瘴気

文学

 この週末は冴えない感じでした。
 家でごろごろ。

 早くも春の瘴気に当てられているようです。

 遠白く 空は曇れりひそやかに 山椒の葉の かをり来る昼    窪田空穂

 はるか遠くまで曇っている空、どこからともなく山椒の香が漂っている、という感じでしょうか。

 私はこの和歌に瘴気を感じます。
 どこか不気味な感じがします。
 瘴気とは、平たく言えば悪い気配。
 その昔は伝染病などを指す意味もあったとか。
 でも私が使う瘴気は、まさに悪い気配とでも言うしかないもので、実体がありません。

 私には、春には瘴気が濃厚になるように感じられてならないのです。
 昔から、春愁とか春恨とか、そういう気配に当てられてわけもなく憂鬱になる感情を表す言葉が存在したところを見ると、時代と地域を問わず、春とは憂鬱なもののようです。

 早く桜が咲いて、狂気のように散ってしまえば、春の瘴気は桜とともに去っていくような気がします。
 早く桜の便りを聞きたいですねぇ。

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