終戦

文学

   今日は終戦記念日。
 例年であれば、狂気じみた暑さに襲われますが、今日はしとしと雨。

 涙雨、でしょうか?

 終戦のち 一年を過ぎ 世をおそる いきながらへて 死をもおそるる  齋藤茂吉

斎藤茂吉歌集 (岩波文庫)
山口 茂吉,佐藤 佐太郎,柴生田 稔
岩波書店

  たゝかひは 永久(トハ)に やみぬとたゝかひに 亡(ウ)せし子に告げ すべあらめやも  釈迢空

釈迢空全歌集 (角川ソフィア文庫)
岡野 弘彦
KADOKAWA/角川学芸出版

 72年目の終戦記念日を迎え、とくに思うところはありません。

 戦時中、戦争協力をしたことで、戦後、反省の日々をおくった齋藤茂吉。
 反省などしなくてよいのに。
 祖国が総力戦に突入してしまったら、祖国の勝利を信じて出来うるかぎりの協力をするのがどこの国でも当たり前なのに。
 それを許さないGHQ、そしてわが国の戦後の言論空間が怖ろしいです。

 切ないですねぇ。

 義理の息子を戦争で亡くした釈迢空。
 義理の息子と言いながら、事実上は同性の恋人でしょう。
 老いた歌人であり国文学者であった彼には辛いことでしたでしょう。

 この趣の異なる二首を紹介して、終戦記念日の記事に代えたいと思います。


にほんブログ村


人文ランキング