誰もいない夜に咲く

文学


 昨日はお気に入りの作家、桜木紫乃の短編集「誰もいない夜に咲く」を読みました。
 そういうタイトルの作品があるわけではありません。
 全体を通したタイトルです。
 最初の作品が印象に残りました。
 「海に咲く」です。
 中国から半ば買うようにして嫁を迎えた酪農家の長男。
 この男、30歳にして童貞です。
 中国人花嫁が人生最初の相手となります。
 中国の農村から買われてきたというにしては、二人の仲は順調です。
 ラスト、花嫁が「我愛爾」と呟き、夫がそれに合わせて「うお・あい・にい」と返すシーンは美しくもあります。
 意味は「I Love You」ということ。
 その他にも印象的な文章がありました。

 生きていれば、すべて過去にできる。
 死んでしまったら、望むと望まざると関係なく過去にされてしまう。


 貧乏性とは呼ばず、幸福のハードルが低いだけ

 豊かな読書体験ができたと思います。