馬鹿陽気

文学

 今日は馬鹿陽気ですね。

 千葉市の最高気温は18度。
 4月の初め頃の陽気だそうです。
 しかし残念なことに、朝から雨。

 13時を過ぎてようやく薄日がさしてきましたが、今さら出かけようという気持ちにはなりません。


 季節は着実に春を迎えようとしていますが、この時期、油断大敵です。
 三寒四温と言うとおり、水曜日は雨か雪の予報が出ています。
 今年は南関東にもよく雪が降ります。

 年によっては、3月の終わりや4月の初めに首都圏を雪が襲うこともありますし。

 そういえば、昔「なごり雪」という歌がヒットしましたね。
 なんだか湿っぽい歌で、私は毛嫌いしていました。

 ただ、なごり雪という言葉を造ったのはなかなかの言語感覚だと思います。
 元々日本語には無い言葉ですが、まるで昔からある言葉のような錯覚を覚えます。
 春に伴う別れの寂しさと、その心象風景と重ね合わせた雪景色が鮮やかに浮かんできます。

 久米正雄が造って日本語としてすっかり定着した感のある微苦笑にも匹敵する造語ではないかと思います。

 もっともわが国の文芸の世界では、よほどのことが無い限り造語は反則として固く戒められていますが。

 元来の日本語だと、残雪というのが近いかと思いますが、こちらは春になっても溶けずに残っている雪ということで、降りしきる雪というイメージはありません。

 残雪をストレートに詠んだ詩歌ですぐに思い浮かぶのは、村上鬼城の、

  残雪や ごうごうと吹く 松の風

 
に止めを刺すでしょうねぇ。

 寒々しい風景のなかにも春の訪れが近づく感じがよく出ています。

 今日はこのままわが家に籠り、早めに湯につかって一杯やろうと思っています。
 サザエとシマアジの刺身が手に入りましたので。

村上鬼城の世界
松本 旭
角川書店


久米正雄伝―微苦笑の人
小谷野 敦
中央公論新社

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