今日はのんびりと読書をして過ごしました。
桜木紫乃の「凍原」という小説を読みました。
この作者にしては珍しいミステリーです。
終戦直後の樺太から命からがら北海道へ逃げ帰った女の半生とそれにまつわる殺人が雄大な時の流れのなかで語られます。
ただし、もともとがミステリー作家ではないし、ミステリー志向とは思えません。
小説家というものはイメージが定着することを嫌い、自分はこんな物も書けるんだ、あんな物も書けるんだと、色々な分野に手を出したりしがちです。
舟木一夫が一時「高校三年生」を歌うことを拒否したとか、太田裕美が「木綿のハンカチーフ」を封印したとかいう話を聞きます。
そればっかり求められると嫌になっちゃうのでしょうね。
この小説もそんな感じが漂っています。
自分は警察小説だって書けるんだ、と言う風な。
この作者はおそらく連作短編による雄大な物語や、中編程度のスパイスの効いた物語を書くことに長けているような気がします。