて無様です。
 向日葵が、死そのもののような無残な姿をさらし、なお、暑い、というのですから、うんざりします。
 向日葵のグロテスクな花が枯れていくとは、句を読むだけで怖気がふるいますねぇ。

 残暑が厳しいからと、残暑の句ばかり見ていたら、よけい暑くなってしまいました。
 エアコンが普及する前、人々は暑さゆえの不快感に堪えていたのですねぇ。
 もう10日もすれば残暑は収まると思いますが、9月中旬を迎えて、これは参りましたねぇ。

日野草城―俳句を変えた男
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