震える舌

文学

 今日は今度の土日の国際シンポジウムでの出勤のため、振り替え休日。
 朝からのんびり過ごしています。

 今朝は少し古い映画を鑑賞しました。
 1980年製作の野村芳太郎監督に手になる、「震える舌」です。
 野村芳太郎監督といえば、「八つ墓村」とか「砂の器」など、スケールの大きいサスペンスが印象に残っています。

 そんな野村作品にあって、「震える舌」は異色の医療ドラマでした。
 幼稚園に通う娘が破傷風に感染。
 即日入院となります。
 破傷風は音や光などの刺激で激しい痙攣を引き起こすことから、病室には遮光カーテンがひかれ、薄暗い中で若い両親が病室につめます。
 両親の目の前で繰り広げられる残酷とも言える傷みを伴う治療が、観る者の心を打ちます。
 薬効効無く、日に日に病状は悪化。
 ついには心配停止まで追い込まれますが、必死の治療で回復していきます。

 その間、両親は娘の死を覚悟し、日に日にやつれていきます。
 とくに、今では大女優となった十朱幸代演じる若い母親は、完全におかしくなってしまいます。
 これ以上の治療を拒否したり、娘を自ら殺害しようとしたり。
 父親役の渡瀬恒彦も憔悴しきった表情で、娘の死を待ちます。

 そんな中、医師団の冷静さは特筆すべきものがあります。
 常に冷静沈着、必ず女の子は助かると言い続けます。
 入院は一ヶ月にも及び、ほぼ治ったと言うことで大部屋に移され、映画はハッピーー・エンドということになります。

 破傷風と言う病気、私はどういうものか知りませんでしたが、破傷風菌に感染すると、悪魔憑きのように激しい痙攣発作を起こし、舌をかんで口は真っ赤。
 これが日に何度も襲うのです。

 普通、幼い娘がそんな目にあったら、両親の精神状態がおかしくなるのも当然です。
 映画はまるでドキュメンタリーのように淡々と闘病の様子を描き出します。

 私が今まで観たことのない、リアルで強烈な医療ドラマでした。

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