大人の絵本「図書館奇譚」

文学

 今日は昨日とは打って変わって弱い雨が降りました。
 私は雨に閉じ込められて、絵本を楽しみました。

 村上春樹の小説にドイツ人の画家が幻想的な挿絵を描いた、豪華で美しい絵本「図書館奇譚」です。


 オスマン・トルコの収税政策について知りたくなった少年が、行き着けの図書館を訪れます。
 レファレンスで本を調べると、地下に行くよう司書に指示されます。
 100回以上通って、初めてその図書館に地下があることを知ります。

 地下では気が短い老人が本を探してくれ、迷路のような複雑な道を通って、閲覧室に案内されます。
 しかし、着いたところは監獄で、少年は足に鉄球をつけられ、収監されてしまうのです。

 何が起きているのか分からない少年。

 少年の世話をするのは、羊男と口が聞けない美少女。
 2人は老人に支配されています。

 老人の目的は、少年に本を読ませて知識を与え、しかる後少年の脳みそを吸うこと。
 知識が詰まった脳はじつに美味なのだそうです。

 脳みそを吸われると、人は悩みの無い、夢のような世界でぼんやり暮らすことになるというのです。

 新月の晩、少年は羊男と美少女とともに、脱出を試みるのです。


 奇妙で幻想的で読みやすい小説で、美しい挿絵にうっとりしながら、私はページを繰りました。

 村上春樹は間違いなくノーベル文学賞をもらうにふさわしい小説家だと思います。

 低気圧を吹き飛ばす、切なくも美しい、少年たちの冒険譚でしたねぇ。

図書館奇譚
村上 春樹
新潮社


にほんブログ村 本ブログ 純文学へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ