約束のネバーランド

映画

 午睡から目覚めて、肩の凝らない映画でも観ようと、DVDを借りました。
 借りたのは、「約束のネバーランド」

 子供向けのダークファンタジーです。

 ヨーロッパの古城を思わせる森の奥に建つ孤児院。
 孤児院の主はママと呼ばれ、孤児たちから慕われています。
 森の奥には柵があり、そこから出ていくことは固く禁じられています。
 しかしこの孤児院には秘密が隠されていました。

 孤児たちは、16歳になるまでに、必ず里親を見つけ、孤児院を卒業していきます。
 しかし、卒業というのは名ばかりで、実は人肉として出荷されるのです。

 地球は人肉が大好きな鬼と人間が激しい戦いの末、妥協のうえ、戦いは終わります。
 人間は人肉の農場を作り、鬼に売りつけるので、一般の人間は襲わない、という妥協。
 あまりにもむごい妥協です。


 その真実を知った子供たちがママを出し抜いて脱出する、というお話。

 古城、森林、白い服を身にまとった孤児たち。
 孤児たちはいずれも美少年、美少女です。
 寄宿舎のような孤児院。

 美的な要素が満載です。
 美的ではありますが、映画としては破綻しています。

 私が思ったのは、ノーベル賞作家、カズオ・イシグロの名作「わたしを離さないで」を映画化した作品との類似です。
 

 

 こちらは人肉ではなく、臓器提供を行うための孤児たちを収容した孤児院を描いています。
 森林や古城を思わせるたたずまいなど、「約束のネバーランド」とそっくりです。

 「約束のネバーランド」が子供向けの薄っぺらな作品であるのに対し、「わたしを離さないで」は、生きるとは、臓器移植とは、という難しい問題を静かに問いかけつつ、孤児同士の恋などが描かれ、重厚な物語に仕上がっています。

 原作も映画も素晴らしい出来です。

 盗作疑惑まであるようですが、肩の凝らない映画を観たかったので、そういう意味では気楽に観られる作品でした。

 ただし、どうせ見るなら「わたしを離さないで」をお勧めします。