露の世

文学

  朝夕めっきり涼しくなりました。
 肌寒いほどです。

 そろそろ夜露に濡れる季節ですねぇ。

 露と言えば世の儚さを象徴する言葉。

 豊臣秀吉の辞世が特に有名ですね。

 露と落ち 露と消えにし 我が身かな 
         浪速のことも 夢のまた夢


 また、小林一茶は次のような句を残しています。

 露の世は 露の世ながら さりながら 

 この句は、同じ言葉を繰り返すという技法で、露のようなはかない人生を、秋の物寂しい味わいとともに見事に切り取っているように感じられます。

 はかない人生と知ってはいても、そうは言っても・・・

 後に続く言葉は何でしょうね。

 私の場合、俗っぽいですが、金の欲しさよ、でしょうか。

一茶句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
小林 一茶
角川学芸出版

 毎日が繰り返しのように見えるサラリーマン生活ですが、確実に終わりに向かって突き進んでいるのは確かで、露のようなものだと思えば、苦役のような仕事ですら、なんだか愛おしく感じられるから不思議です。

 秋の夜長に、露のような世の中を想ってみるのもまた一興でしょうか。