文学

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師走何ぢゃ

師走も押し詰まってきました。 明日からの3連休を終えれば、もう今年も最後の週。 しかも私は年休消化のため、25日(火)に休暇を入れました。 4連休です。 これで今年も年休は完全消化。 計画的に休暇を取ってきたおかげです。 なんとなく気は急きますが、師走だ、師走だと騒いでも、良いことなどありはしません。 師走何ぢゃ 我酒飲まむ 君琴弾け 幸田露伴、号して蝸牛庵先生の俳句です。蝸牛庵句集 (1949年)幸田 露伴中央公論社露伴の俳話 (講談社学術文庫)高木 卓講談社 上手い句とは言い難いですが、師走がどうしたと開き直り、酒を飲もうという心意気が、天邪鬼と言おうか、偏屈と言おうか、いずれにせよ風狂の趣が漂います。 私はしがないサラリーマンゆえ、文人趣味とも風狂とも縁遠い生活をしていますが、忙しい師走に、あえて酒を飲みつつ琴を聞くような心境に、憧憬を覚えます。 もっとも私も、師走だろうが正月だろうが関係なく酒を呑む呑ん兵衛ですから、琴の音が無いだけで、同じようなことをしているとも言えます。 正月は呑むものと決まっていますが、師走に酒というのはあんまり相性が良くないのかもしれません。 最近は肝臓...
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ユートピア

昨夜は湊かなえの山本周五郎賞受賞作、「ユートピア」を一気に読みました。 文庫本で350頁。ユートピア (集英社文庫)湊 かなえ集英社 太平洋を望む美しい田舎町に引っ越した陶芸家や写真家ら芸術家たちと、地元の人々との物語。 ミステリーの要素もありますが、それはおまけ程度。 女同士のいやぁな感じの話に終始します。 一気に読ませる力はたいしたものですが、この作者の作品としてはやや物足りない感じがしました。 いやぁな感じの小説を書かせたら右に出る者がいない作者ですから、もっともっと嫌味な作品を期待しています。
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夜は満ちる

今日は久しぶりに寒い日となりました。 出かける気が起きず、久しぶりに読書など楽しみました。 小池真理子御大の短編集、「夜は満ちる」を読みました。夜は満ちる (集英社文庫)小池 真理子集英社 怪談というのか、ホラー小説というのか、そういうのに分類されるようですが、私は違った趣を感じました。 奇妙な味の、詩情あふれる幻想譚、という印象。 7つの短編からなる小説集ですが、震え上がるように怖いというのではなく、どこか切ないと言いましょうか。 至福の時を過ごさせてもらいました。
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露の世

朝夕めっきり涼しくなりました。 肌寒いほどです。 そろそろ夜露に濡れる季節ですねぇ。 露と言えば世の儚さを象徴する言葉。 豊臣秀吉の辞世が特に有名ですね。 露と落ち 露と消えにし 我が身かな          浪速のことも 夢のまた夢 また、小林一茶は次のような句を残しています。 露の世は 露の世ながら さりながら  この句は、同じ言葉を繰り返すという技法で、露のようなはかない人生を、秋の物寂しい味わいとともに見事に切り取っているように感じられます。 はかない人生と知ってはいても、そうは言っても・・・ 後に続く言葉は何でしょうね。 私の場合、俗っぽいですが、金の欲しさよ、でしょうか。一茶句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)小林 一茶角川学芸出版 毎日が繰り返しのように見えるサラリーマン生活ですが、確実に終わりに向かって突き進んでいるのは確かで、露のようなものだと思えば、苦役のような仕事ですら、なんだか愛おしく感じられるから不思議です。 秋の夜長に、露のような世の中を想ってみるのもまた一興でしょうか。
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壊される家族の記録

今日は一日雨。 涼しいのは良いですが、閉じ込められる感じが嫌です。 今日は晩飯の買い物に行った以外は、自宅でゆっくり過ごしました。 で、小説を一冊、読みました。 「侵蝕ー壊される家族の記録」、という、一種のホラー物です。侵蝕 壊される家族の記録 (角川ホラー文庫)櫛木 理宇KADOKAWA/角川書店 得体の知れない女がある家族に入り込み、言葉たくみに家族を支配し、家族同士を反目せしめ、あげく、殺し合いにまで発展し、というお話。 現実にあった事件とよく似ていて、新味はありませんが、ラストにちょっとした仕掛けがしてあります。 読みやすくて、文庫本で320頁ほどですが、一気に読んでしまいました。 でも、すぐ忘れそうな、軽い感じでした。 いわゆるライト・ノベルではないのですが、それい近い味わいです。 気楽に読むにはまぁまぁかなと思いました。
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咲きて桔梗の寂しさよ

今日は曇り時々雨。 すっかり涼しくなりました。 お彼岸を過ぎれば本格的な秋。 お彼岸までは、まだしばらくありますが、朝夕は確実に涼しくなりました。 かたまりて 咲きて桔梗の 寂しさよ 久保田万太郎の句です。  この人の句には、メランコリーというか、どこか憂愁の味わいを感じさせられます。久保田万太郎全句集久保田 万太郎中央公論新社 春愁秋思、という言葉がありますね。 三省堂四字熟語辞典には、 春の日にふと感じる物悲しさと、秋にふと感じる寂しい思い。よい気候のときに、なんとなく気がふさぐこと。また、いつも心のどこかに悲しみや悩みがあること。▽「春愁」は春の日のもの思い、春に感じる哀愁、「秋思」は秋の寂しいもの思いの意。 とあります。 もともとは、白居易(白楽天とも)の「陵園妾」という漢詩に見られる言葉です。白楽天 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)下定 雅弘KADOKAWA それにしても、過ごしやすい季節に寂しい物思いに沈むのはなぜでしょうね。 なぜかはともかく、実感として、春の憂いや秋の物思いというもの、物心ついたあ頃からなんとなく感じてはいました。 四季のある風...
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思い出は満たされないまま

先週の土曜日から始まった6日間の短い夏休みは今日まで。 明日から出勤です。 もっとも、明日は金曜日ですから、明日一日行けばまた土日なんですけどね。 金曜日も休暇を入れるという手もあったのですが、そうすると来週の週明け、おそろしく行きたくなくなるだろうなと思い、リハビリのつもりで明日出勤することにしました。 今日は静かに読書などを楽しんでいます。 「思い出は満たされないまま」、というノスタルジックな連作短編集を読みました。思い出は満たされないまま (集英社文庫)乾 緑郎集英社 多摩の古い団地を舞台に、様々は奇妙で不思議な物語が紡ぎだされます。 立入り禁止の神社の裏にある小山で神隠しにあう少年。  団地に核シェルターを設置するという話が持ち上がり、試しに数日間核シェルターで暮らす家族のありようとともに描かれる、認知症の母親を介護しながら、自治会の副会長を務める男と、かつて団地に住んでいたホームレスの男との不思議な交流。 ため池で釣りをする謎の老人と少年達。  かつて悪役のプロレスラーだった孤独な老人を、ライバルだった米国人レスラーが訪ねてくる話。 小説を書く高校生男女が、ある空き部屋で世界...
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兵器と軍隊の廃絶

昨日は広島に原爆が投下されてから73年目の記念日でした。 さすがに73年も経てば被爆者が減るのは当然です。 生まれたばかりで被爆した赤ちゃんが73歳の老人になるほどの年月ですからねぇ。 被爆者手帳を持っている人は、亡くなるとその名が平和公園に刻まれるのだとか。 しかし原爆投下から73年後に亡くなった人が原爆被害者だとは、私には思えません。 私の母は4歳だか5歳だかの時に長崎で被爆し、被爆者手帳を持っていますが、ピンピンしています。 被爆者手帳を持っていると、都営バスや都営地下鉄が無料になるそうで、しかも実家の最寄り駅は都営新宿線。 むしろ利益を得ているような気がしてなりません。 昨日のNHKの番組では、被爆二世までもが差別された時代があった、と報じていましたが、被爆二世である私は、差別された経験は皆無です。 むしろ広島と長崎でのみ、そういう差別があったのではないかと推測します。 「黒い雨」でも、広島で、被爆者である年頃の娘が差別される話が描かれます。黒い雨(新潮文庫)井伏 鱒二新潮社黒い雨 デジタルニューマスター版 今村昌平,井伏鱒二,石堂淑朗東北新社 井伏鱒二の名作で、映画化もされて...
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文藝の翼

8月に入りました。 本来であれば、いよいよ夏本番といった時季ですが、今年は梅雨明けが異常に早かったため、早くも、なんとなく夏の終りを感じさせて、寂しい気配に心が揺さぶられます。 私は8月22日生まれ。 もうじき49歳になります。 夏生まれの、夏嫌い。 夏は荒々しいまでの、生の力を感じさせて、私はそれに圧倒されます。 35歳くらいまで、いつかは小説家になって、文藝の世界で活躍したいと思い、同人誌などに作品を発表し続けました。 同人誌仲間の間では、最もプロに近いと認められ、私は必ずプロになれると信じていました。 しかし思いがけず、精神障害を発症。 その後は治療と、まともにサラリーマンを続けることが目標になりました。 私の背中には、もはや文藝の翼が生えることはありますまい。 Boys, be ambitious.(少年よ、大志を抱け)と言ったのは、札幌農学校(現在の北海道大学)のクラーク博士でした。 大志や野望を抱いていても、それを叶えられないのが圧倒的多数の凡人たちで、しかしその凡人たちが社会を支え、動かしているfのもまた事実。 私はもはや凡人の王として、余生を過ごす他なさそうです。 15...
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政治あるいは歴史における物語

先ごろ、わが国はワールドカップでベルギーに惜敗し、8強進出はなりませんでした。 それは誠に残念なことですが、今回のワールドカップによるわが国をめぐる物語が、二転三転したことは興味深く感じられます。 予選リーグでは3連敗を予想する解説者もいるなか、一勝一分け。 これは物語の始まり。 しかし、ポーランド戦で、わが国はあえて1点差での負けを選び、10分にも渡って無駄なパスを続け、わが国には、フェアプレーの精神が欠けているだとか、それでも侍か、だとか批判をされて、わが国は予選突破のためにはなんでもやるダーティな国、という物語が生まれたと感じました。 ところが決勝トーナメントにおいて、ベルギーに善戦したことにより、諦めないチーム、組織力の強いチームという物語が、泣きながらゴミ拾いをするサポーターとともに、美しくよみがえったように感じます。 私は何度もこのブログで、物語の中にしか真実は存在し得ない、と指摘してきました。 ことはサッカーのような、実生活にさしたる影響を及ぼさない事柄に限りません。 大日本帝國はかつて、東亜解放の大義名分を掲げて、太平洋戦争を戦いました。 今でも、あれは聖戦であったとい...
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機巧のイブ 新世界覚醒篇

せっかくの土曜日ですが、あいにくの雨。 梅雨時ですから仕方ありますまい。 午前中は、静かに読書をして過ごしました。 以前読んだ、SF時代伝奇ロマン、「機巧のイブ」の続編、「機巧のイブ 新世界覚醒篇」を読みました。機巧のイヴ: 新世界覚醒篇 (新潮文庫)乾 緑郎新潮社 「機巧のイブ」の感想は以下からお読みください。          ↓機巧のイヴ (新潮文庫)乾 緑郎新潮社 美しい女の姿をした機巧=ロボットの伊武。 江戸時代後期を舞台とした前作から、ざっくり百年後。 今度は米国を模したと思しき新世界大陸を舞台として、伊武を巡る物語が描かれます。 前作が、どちらかというとかちっとまとまった、文学的香気の漂う作品だったのに対し、「新世界覚醒篇」は、大活劇というか、エンターテイメントに徹した感じで、伊武の役割というか、比重が落ちているように感じられ、そこは残念な点。 ただし、面白さという点においては、前作を圧倒しています。 伊武を欲しがる大会社や、そこに雇われて伊武を盗もうとする私立探偵、伊武に恋する少年、私立探偵の暗い過去、伊武の秘密を知りたがる電気会社の技術屋であり社長でもある女などが、物...
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滅びの園

昨夜は、当代の作家で私が最も偏愛する、恒川光太郎の最新作を一気に読みました。 滅びの園です。滅びの園 (幽BOOKS)恒川 光太郎KADOKAWA 相変わらず平易な文章で美しく切ない世界が繰り広げられますが、今作はSF的要素が大きかったように思います。 突如上空に現れた未知なるもの。 そこには、穏やかで美しい、想念の世界が広がっています。 なぜかそこに住むことになった鈴上という男の目線で、甘美な世界での生活が描かれます。 しかし、未知なるものの影響か、地上にはプーニーと呼ばれる不定形生物が爆発的勢いで増殖していきます。 プーニーに対する耐性が弱い人間は、それに触れただけで死んでしまいます。 プーニーに対する耐性が高い者は、これを退治するために活躍します。 プーニーを根絶させるには、未知なるものの核を破壊するしかないと考えられています。 しかし、核とは何なのか、最後まで明かされません。 想念の世界で生きる鈴上の存在が人類滅亡の危機を救うと考えられ、次元移動装置を使って、何百人もの人が、未知なるものに突入していきますが、生還できた者は一人もいません。 そして、甘美な生活を送る鈴上は、地球か...
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紫陽花

今日は雨。 いよいよ梅雨でしょうか。 嫌な季節が始まります。 紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 正岡子規の句です。 6月と言えば紫陽花。 紫陽花が日々色を変えていく様を擬人化したものでしょうか。 私はと言えば、毎日嘘で固めた生活を送っています。 なにしろ毎日出勤しているということ自体、私には嘘のような話です。 これからも嘘を重ねて年を取っていくんでしょうねぇ。
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メルキオールの惨劇

昨夜はかなりぶっ飛んだ小説を読みました。 「メルキオールの惨劇」です。メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)平山 夢明角川春樹事務所 人の不幸を犯罪遺族など、人の不幸を喜ぶ老人に依頼されて片田舎の一家に潜入した男が経験する奇妙な世界の物語です。 なにしろ登場人物がかなりイッチャッテいます。 まるで躁うつ病患者のように、天才になったり、白痴になったりを繰り返す男。 この男は白痴の時は朔太郎と名乗り、天才になるとメルキオールと名乗ります。 こいつには二人の弟がおり、一人はいずれ白痴化が免れない、今は天才のバルタザール。 末っ子は殺害されており、末っ子の殺害を巡って、男は不幸の証拠を集めようとするのです。 独特の文体、比喩の多様、まるで米国の片田舎を描いたような風情ですが、舞台は日本の田舎です。 好悪の分かれる作品だと思います。 私にはちょっと付いていけない感じでしたが、はまる人ははまるでしょうね。 イッチャッテる物語をお求めの方は是非どうぞ。
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忙しい1日を終え、20時ちょっと前に帰宅。 あわててシャワーを浴びて、今、焼酎をやっています。 父が亡くなって丸4年くらいは、毎晩飲んでいました。 父が亡くなった直後は、ほとんど毎日二日酔いでした。 仕事に支障を来たしかねない状況で、よくもあれだけ飲んでいたものです。 それほど、父の死は私にとって大きな出来事でした。 それが最近は、飲酒も週に3日か4日。 ご清潔になったものです。 さすがに父の死も、過去の出来事になったようです。  酒飲みは、正月だとか花見だとか、うれしいだとか悲しいだとか、何かと理由をつけて飲みたがりますが、じつは理由なんてありません。 ただ飲みたいだけ。 白玉の 歯にしみとおる 秋の夜の 酒はしずかに 飲むべかりけり と、詠んだののは、若山牧水でした。 酒の飲みすぎで43歳で亡くなっています。 この歌は、酒を詠って最強にして空前絶後でしょうねぇ。 もっとも、秋の夜のみならず、年がら年中、飲んでいたそうです。 朝に二合、昼二合、夜六合、欠かさず飲んでいたそうです。 多分依存症だったんでしょうね。 私はそんな酒豪ではありませんが、一日の憂さを晴らすのに、酒ほど手っ取り早...
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