今日は「記憶破断者」というSFミステリを一気に読みました。
記憶が1時間くらいしかもたないという奇病、前向性健忘症を患う男と、他人の記憶を書き換えることができる超能力者との対決の物語。
他人の記憶を書き換えられることを悪用し、悪事のかぎりを尽くすダーク・ヒーロー。
1時間前のことも覚えていられない男はノートを持ち歩き、こと細かくメモし続けることで、相手に対峙しようとします。
ラスト近く、超能力者にノートを読まれることを想定し、あえて嘘を書いたり、重要なことを書かないでおいたりといった工夫をこらしていることが判明します。
しかも当の本人はそれすら忘れてしまうので、ノートに書かれたことが本当だと信じ、だからこそ相手を欺くことが出来るという仕掛け。
巧妙に仕組まれた物語で、堪能しました。
![]() | 記憶破断者 (幻冬舎単行本) |
小林泰三 | |
幻冬舎 |