文学

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兵器と軍隊の廃絶

昨日は広島に原爆が投下されてから73年目の記念日でした。 さすがに73年も経てば被爆者が減るのは当然です。 生まれたばかりで被爆した赤ちゃんが73歳の老人になるほどの年月ですからねぇ。 被爆者手帳を持っている人は、亡くなるとその名が平和公園に刻まれるのだとか。 しかし原爆投下から73年後に亡くなった人が原爆被害者だとは、私には思えません。 私の母は4歳だか5歳だかの時に長崎で被爆し、被爆者手帳を持っていますが、ピンピンしています。 被爆者手帳を持っていると、都営バスや都営地下鉄が無料になるそうで、しかも実家の最寄り駅は都営新宿線。 むしろ利益を得ているような気がしてなりません。 昨日のNHKの番組では、被爆二世までもが差別された時代があった、と報じていましたが、被爆二世である私は、差別された経験は皆無です。 むしろ広島と長崎でのみ、そういう差別があったのではないかと推測します。 「黒い雨」でも、広島で、被爆者である年頃の娘が差別される話が描かれます。黒い雨(新潮文庫)井伏 鱒二新潮社黒い雨 デジタルニューマスター版 今村昌平,井伏鱒二,石堂淑朗東北新社 井伏鱒二の名作で、映画化もされて...
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文藝の翼

8月に入りました。 本来であれば、いよいよ夏本番といった時季ですが、今年は梅雨明けが異常に早かったため、早くも、なんとなく夏の終りを感じさせて、寂しい気配に心が揺さぶられます。 私は8月22日生まれ。 もうじき49歳になります。 夏生まれの、夏嫌い。 夏は荒々しいまでの、生の力を感じさせて、私はそれに圧倒されます。 35歳くらいまで、いつかは小説家になって、文藝の世界で活躍したいと思い、同人誌などに作品を発表し続けました。 同人誌仲間の間では、最もプロに近いと認められ、私は必ずプロになれると信じていました。 しかし思いがけず、精神障害を発症。 その後は治療と、まともにサラリーマンを続けることが目標になりました。 私の背中には、もはや文藝の翼が生えることはありますまい。 Boys, be ambitious.(少年よ、大志を抱け)と言ったのは、札幌農学校(現在の北海道大学)のクラーク博士でした。 大志や野望を抱いていても、それを叶えられないのが圧倒的多数の凡人たちで、しかしその凡人たちが社会を支え、動かしているfのもまた事実。 私はもはや凡人の王として、余生を過ごす他なさそうです。 15...
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政治あるいは歴史における物語

先ごろ、わが国はワールドカップでベルギーに惜敗し、8強進出はなりませんでした。 それは誠に残念なことですが、今回のワールドカップによるわが国をめぐる物語が、二転三転したことは興味深く感じられます。 予選リーグでは3連敗を予想する解説者もいるなか、一勝一分け。 これは物語の始まり。 しかし、ポーランド戦で、わが国はあえて1点差での負けを選び、10分にも渡って無駄なパスを続け、わが国には、フェアプレーの精神が欠けているだとか、それでも侍か、だとか批判をされて、わが国は予選突破のためにはなんでもやるダーティな国、という物語が生まれたと感じました。 ところが決勝トーナメントにおいて、ベルギーに善戦したことにより、諦めないチーム、組織力の強いチームという物語が、泣きながらゴミ拾いをするサポーターとともに、美しくよみがえったように感じます。 私は何度もこのブログで、物語の中にしか真実は存在し得ない、と指摘してきました。 ことはサッカーのような、実生活にさしたる影響を及ぼさない事柄に限りません。 大日本帝國はかつて、東亜解放の大義名分を掲げて、太平洋戦争を戦いました。 今でも、あれは聖戦であったとい...
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機巧のイブ 新世界覚醒篇

せっかくの土曜日ですが、あいにくの雨。 梅雨時ですから仕方ありますまい。 午前中は、静かに読書をして過ごしました。 以前読んだ、SF時代伝奇ロマン、「機巧のイブ」の続編、「機巧のイブ 新世界覚醒篇」を読みました。機巧のイヴ: 新世界覚醒篇 (新潮文庫)乾 緑郎新潮社 「機巧のイブ」の感想は以下からお読みください。          ↓機巧のイヴ (新潮文庫)乾 緑郎新潮社 美しい女の姿をした機巧=ロボットの伊武。 江戸時代後期を舞台とした前作から、ざっくり百年後。 今度は米国を模したと思しき新世界大陸を舞台として、伊武を巡る物語が描かれます。 前作が、どちらかというとかちっとまとまった、文学的香気の漂う作品だったのに対し、「新世界覚醒篇」は、大活劇というか、エンターテイメントに徹した感じで、伊武の役割というか、比重が落ちているように感じられ、そこは残念な点。 ただし、面白さという点においては、前作を圧倒しています。 伊武を欲しがる大会社や、そこに雇われて伊武を盗もうとする私立探偵、伊武に恋する少年、私立探偵の暗い過去、伊武の秘密を知りたがる電気会社の技術屋であり社長でもある女などが、物...
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滅びの園

昨夜は、当代の作家で私が最も偏愛する、恒川光太郎の最新作を一気に読みました。 滅びの園です。滅びの園 (幽BOOKS)恒川 光太郎KADOKAWA 相変わらず平易な文章で美しく切ない世界が繰り広げられますが、今作はSF的要素が大きかったように思います。 突如上空に現れた未知なるもの。 そこには、穏やかで美しい、想念の世界が広がっています。 なぜかそこに住むことになった鈴上という男の目線で、甘美な世界での生活が描かれます。 しかし、未知なるものの影響か、地上にはプーニーと呼ばれる不定形生物が爆発的勢いで増殖していきます。 プーニーに対する耐性が弱い人間は、それに触れただけで死んでしまいます。 プーニーに対する耐性が高い者は、これを退治するために活躍します。 プーニーを根絶させるには、未知なるものの核を破壊するしかないと考えられています。 しかし、核とは何なのか、最後まで明かされません。 想念の世界で生きる鈴上の存在が人類滅亡の危機を救うと考えられ、次元移動装置を使って、何百人もの人が、未知なるものに突入していきますが、生還できた者は一人もいません。 そして、甘美な生活を送る鈴上は、地球か...
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紫陽花

今日は雨。 いよいよ梅雨でしょうか。 嫌な季節が始まります。 紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 正岡子規の句です。 6月と言えば紫陽花。 紫陽花が日々色を変えていく様を擬人化したものでしょうか。 私はと言えば、毎日嘘で固めた生活を送っています。 なにしろ毎日出勤しているということ自体、私には嘘のような話です。 これからも嘘を重ねて年を取っていくんでしょうねぇ。
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メルキオールの惨劇

昨夜はかなりぶっ飛んだ小説を読みました。 「メルキオールの惨劇」です。メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)平山 夢明角川春樹事務所 人の不幸を犯罪遺族など、人の不幸を喜ぶ老人に依頼されて片田舎の一家に潜入した男が経験する奇妙な世界の物語です。 なにしろ登場人物がかなりイッチャッテいます。 まるで躁うつ病患者のように、天才になったり、白痴になったりを繰り返す男。 この男は白痴の時は朔太郎と名乗り、天才になるとメルキオールと名乗ります。 こいつには二人の弟がおり、一人はいずれ白痴化が免れない、今は天才のバルタザール。 末っ子は殺害されており、末っ子の殺害を巡って、男は不幸の証拠を集めようとするのです。 独特の文体、比喩の多様、まるで米国の片田舎を描いたような風情ですが、舞台は日本の田舎です。 好悪の分かれる作品だと思います。 私にはちょっと付いていけない感じでしたが、はまる人ははまるでしょうね。 イッチャッテる物語をお求めの方は是非どうぞ。
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忙しい1日を終え、20時ちょっと前に帰宅。 あわててシャワーを浴びて、今、焼酎をやっています。 父が亡くなって丸4年くらいは、毎晩飲んでいました。 父が亡くなった直後は、ほとんど毎日二日酔いでした。 仕事に支障を来たしかねない状況で、よくもあれだけ飲んでいたものです。 それほど、父の死は私にとって大きな出来事でした。 それが最近は、飲酒も週に3日か4日。 ご清潔になったものです。 さすがに父の死も、過去の出来事になったようです。  酒飲みは、正月だとか花見だとか、うれしいだとか悲しいだとか、何かと理由をつけて飲みたがりますが、じつは理由なんてありません。 ただ飲みたいだけ。 白玉の 歯にしみとおる 秋の夜の 酒はしずかに 飲むべかりけり と、詠んだののは、若山牧水でした。 酒の飲みすぎで43歳で亡くなっています。 この歌は、酒を詠って最強にして空前絶後でしょうねぇ。 もっとも、秋の夜のみならず、年がら年中、飲んでいたそうです。 朝に二合、昼二合、夜六合、欠かさず飲んでいたそうです。 多分依存症だったんでしょうね。 私はそんな酒豪ではありませんが、一日の憂さを晴らすのに、酒ほど手っ取り早...
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選択

年度あたまで忙しい日々が続いています。 この時季、いつも、職業選択を誤ったのではないか、という思いに駆られます。 もちろん、ブラックな職場というわけではありませんが、日々、つまらぬ仕事に追われていると、職業選択のみならず、あらゆる場面で、右か左か迷った時に、いつも間違った選択をしてきたような、奇妙な気分に囚われ、苦しみます。 荒川ケンタウロスの「アンセム」という歌で、二人が歩んできた道は正しかった気がして、というフレーズがあります。よどみに浮かぶうたかたはハピネットハピネット 一方、さだまさしの「主人公」という歌では、昔を振り返って、あそこの分かれ道で選びなおせるならって、という歌詞があります。さだまさし 12CD-1056A株式会社ワーナーミュージック・ジャパン株式会社ワーナーミュージック・ジャパン 自分の人生を正しかったと思いたいのも人情なら、人生の時の時にあたって、選びなおせるものなら選びなおしたい、と思うのもそうでしょう。 私は自信をもって、正しい道を生きてきた、と言い張りたい欲望に駆られながら、じつはそうではなかったことを、自分自身がよく知っています。 きっとこれからも、愚か...
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春風

春風吹きさぶ。 そが音聞きつつ、我深酒す。 酒、我をして物思い、いたらざずべからず 我、中年より初老に至り、酒、我が魂(たま)、若き日々に誘わざるなし。 酒、誘うまま、若き日に至れば、そは真、愚かなる精神なり。 愚かなること知りたるまま、我が愚か懐かしむとは、如何に?  愚かほど、そは若さなり。 我、若さ失うとて幾年。 幾年、長き故思う。 若さ、美し。 されど、皺また美し。 おのが皺、鏡に感得、我、美くしと思わざる能わず。 我、後、春、覚ゆる幾度? 幾たり春訪れようと、我、若かりし愚、懐かしむこと限りなし。
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機巧のイブ

昨夜はSF時代伝奇ロマンとも言うべき小説、「機巧のイブ」を読みました。機巧のイヴ (新潮文庫)乾 緑郎新潮社 江戸幕府をモデルにしたと思しき天府。 そこに仕える天才機巧師によって生み出された、人間そっくりの美しいロボット、伊武。 天皇家を思わせる、しかし女系しか皇位を継げない天帝家。 二つの巨大な権力が、女系でしか皇位を継げないがゆえに、女児ができない場合を想定して天帝の身代わりとして生み出されたロボットをめぐって、暗闘を繰り広げます。 そして天才機巧師の弟子が、美しい女性にしか見えない伊武に恋心を抱きながら、魂とは、心とは何なのか、深い思索を巡らせます。 人間にしてからが、愛する両親や、友人、恋人、配偶者との関係性の中で、性格が形作られ、心や魂らしきものを手にします。 それならば、ロボットもまた、愛し愛されることによって、心や魂を得ることが出来たとて、何の不思議もありません。 あるいは逆に、人との接触を持たなかったロボットが、単に命令どおりにしか動けなくても。 そしてまた、その命令がどんなに残虐なものであろうとも。 奇想天外な物語が、エンターテイメント性豊かに語られる、なかなかの逸品...
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祝山

昨夜はホラー小説を読みました。 加門七海という作家の「祝山」です。祝山 (光文社文庫)加門 七海光文社 スランプに悩む女流ホラー作家が主人公で、作者自身がモデルかと思われます。 低い山の奥にある元材木工場の跡地に、知り合い4人と夜中に肝試しに繰り出し、廃工場から材木のかけらをいくつか持ち出し、その後様々な怪現象に襲われます。 調べていくうち、その山がかつて祝山と呼ばれており、その語源が位牌山であったことを知り、霊山もしくは呪われた山であり、山の草木一本持ち出したら呪われる、と考えて怪現象を止めるため、持ち出した材木を山に返しに再び山を訪れる、というお話。 ホラーとしてはありがちな展開で、そこそこ怖いのですが、なんというか、文章が稚拙で陳腐です。 そしてやたらとしょっちゅう腹を立てる主人公に苛立ちを覚えます。 まぁ、子供向け、でしょうか。にほんブログ村 本・書籍ランキング
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無貌の神

恒川光太郎の短編集、「無貌の神」を読みました。無貌の神恒川 光太郎KADOKAWA 今年の1月に刊行された最新作。 12冊連続で恒川作品を読み続け、ついに、後は新刊を待つばかりとなってしまいました。 寂しいかぎりです。 「スタープレイヤー」、「ヘヴンメイカー」と、壮大なファンタジーが続いた後、今作は先祖がえりしたというか、この作者の真骨頂とも言うべき、不思議な、美的で幻想的な短編が6編収められており、それらはみな、それぞれに愛おしい小編です。スタープレイヤー (角川文庫)恒川 光太郎KADOKAWA ヘブンメイカー スタープレイヤー (角川文庫)恒川 光太郎KADOKAWA / 角川書店 「無貌の神」は、人の体を癒す力を持った神が、しかし時折人を喰らう怖ろしい側面を持っています。 生まれ変わり死に変わりする人の世を描いて、息苦しいほどの緊張感を持っています。 「青天狗の乱」は、明治初期の東京及び伊豆諸島を舞台にした、魔が活躍する物語。 明治初期という混乱期ならではの、猥雑な空気が魅力的です。 その他、「死神と旅する女」・「十二月の悪魔」・「廃墟団地の風人」・「カイムルとラートリー」の4...
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逆戻り

昨日は啓蟄だったのですねぇ。 それなのに今日は冬に逆戻り。 啓蟄の 風さむけれど 石は照り  加藤楸邨の句です。加藤楸邨句集 (岩波文庫)森 澄雄,矢島 房利岩波書店 なるほど、今日も寒いながら、午前中の日差しは力強いものでした。 この時期の寒さというのはそうしたもので、寒さの中にも春の力強さが潜んでいるのですねぇ。   私は寒い早春の日を、憂鬱に沈みながら過ごしています。 春愁の気にあてられたこともあるでしょうし、年度末のざわざわした雰囲気に呑まれていることもあるでしょう。 処方された倍の量の抗不安薬を飲んで、なんとかやり過ごしています。 今年で今の部署も丸3年。 3月下旬になれば分かることですが、私はおそらく異動なんでしょうね。 今まで同じ部署に4年いたことは1度もありませんから。 3年か、早いと2年で異動するのが役人の世界の常識です。 どの部署に行っても必ず嫌なことはありますが、それでも相対的に楽な部署としんどい部署というのは明らかにあります。  極楽のような部署は存在しませんが、相対的に楽な部署で心に余裕をもって勤務したいものです。 にほんブログ村 人文ランキング
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ヘヴンメイカー

昨夜、恒川光太郎の「ヘヴンメイカー」を読み終わりました。ヘブンメイカー スタープレイヤー (角川文庫)恒川 光太郎KADOKAWA / 角川書店 先日読んだ「スタープレイヤー」に連なる作品です。 物語としては独立したものですが、スタープレイヤーが活躍し、最後に前作の主人公が登場して結末を迎えます。スタープレイヤー (角川文庫)恒川 光太郎KADOKAWA 設定は前作と同じく、くじをひいた者が異世界に飛ばされ、10の願いがかなえられるスターボードなる道具を使って冒険を繰り広げる、というものです。 で、「ヘヴンメイカー」。 作者がこの設定で描きたいことはこれだったんだろうなと思わせるくらい、物語は深化しています。 佐伯逸輝という若者が異世界に飛ばされ、スターボードを使って様々な町を造ったり、現地の宗教の聖人、サージイツキになったりと、豊かな物語が紡がれます。 そこに感じられるのは、失ったものへのノスタルジアと、世界の繋がりということ。 佐伯はスターボードを使って、少年時代、淡い恋心を抱いていた、亡くなった女性を生き返らせ、自ら作った故郷、藤沢市そっくりの無人の町で、二人だけの世界を楽しんだ...
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