文学

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ナチズムとオカルト

どうも体調がすぐれず、15時に早退しました。 その足で内科へ。 軽い風邪ということで、薬をもらって飲んだら急に元気になりました。 現代医学の威力は怖ろしいばかりです。 で、元気になると、性懲りもなくホラーが観たくなるのが私の悲しい性。 「デビルズ・ロック」というのを借りてきました。 ノルマンディー上陸作戦前日。 連合軍はナチス・ドイツの目をノルマンディーからそらすため、イギリス海峡の島々で破壊工作を行います。 その中の小島に、連合軍の一員であるニュージーランドの工作部隊が密かに潜入。 砲台を破壊します。 任務はそれだけだったのですが、要塞の中から間断なく女の悲鳴が聞こえてきます。 拷問が行われていると確信したニュージーランド兵は無謀にも要塞に潜入します。 そこで見たのは、あまたのドイツ兵の遺体。 唯一要塞にいたのは、ナチス・ドイツのSS大佐でした。 彼が言うには、ヒトラーの命を受け、地獄から悪魔を呼び出し、これを兵器としてロンドンに送り込む予定だったが、想像以上に悪魔の力が強く、人肉を喰らう悪魔にドイツ兵の大半が食われてしまったのだとか。 悲鳴を上げていたのは、悪魔封じにかけられた悪魔...
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ドリーム・ホーム

昨夜は香港の殺人劇をDVDで鑑賞しました。 香港は英国領であった当時、映画産業が盛んでした。 ブルース・リーやジャッキー・チェンやトニー・レオンなどのスターを生み、ジョン・ウ―やウォン・カーウァイなどの名監督を輩出しました。 しかし、1997年に英国は香港を中国に返還。 中国は香港を特別行政区とし、それまでどおり表現の自由を認めると表明しましたが、香港映画界は急速に衰退してしまいました。 政治が文化にどれだけ強い影響を与えるかを思い知らされましたね。 昨夜観た「ドリーム・ホーム」、1991年、1997年、2004年の時制を倒錯させながら、時代の波に翻弄される香港の若い女性が狂気の大量殺人に走る姿が描き出されます。 1991年、香港返還を数年後に控えた香港政府は海岸沿いの老朽化した団地を取り壊し、住民に引っ越しを迫ります。 そんな中、海が見える団地で育った少女は、漁師の祖父や、海沿いに住みたいと言う祖母や両親の願いを叶えるため、いつかベイ・エリアに家を買うのだと決意します。 不動産バブルが高騰する中、ベイ・エリアのマンションの値段は急騰。 大人になった彼女は昼は銀行で働き、夜はデパートで...
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からっぽ

おそらく日本文学史上、最もシニカルで、それでいて耽美主義的で、擬古典的な、矛盾する要素をたくさん持ちながら、完成度の高い文学作品を書き続けた作家は、三島由紀夫をおいて他にはおりますまい。 私は学生時代、多くの古典を大学の要請により読みましたが、当時最も心酔していたのは、三島由紀夫と石川淳と渋澤龍彦でした。 なかでも政治的発言が多く、最後は自衛官にクーデターを起こすよう決起を促し、割腹して果てるというその生き様死に様は、良くも悪くも私の精神形成に大きな影響を与えました。 彼は自決の四か月前、ある雑誌に日本の未来を予言する寄稿を寄せています。 私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行つたら「日本」はなくなつてしまうのではないかといふ感を日ましに深くする。日本はなくなつて、その代はりに、無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであらう。それでもいいと思つてゐる人たちと、私は口をきく気にもなれなくなつてゐるのである。 三島由紀夫の自決から42年、現在のわが国は彼の予言どおりになったでしょうか。 今のわが国は無...
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さっさと死ねるように

麻生副総理兼財務大臣、なかなかイカした発言をかましてくれちゃったようです。 「死にたいと思っても生きられる。政府の金で(高額医療を)やっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」 だそうで。 これ、死期が近付いたご当人が言うならともかく、他人が言うことじゃないですねぇ。 まるで姥捨て山みたいな発言です。 財務責任者としてそんなことを思う気持ちは分からないでもないですが、それ言っちゃあおしまいよみたいな感じです。 死期が近付いて、覚悟を決める人もいるでしょうが、自分だけはそう簡単に死なないと思いこむのも人情です。 ついに行く 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思わざりしを と詠んだのは存原業平でした。 「伊勢物語」に見られます。 希代のプレイボーイの辞世としてはありきたりな感じがしますが、多分偽らざる心境だったのでしょうねぇ。 名画「楢山節考」では、寒村の掟に従って老いた母を山の上に捨てに行く様子が描かれます。 一面人骨だらけの山の一隅で、老いた母は雪の中静かに端坐し、手を合わせて死を待ちます。 鬼気迫る場面でした。 この母は黙...
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大寒

今日は大寒ですね。 24節季の最後。 「暦便覧」では、冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也、と説明しています。 たしかに今日は北風が吹いて首都圏は寒いですが、晴れていて、南向きのわが家のリビングはぽかぽかです。 大寒というと思い出すのが、飯田龍太の、 大寒の 薔薇に異端の 香気あり という句ですねぇ。 飯田蛇笏の倅で、現代的な感覚で句作にいそしんだ人で、上の句は中でも有名なものでしょう。  上の句は本来初夏に咲くべき薔薇が冬に咲いて、その香気に異端を感じるというわけで、その言葉の選び方など、極めて幻想的で耽美的なものです。 その言葉遣いから、私は長いこと俳句の魔術師、西東三鬼の作と勘違いして覚えていました。 お恥ずかしいかぎりです。 西東三鬼の大寒の句といえば、 大寒や 転びて諸手 つく悲しさ  を挙げなければなりますまい。 ここには老境に到ったのであろう俳人の寂寥感が、冬の凍てつく感じとあいまって、独特の悲哀を感じさせます。 四季がはっきりしたわが国には、それぞれの季節ごとの楽しみがあり、特に冬のような厳しい季節には、なおさらそれを楽しむことによって、過酷な季節を乗り切ろうとした古...
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