彼岸の入り

文学

 今日は彼岸の入りですね。
 日本仏教独特のもので、彼岸(極楽浄土)を此岸(この世)から思い描く期間であり、善行を積むよう奨励されます。
 
 一方、元は日願と書いて太陽を拝む期間だったとする説もあります。
 どちらにしても、わが国民が大切にしてきた行事です。

 正岡子規に、

 毎年よ 彼岸の入りに 寒いのは

 という句があります。

 なるほど、今日は冷たい雨が降り、寒いですね。
 
 夏目漱石「彼岸過迄」という小説がありますが、こちらはストーリーの内容と直接関係がありません。
 高等遊民のおっさんと若い女と若い男がドロドロする恋愛小説で、私はあまり好きではありません。
 いったい夏目漱石と言う人、「吾輩は猫である」「坊ちゃん」と、ユーモアに富んだ乾いた名作で出発しながら、どういう心境の変化で「こころ」三四郎三部作のような、暗くてつまらぬものを書き散らすようになったんでしょうね。
 才能が泣くというものです。

 彼岸にはおはぎを食う習慣がありますが、もう30年くらい口にしていません。
 あんこでもち米を覆うというあの思想が許せないのですよ。
 お腹一杯になって他のものが食えなくなるし。

 正岡子規の寒い彼岸の入りより悲惨なのが、

 我村は ぼたぼた雪の ひがんかな  小林一茶

 でしょうか。
 三月も半ばを過ぎてぼたぼた雪が降る地方の皆さまの苦労がしのばれます。

 曇りしが 降らで彼岸の 夕日影  宝井其角  

 くらいが実際のところでしょうかねぇ。

彼岸過迄 (新潮文庫)
夏目 漱石
新潮社


吾輩は猫である (新潮文庫)
夏目 漱石
新潮社
坊っちゃん (新潮文庫)
夏目 漱石
新潮社
三四郎 (角川文庫)
夏目 漱石
角川書店

 

子規句集 (岩波文庫)
高浜 虚子
岩波書店
一茶俳句集 (岩波文庫)
小林 一茶,丸山 一彦
岩波書店

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