文学

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お暇

今朝、お盆の迎えに行ってきました。 先般亡くなった義父は49日がまだなので、お骨は同居人の実家にあり、今頃は中有の闇を彷徨っているでしょうから、義父の迎えではなく、はるか昔に亡くなった同居人の家族の迎え。 例年ですと義父母夫婦二人だけで行くところ、今年は結婚以来初めて私と同居人と義母で行きました。 実父が亡くなったときもそうでしたが、人間なんて呆気ないものだと実感します。 ほんの80年ほど、人の世を渡り歩いて、あの世に行ってしまうのですから。 そう思うと、自身が死ぬときのことを想像せずにはいられません。 いくつまで生きるのか、どうやって死ぬのか。 いずれにしろ、あと30年ばかりの寿命でしょう。 その間にどんなことが起こるのか。 今まで時の流れに身を任せて、ふらふらと生きてきた私ゆえ、これからもそうなんでしょうね。 せめてもの救いは、平和な時代に生まれ、平和を当たり前のこととして生きていること。 殺し合いなんて愚かなことに明け暮れる時代に生まれなくて本当に良かったと思います。 この平和が維持せられることを強く望みます。 この世をば どりゃお暇(いとま)に 線香の 煙とともに 灰(はい)左...
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梅雨の晴れ間

降るものにして 日和は 梅雨のまうけもの 正岡子規の俳句です。 梅雨の晴れ間を詠んだものと見えます。 まさしく今日のような日。 しかし、一日中事務室にいたのでは、もうけもの、という訳にもいきますまい。
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待ち遠しい

休日が はや待ち遠し 月曜日 ネットで偶然みつけた川柳です。 サラリーマンも学生さんも共感するのではないでしょうか。 森鴎外は軍医としてトップの地位にまで上り詰めながら、多くの文学作品を残しました。 軍医としての仕事を、芝居をしているようだ、と嘆いています。 夜、執筆に励んでいる自分こそが本当であり、軍医としての自分は、その役割を演じているに過ぎない、というわけです。 その気持ち、よく分かります。 私は家に帰ってからの執筆活動など、とうの昔に止めてしまいましたが、ただテレビを観るだけでも、風呂に入るだけでも、そこには本当の自分がいるように感じます。 職場にいる自分は、しょせん、与えられた役割を演じているにすぎません。 大方の人は、それぞれ与えられた役割を演じているに過ぎないのではないでしょうか。 役割を演じなければ、収入を得られないとは、悲しいことですね。 でも中には、仕事にのめり込み、仕事中の自分こそ本当の自分だと感じている人もわずかながらいるわけです。 うらやましいかぎりです。 冒頭の川柳のように、月曜日から毎日、次の休みが待ち遠しいのは、生来の怠け者なのか、仕事嫌いなのか、私の悪...
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梅雨入り

今日は雨。 いよいよ梅雨入りでしょうか。 五月雨や 大河を前に 家二軒 与謝蕪村の俳句です。 五月雨のなか、激流となっている川の前に家が二軒建っている、という絵画的な句です。 正岡子規が、かつて松尾芭蕉の有名な、 五月雨を 集めて早し 最上川 よりも優れていると評して、当時の俳壇は騒然となったと伝えられます。 どちらが優れているかはお好みでしょうが、私は与謝蕪村を偏愛していますから、俳聖、芭蕉をしのいでいる面もあろうかと思います。蕪村句集 現代語訳付き     (角川ソフィア文庫)玉城 司角川学芸出版 それにしても、川っぺりに建つ二軒の家はどうなったのでしょうね。 無事だと良いのですが。 まさか流されたんじゃ? そんな想像を掻き立てる句ですね。 雨の休日には、家に閉じこもり古人の詩歌に親しむという楽しみもあります。 お出かけばかりが能ではありますまい。
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幻夏

昨日はのんびり読書などして過ごしました。 「幻夏」というミステリーを読みました。幻夏 (角川文庫)太田 愛KADOKAWA 23年前の夏。 小学校6年生の尚と3年生の拓の兄弟、それに友人の6年生、亮介は忘れられない夏休みを過ごします。 それはただ楽しいと言うだけではなく、最後の楽しい夏休みでした。 どこか名作、「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせ、かつて少年だった私自身の思い出ともリンクして、ノスタルジックな思いに駆られます。スタンド・バイ・ミー ウィル・ウィートン,リバー・フェニックス,コリー・フェルドマン,ジェリー・オコネルソニー・ピクチャーズエンタテインメントスタンド・バイ・ミー コレクターズエディション ウィル・ウィートン,リバー・フェニックス,コリー・フェルドマン,ジェリー・オコネルソニー・ピクチャーズエンタテインメント しかし、新学期早々、尚が失踪。 川辺に尚のランドセルがあったことから、水死したものと思われます。 死体は上がらず、迷宮入り。 23年も経って、尚の母親は興信所に尚の行方を捜してほしいと依頼します。 興信所の探偵は、今は警察官となった亮介と協力して、尚の行方を...
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悪いものが、来ませんように

昨夜は小説を読みました。 芹沢央という作家の「悪いものが、来ませんように」です。 恒川光太郎の作品を集中して全て読んでしまって以来、あまり小説を読まなくなったなと思って、帰りに駅前の本屋に寄り、気楽に読めるホラーかミステリーを探していて、「悪いものが、来ませんように」というタイトルに魅かれ、購入。 夕食後、何の先入観も持たずに読み始めました。 文庫本で300頁足らずですが、一気に読みました。 ホラーではなく、ミステリーでした。 異常なほど仲の良い、奈津子と紗英の二人の女性を軸に物語は進みます。 その中の良さは薄気味悪いほどです。 奈津子は専業主婦として家事に子育てに奮闘中。 紗英は助産院に助手として勤めながら、不妊治療に精を出しています。 二人は互いに依存しながら暮らしているわけですが、関係性が変化せざるを得ない事件が勃発。 そして怒涛のラストへと突入。 物語は急展開を見せ、あっと驚く結末へ。 これから読む方がいるかもしれませんので、くわしい内容は書かないでおきます。 ネタバレになってしまいますので。悪いものが、来ませんように (角川文庫)芦沢 央KADOKAWA/角川書店 本の帯に「...
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初雪の

首都圏は長いこと晴か曇りの日が続き、空気はカラカラに乾いていました。 そのせいか、インフルエンザが大流行。 私の職場は学級閉鎖のような状態になっています。 幸い、私は感染していません。 それが今日、久しぶりに雨が降りました。 夜にかけて雨脚が強まり、深夜から未明にかけて平地でも雪になるところがある、との予報。 23区は、初雪はわずかばかりですが、以前降ったと記憶していますが、千葉市はまだのはず。 初雪の 底を叩けば 竹の月 与謝蕪村の句です。  初雪が降りやんで、月が竹林を照らしている、その底冷えのするなかの美しい情景を詠んで見事です。蕪村句集 現代語訳付き     (角川ソフィア文庫)玉城 司角川学芸出版 私が住まう千葉市が雪になるかは微妙。 千葉は関東のなかでは温暖なほうですから。 それでも、毎年1度や2度は雪に見舞われます。 今年は降らないなぁと、残念なようなほっとするような気分でいました。 例え降らなくても、気分だけ、雪見酒としゃれ込みたいものです。 年が明けて日に日に忙しくなり、これから年度末までは怒涛の日々。 せめては冬の楽しみを、素直に楽しみたいと思っています。
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籠り居

仕事始めから一週間が過ぎて、ようやっと、仕事も軌道に乗ってきたようです。 言い換えれば、忙しくなってきたということ。 どこでもそうでしょうが、1月から3月に向けては、どうしても忙しくなります。 寒いし、忙しいし、嫌な時季です。 土曜日は少しですが、雨か雪が降る予報。 首都圏では雪は大ニュースですが、積もることはなさそうです。 うずみ火や 我かくれ家も 雪の中 私が偏愛する与謝蕪村の俳句です。 冬の醍醐味は、とても寒い日に、暖かい自宅に籠り居ることでありましょう。 その郷愁を美しく表現していると思います。蕪村句集 現代語訳付き     (角川ソフィア文庫)玉城 司角川学芸出版 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 という、三好達治の短い詩へ与えた影響、あるいは類似点を指摘する声も多く聞かれます。 この詩も、冬の郷愁に満ちたものだと感じます。 太郎と次郎とは何者じゃ?などと無粋は言いますまい。 兄弟仲良く枕を並べて眠っているようにも、家族ではなく、それぞれの家に雪が降っているようにも受け取れます。 どう受け取るかは、読む者の勝手。  私は、近所に住...
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師走何ぢゃ

師走も押し詰まってきました。 明日からの3連休を終えれば、もう今年も最後の週。 しかも私は年休消化のため、25日(火)に休暇を入れました。 4連休です。 これで今年も年休は完全消化。 計画的に休暇を取ってきたおかげです。 なんとなく気は急きますが、師走だ、師走だと騒いでも、良いことなどありはしません。 師走何ぢゃ 我酒飲まむ 君琴弾け 幸田露伴、号して蝸牛庵先生の俳句です。蝸牛庵句集 (1949年)幸田 露伴中央公論社露伴の俳話 (講談社学術文庫)高木 卓講談社 上手い句とは言い難いですが、師走がどうしたと開き直り、酒を飲もうという心意気が、天邪鬼と言おうか、偏屈と言おうか、いずれにせよ風狂の趣が漂います。 私はしがないサラリーマンゆえ、文人趣味とも風狂とも縁遠い生活をしていますが、忙しい師走に、あえて酒を飲みつつ琴を聞くような心境に、憧憬を覚えます。 もっとも私も、師走だろうが正月だろうが関係なく酒を呑む呑ん兵衛ですから、琴の音が無いだけで、同じようなことをしているとも言えます。 正月は呑むものと決まっていますが、師走に酒というのはあんまり相性が良くないのかもしれません。 最近は肝臓...
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ユートピア

昨夜は湊かなえの山本周五郎賞受賞作、「ユートピア」を一気に読みました。 文庫本で350頁。ユートピア (集英社文庫)湊 かなえ集英社 太平洋を望む美しい田舎町に引っ越した陶芸家や写真家ら芸術家たちと、地元の人々との物語。 ミステリーの要素もありますが、それはおまけ程度。 女同士のいやぁな感じの話に終始します。 一気に読ませる力はたいしたものですが、この作者の作品としてはやや物足りない感じがしました。 いやぁな感じの小説を書かせたら右に出る者がいない作者ですから、もっともっと嫌味な作品を期待しています。
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夜は満ちる

今日は久しぶりに寒い日となりました。 出かける気が起きず、久しぶりに読書など楽しみました。 小池真理子御大の短編集、「夜は満ちる」を読みました。夜は満ちる (集英社文庫)小池 真理子集英社 怪談というのか、ホラー小説というのか、そういうのに分類されるようですが、私は違った趣を感じました。 奇妙な味の、詩情あふれる幻想譚、という印象。 7つの短編からなる小説集ですが、震え上がるように怖いというのではなく、どこか切ないと言いましょうか。 至福の時を過ごさせてもらいました。
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露の世

朝夕めっきり涼しくなりました。 肌寒いほどです。 そろそろ夜露に濡れる季節ですねぇ。 露と言えば世の儚さを象徴する言葉。 豊臣秀吉の辞世が特に有名ですね。 露と落ち 露と消えにし 我が身かな          浪速のことも 夢のまた夢 また、小林一茶は次のような句を残しています。 露の世は 露の世ながら さりながら  この句は、同じ言葉を繰り返すという技法で、露のようなはかない人生を、秋の物寂しい味わいとともに見事に切り取っているように感じられます。 はかない人生と知ってはいても、そうは言っても・・・ 後に続く言葉は何でしょうね。 私の場合、俗っぽいですが、金の欲しさよ、でしょうか。一茶句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)小林 一茶角川学芸出版 毎日が繰り返しのように見えるサラリーマン生活ですが、確実に終わりに向かって突き進んでいるのは確かで、露のようなものだと思えば、苦役のような仕事ですら、なんだか愛おしく感じられるから不思議です。 秋の夜長に、露のような世の中を想ってみるのもまた一興でしょうか。
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壊される家族の記録

今日は一日雨。 涼しいのは良いですが、閉じ込められる感じが嫌です。 今日は晩飯の買い物に行った以外は、自宅でゆっくり過ごしました。 で、小説を一冊、読みました。 「侵蝕ー壊される家族の記録」、という、一種のホラー物です。侵蝕 壊される家族の記録 (角川ホラー文庫)櫛木 理宇KADOKAWA/角川書店 得体の知れない女がある家族に入り込み、言葉たくみに家族を支配し、家族同士を反目せしめ、あげく、殺し合いにまで発展し、というお話。 現実にあった事件とよく似ていて、新味はありませんが、ラストにちょっとした仕掛けがしてあります。 読みやすくて、文庫本で320頁ほどですが、一気に読んでしまいました。 でも、すぐ忘れそうな、軽い感じでした。 いわゆるライト・ノベルではないのですが、それい近い味わいです。 気楽に読むにはまぁまぁかなと思いました。
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咲きて桔梗の寂しさよ

今日は曇り時々雨。 すっかり涼しくなりました。 お彼岸を過ぎれば本格的な秋。 お彼岸までは、まだしばらくありますが、朝夕は確実に涼しくなりました。 かたまりて 咲きて桔梗の 寂しさよ 久保田万太郎の句です。  この人の句には、メランコリーというか、どこか憂愁の味わいを感じさせられます。久保田万太郎全句集久保田 万太郎中央公論新社 春愁秋思、という言葉がありますね。 三省堂四字熟語辞典には、 春の日にふと感じる物悲しさと、秋にふと感じる寂しい思い。よい気候のときに、なんとなく気がふさぐこと。また、いつも心のどこかに悲しみや悩みがあること。▽「春愁」は春の日のもの思い、春に感じる哀愁、「秋思」は秋の寂しいもの思いの意。 とあります。 もともとは、白居易(白楽天とも)の「陵園妾」という漢詩に見られる言葉です。白楽天 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)下定 雅弘KADOKAWA それにしても、過ごしやすい季節に寂しい物思いに沈むのはなぜでしょうね。 なぜかはともかく、実感として、春の憂いや秋の物思いというもの、物心ついたあ頃からなんとなく感じてはいました。 四季のある風...
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思い出は満たされないまま

先週の土曜日から始まった6日間の短い夏休みは今日まで。 明日から出勤です。 もっとも、明日は金曜日ですから、明日一日行けばまた土日なんですけどね。 金曜日も休暇を入れるという手もあったのですが、そうすると来週の週明け、おそろしく行きたくなくなるだろうなと思い、リハビリのつもりで明日出勤することにしました。 今日は静かに読書などを楽しんでいます。 「思い出は満たされないまま」、というノスタルジックな連作短編集を読みました。思い出は満たされないまま (集英社文庫)乾 緑郎集英社 多摩の古い団地を舞台に、様々は奇妙で不思議な物語が紡ぎだされます。 立入り禁止の神社の裏にある小山で神隠しにあう少年。  団地に核シェルターを設置するという話が持ち上がり、試しに数日間核シェルターで暮らす家族のありようとともに描かれる、認知症の母親を介護しながら、自治会の副会長を務める男と、かつて団地に住んでいたホームレスの男との不思議な交流。 ため池で釣りをする謎の老人と少年達。  かつて悪役のプロレスラーだった孤独な老人を、ライバルだった米国人レスラーが訪ねてくる話。 小説を書く高校生男女が、ある空き部屋で世界...
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