今朝はスペイン製のスリリングなサスペンスを鑑賞しました。
「ペインレス」です。
世の中には不思議な病気があって、痛みを全く感じない奇病に冒された患者がいるそうですね。
そういう人は大怪我や大火傷を何十回もくりかえすのだそうです。
痛みがどれほど生きる上で必要かが分かろうと言うものです。
この映画は、1931年、スペインのある村で、何十人もの痛みを感じない子どもたちが発見されたことによる悲劇を、現代と交錯させながら描いて見事です。
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痛みを感じない子どもたちは、自傷行為に及ぶばかりでは無く、人の痛みも理解できないため、他人をも傷つけてしまう危険な存在です。
そのため、村の幹部は子どもたちを刑務所の独房に生涯閉じ込めることにします。
時代はスペイン内戦から第二次世界大戦に向かい、戦後はフランコ独裁により苛烈な政治が続いた頃。
一方、現代。
ある中年医師が癌に冒され、両親から骨髄移植を受けなければ余命いくばくもないことが判明し、両親に頼みこみます。
しかし両親は、悲しげな顔で、希望に添いたいが、不可能だと言い放ちます。
問い詰める医師。
それまで息子にひた隠しにしていたことを打ち明けます。
要するに養子であるため、ドナーになることが出来ないというのです。
本当の親を求めて奔走するうち、1930年代から60年代にかけての、スペインの暗部とも言うべき事実が浮かび上がり、医師は深く傷ついていくのです。
彼は痛みを感じない、しかも残酷な少年の息子だったのです。
スペインのサスペンスと言うと、「私が、生きる肌」など、上質で奇抜で陰鬱な作品が多いように思います。
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歴史がそうさせるのか、風土がそうさせるのか分かりませんが。
観て損は無い作品だと思います。