文学

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山田風太郎生誕祭

今日は山田風太郎の誕生日だそうです。 生きていれば今年で90歳になっていたはず。 残念ながら、79歳で亡くなってしまいました。 有名な「戦中派不戦日記」には、終戦の前後、勇ましい言葉が並んでいます。 後に不戦日記と名付けた文章にすら、勇ましい言葉が並ぶあたり、戦時中に青春時代を過ごした若者の正直な心の発露が見てとれます。 私は「魔界転生」が好きで、とくに沢田研二が天草四郎を演じた最初の映画化を好んで観ました。 後の窪塚陽介主演のはちょっと期待外れでしたね。 沢田研二演じる天草四郎が魔界から甦り、宮本武蔵や細川ガラシャなど、この世に恨みを抱く者を次々と魔界からよみがえらせ、彼らの望みをかなえながら幕府転覆という天草四郎最大の望みを果たそうとする壮大なダーク・ファンタジーです。 天草四郎と細川ガラシャの妖しい美しさ、画面一杯に漂う妖気、この手のエンターテイメントとしては最高の出来です。 しかし山田風太郎がこれを書いた時、どんな思いだったのでしょうね。 単純に、鬼面人を驚かす大作を書いてやろうと思ったのではないだろうと推測します。 そこには、不遇の死を遂げた者の恨みの深さが流れているからです...
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道歌

和歌に道歌というジャンルがあります。 和歌というともののあはれや季節感、恋情などを詠う雅なものという印象がありますが、道歌は仏教の教えや道徳などを示す抹香くさいものです。 正直、私はあまり好みません。 しかし、正月、仕事始めの日くらい、そういう歌に接して心を引き締めることも必要かと思います。 怠らず 行かば 千里のはても見ん 牛の歩みの よし遅くとも  詠み人しらず 怠けずに進めば、牛のように遅い歩みでも千里までも進むことができる、という意かと思います。 日々の地道な努力を奨励する道歌ですが、いかにも無粋な歌ですねぇ。 では、こういう仕事始めの句はいかがでしょう?  天は晴れ 地は湿(うるお)ふや 鍬始(くわはじめ)   正岡子規 ここにはもののあはれは感じられませんが、たくましい農民の仕事始めの様子が大らかに、生き生きと活写されています。 説教くさい感じは微塵も感じられませんが、新年も努力しようという気分が自然に湧いてきます。 文芸に限らず、絵画でも音楽でもそうですが、主持ちの芸術はつまらないですねぇ。 道歌も仏教や道徳の普及のため、という主持ちの和歌です。 ためにする芸術のつまらな...
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迎春

新年あけましておめでとうございます。 このブログを愛読くださる皆様全てのご多幸をお祈り申し上げます。 私は今日親戚の家で昼から新年会。 明日は夜実家で新年会です。 今年は、 目出度さも ちう位也 おらが春 という小林一茶の句のような気分が日本国中を覆っています。 小林一茶は、ことしの春もあなた任せになんむかへける、と俳文集「おらが春」につづっています。 阿弥陀仏による他力本願を深く信仰していた彼は、正月を迎えるのもあなた任せ、つまり阿弥陀仏の力によるものだと言っているわけで、大海を小船で漂流しているような人の生において、人間の自力では何事もどうにもならないと、信仰告白をしているものと思われます。 私は浄土教の教えである他力本願を信仰するものではありませんが、小林一茶の信仰告白には心打たれます。 今年一年を無事に過ごせるかどうかは、それこそお釈迦様にもわかるめぇと思いますが、今日一日だけは働くのだ、明日は知らんのだ、という一日出勤を積み重ね、お給料をもらいたいと思っています。 幸い今の部署は性に合っているようで、苦痛ではありません。 それどころか、たまには面白いと思うことさえあります。 ...
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寒波

連日、日本列島に厳しい寒波が襲っています。 北国は大雪。 名古屋でさえ、積雪8センチを記録しました。 首都圏では晴れてはいますが、冷たい北風が吹き荒れています。 なんとなく、心も荒むというものです。 冬蜂の 死にどころなく 歩きけり  村上鬼城 村上鬼城は江戸時代末から昭和初期に活躍した俳人です。村上鬼城です。 恵まれた境遇ではなかっため、困窮した生活や人生の諦念、弱者や病気への苦しみなど、独特の倫理観で憐れみ、哀しみを詠った句が多いのが特色とされています。 上の句、なかなか迫力ありますねぇ。 冬の蜂の生への執着と、迫りくる死が、寒々しい冬の妖気とともに私たちを圧倒します。 下手なホラー映画より怖いですねぇ。 俳句という世界最短の定型詩が持つ力強さを想わずにいられません。 鷹老いて あはれ烏と 飼はれけり 村上鬼城 こんなことってあるんでしょうか。 カラスと鷹を一緒に飼うなんて。 ここにも、老いた鷹という弱者への視点が、不気味なまでに提示されています。 冬は厳しい季節であるとともに、お正月やクリスマス、バレンタインデーなど、楽しい行事も色々あります。 また、雪景色は都会でも田舎でも、世...
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高等遊民

今日は格別寒かったですね。 いったい、日本家屋は夏をしのぎやすいように出来ているので、冬はかなりしんどいです。 私が現在住まいする千葉市のマンションは鉄筋鉄骨コンクリート造りの上、リビングが南を向いているため、日中は暖房を必要としません。 しかし、私が25歳まで過ごした実家は規模こそ大きかったものの、木造で、ずいぶん寒かったように思います。 西行法師の冬の歌を二首。 年暮れし そのいとなみは 忘られて あらぬ様なる いそぎをぞする 年が暮れた、その時の恒例の行事は忘れてしまって、出家した今は昔と異なるさまの正月の準備をするのだ、というほどの意かと思います。 じつは仏道修行にはあまり熱心ではなかった西行法師。 それでも仏門に帰依したときには殊勝な心がけだったようです。 おかしいですね。 さびしさに 堪(た)へたる人の またもあれな 庵ならべむ 冬の山里 こちらは西行法師らしいですねぇ。 寂しさに耐えている人が私のほかにもいればよいな、庵を並べて住もう、冬の山里で、といったほどの意かと思われます。 西行法師、山中で寂しさのあまり死体をかき集めて人造人間を作り出した、という伝説が残っているほ...
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