文学

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不道徳ゆえに価値が上がる?

かつてナチは、多くの近代美術作品を押収し、ドイツ全土を巡回して退廃芸術展を開催しました。 これは、表現主義、抽象絵画、新即物主義、ダダイズム、シュルレアリスムなど、20世紀美術の主要な動向にかかわる作品群を、退廃芸術として弾圧し、晒し者にすることを目的としたものです。 この展覧会は多くの観客を集め、現代にいたるも、これ以上の観客数を誇った展覧会は、ドイツでは開催されていません。 しかしおそらく、多くの観客は、退廃だ、唾棄すべきものだと口にしながら、じつはその美に酔っていたのではないかと推測します。 何もナチが政権を取ったからと言って、ドイツ人の多くが近代絵画を嫌ったわけではありますまい。 芸術と倫理をめぐる考え方は、様々なものがあり、ナチのように単純化することは出来ません。 美的判断と倫理的判断とが同じ芸術作品に適用されると、ややこしいことになります。 美的だけど倫理的じゃない、あるいはその逆、なんていうことは、芸術作品には非常に多く見られる現象です。 代表的な考え方に、自律主義と道徳主義と言われる立場があります。 自律主義は、作品に不道徳な面があったとしても、美的価値には一切影響しな...
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風光る

師走も21日を迎えました。 今年最後に残った年休を、26日(火)に取ることにしました。 私の職場の仕事納めは28日。 もう、今年出勤するのは4日だけです。 定時で帰っても、帰る頃にはもう真っ暗。  冬の空気は澄んでいるのか、帰宅の車から見る月は、ひときわ鮮やかに感じます。  風光る 師走の空の 月夜かな  正岡子規の句です。子規句集 (岩波文庫)高浜 虚子岩波書店 関東の冬は北風が厳しいですから、風光る、というのも実感として理解できます。 寒い寒いと愚痴をこぼさず、冬にしか味わえない風情を味わいたいと思います。にほんブログ村人気ブログランキング
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教団X

昨夜、中村文則のベストセラー長編、「教団X」を読み終わりました。教団X (集英社文庫)中村 文則集英社 自分の元から突如失踪した彼女を追って、カルト教団と思われる団体にたどり着いた男。 しかしそこはカルト教団と言えるような者ではなく、宗教や量子力学を学ぶゆるやかな団体。 その団体にかつていた男が、名前の無い、性の解放を謳うセックス教団を組織しています。 公安は彼等に目を付け、Xと呼んでいます。 仏教、量子力学、キリスト教、アフリカの土俗宗教などについての考察が延々と語られ、中だるみします。 そして、性、貧困、全体主義、平和への理想、テロなどが、これでもかと詰め込まれ、小説として破綻しているように感じました。 魅力的な題材を扱っているのに、もったいないと思います。 もう少しテーマを絞り込むべきでした。 お勧めできない一冊です。にほんブログ村本・書籍ランキング
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土の中の子供

昨夜は中村文則の「土の中の子供」という小説を読みました。土の中の子供 (新潮文庫)中村 文則新潮社 芥川賞受賞作で、その後は大活躍している作家ですが、読むのは初めてです。 主人公である「私」と暴力をめぐる物語ですが、近代以降の、わが国の、いわゆる「純文学」の悪い伝統を引きずっているように感じました。 「私」が、延々と暗くて絶望的な物語を語る、と言う。 「私」は子供の頃親に捨てられ、遠戚の夫婦に引き取られますが、激しい虐待にあい、そのことが「私」の精神をゆがませています。 山中に埋められる、という生きるか死ぬかの経験まで積んでいます。 その後施設に引き取られ、遠戚の夫婦は逮捕されてしまいます。 陰鬱で悲惨な一人語りが続きます。 正直、共感できません。 しかし、読み進むうち、これは再生と希望を描こうとしているのではないか、と気づかされます。 20代の「私」はタクシードライバーとして生計を立てていますが、暴走族を挑発してボコボコにされるなど、やたらと恐怖体験を求めます。 不思議なことに、そこに、一種の希望が見えてきます。 私が望んでいたのは、克服だったのではないだろうか。自分に根付いていた恐...
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飛ぶ夢を見たくて

師走を迎えたせいか、このところ忙しい日々が続いています。 仕事中も、なんだかイライラしています。 そのせいか、仕事をほっぽりだして、どこかへ消えたいなどと、実現不可能な夢を見ます。 折りも折り、先般45歳以上の職員全員に早期退職を促すメールが人事担当部署から届きました。 人件費の高い中高年の職員には早く辞めてほしいようです。 しかし、少々退職金が上乗せされたところで、それだけで一生食っていけるわけもありません。 手を挙げたいと思いながら、ぐっと堪えています。 私は、どこかへ飛んで行きたいのでしょうか。 飛ぶ夢を 見たくて 夜の金魚たち という俳句がありましたっけ。 黛まどかの句で、「聖夜の朝」という句集に載っていたように覚えています。聖夜の朝 (講談社文庫)黛 まどか講談社 一生を狭い水槽で過ごす金魚たち。 その金魚たちですら、いやだからこそ、飛ぶ夢でも見て慰めを得たいのでしょうか。 私は悲しいかな飛ぶ夢をみたことがありません。 せめて夢の中ででも、浮世のよしなし事を忘れて、自由に羽ばたいてみたいものです。にほんブログ村 人気ブログランキング
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追われる

師走も4日目を迎えました。 今のところ寒さはそれほどでもありませんが、なぜか気が急く月ですね。 うしろから 追はるゝやうな 師走哉 正岡子規の句です。 師走の慌ただしい感じがストレートに表現されています。子規句集 (岩波文庫)高浜 虚子岩波書店 今上陛下のご退位が再来年の4月末と決定し、平成の御世も残りわずかとなりました。 そのことも、なんとなく気持ちが焦る要因になっているのかもしれませんね。 私は昭和44年の生まれ。 平成の御世が始まった時、大学生でした。 世はバブルのまっただ中。 私はバブルに浮かれる人々を、冷ややかに見ていました。 その後バブルの反動か、20年以上に及ぶ冬の時代が続いています。 最近は景気が良いと聞きますが、給料が上がらないのでそんな実感はありません。 次の元号がどんなものになるのかはまだ分かりませんが、3つの時代を生きることになるのは間違いなさそうです。 もしかしたら、4つの時代になるかもしれませんね。 皇太子殿下は私より年上ですし。 なんだか無駄に歳月を過ごしてきたような気がします。 目の前の為すべきことを、ただ機械的に為してきただけのような。 多分これからも...
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Nのために

今日は静かに読書をして過ごしました。  湊なかえの「Nのために」を読みました。 知りませんでしたが、ドラマ化もされているんですね。Nのために (双葉文庫)湊 かなえ双葉社【Amazon.co.jp限定】Nのために DVD-BOX(コースターセット付)榮倉奈々,山本剛義,阿南昭宏TCエンタテインメント 高級高層マンションで、夫婦が殺されます。 その現場に居合わせた人たちが、それぞれ一人称で事件について語る、という構成になっています。 第一章では、警察の質問に答える形で、それぞれの証言の食い違いはありません。 しかし第二章以降、現場に居合わせた者たちが、真相を語りだしたとき、警察に話した内容とは全く異なる事件の全容が明らかになります。 一人称ですから、当然、主観で語られます。 そうなると、同じ事件が異なった様相を呈します。 ちょうど、芥川龍之介の「藪の中」のように。藪の中 (講談社文庫)芥川 龍之介講談社 それぞれの生い立ちなども判明し、読後感の悪い作品になっています。 Nとは、登場人物6人全員を指しています。 6人ともが、苗字か名前のイニシャルがNなのです。 それぞれが、自分とは違うNの...
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悪魔の舌

昨夜、青空文庫で遊んでいたら、村山槐多という作者の「悪魔の舌」という短編をみつけ、読んでみました。悪魔の舌村山 槐多メーカー情報なし悪魔の舌 (青空文庫POD(ポケット版))村山槐多青空文庫POD 村山槐多、大正時代の画家で、詩や小説も書き、わずか22歳で夭折した、という人でした。 「悪魔の舌」、なかなかに興味深い作品でした。 なにやら楳図かずおの恐怖漫画を読むような楽しみがありました。 金子という25歳の詩人の物語です。 物語は、金子が自殺して後、友人が遺書をみつけ、その遺書に奇っ怪なことがつづられている、という構成になっています。 金子はある時を境に、何を食っても不味く、どうしたのかと思っているうちに、悪食に走ります。 悪食とは、土、ミミズ、毛虫などを食すのです。 そしてそれらは、とてつもない美味、いや、美味というより麻薬のような恍惚をもたらす食い物と感じます。 そんな食生活を続けているうちに、なぜか金子の舌にはびっしりと針が生えてしまうのです。 悪食はさらに進んで、人肉を食いたいという欲望につながります。 そしてある晩、谷中墓地で若く美しい女の死肉を喰らい、もはや止まらなくなり、...
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戦艦大和とクリスチャン

ずいぶん前に、「戦艦大和ノ最期」という戦記文学を読みました。戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫)鶴見 俊輔講談社 その作者で戦艦大和の生き残りであった吉田満と言う人が、敬虔なクリスチャンであったことを、最近知りました。 しかも、もともとはカソリック信徒であったものが、後にプロテスタントに改宗しているという変わり種。 キリスト教に入信したのは、1948年。 戦後4年くらいでしょうか。 きっかけは、信頼できる神父との出会いであったようです。 その後プロテスタントに改宗することになりますが、これは謎とされているようです。 結婚が機会になっていることは確かなようです。 というのも、妻の実家が熱心なプロテスタントだったからです。 しかし妻もその実家も、吉田満にはカソリックにとどまることを望んだと伝えられます。 節操無しみたいで嫌だったんでしょうか。 いずれにしろなぜか、プロテスタントに改宗。 推測ですが、神に祈るという行為そのものだけが重要で、儀式のやり方などが異なっていてもどっちでもよい、ならば妻と同じ宗派に、と考えたのではないでしょうか。 宗教に寛容な日本人ですから、そう考えても不思議はありま...
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姥捨

先週、義父が80歳になりました。 大手電機メーカーで技術屋として65歳まで働き、その後は年金生活をおくっています。 毎日2時間の散歩を欠かさない、元気なおじいちゃんです。 まぁ、今どき、元気な80歳なんて珍しくもないのでしょうけれど。 それにしても、少子高齢化はどこまで進むのでしょうね。 このままではわが国は衰退してしまいます。 しかし、かつて老人を山に捨てる、姥捨という風習があったと言います。 誠に怖ろしいことですが、ある意味合理的な選択であったのかもしれません。 姥捨て伝説を描いた深沢七郎の名作「楢山節考」は木下惠介監督によって映画化されました。 雪山に一人座り、合掌する老婆と、それを見ながら悲哀に沈む中年の息子の姿が印象的でした。楢山節考 (新潮文庫)深沢 七郎新潮社楢山節考 今村昌平,深沢七郎TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 能の「姨捨」では、中秋の名月の晩、姨捨山にやってきた旅人が、かつて捨てられた老女の幽霊から事の次第を聞き、老女は美しい舞を舞います。 一般に能では、恨みを残して死んだ霊が現れ、美しい舞を見せ、旅の僧が念仏を唱え、成仏する、というのが、一種...
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夜行観覧車

昨夜は当代随一のストーリーテラー、湊かなえの「夜行観覧車」を一気に読みました。夜行観覧車 (双葉文庫)湊 かなえ双葉社 ある地方都市の高級住宅地。 そこでエリート医師が妻に殺害されることから起こる、騒動を描いています。 母が殺人犯に、父が被害者となり、大学生の長男、高校生の長女、末っ子の男子中学生は途方にくれます。 そしてお向かいに住む両親と女子中学生の3人家族と、近所に住む老婆がからんで、物語はドロドロになって展開します。 広大なお屋敷が連なる高級住宅地にあって、お向かいは普通のサイズ。 高級住宅地に住むことに憧れた母親が無理に夫と娘を説得して建てた家で、母親にとっては家がすべて。 中学生の娘は私立中学の受験に失敗したことから、住宅地の住人にバカにされているように感じ、ひどい癇癪持ちになり、週に何度も家庭内で大暴れ。 老婆は老婆で、古くから高級住宅地に住む矜持からか、まわりに干渉します。 隣の芝は青く見える、と申します。  この小説には、嫉妬や怒りなどの感情がごちゃごちゃに詰め込まれ、いやぁな感じが漂います。 謎解きとか本格ミステリーとかいったものではなく、家族や近所のいやぁな感じを...
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光源氏にとっての死

今日は好天に恵まれましたが、北風が吹いて寒い一日でした。 事務室の中は暖房が効いて快適でしたが、タバコを吸おうと外に出ると、風がひどく冷たく感じられました。  すっかり晩秋ですねぇ。 そして、もうじき、冬がやってきます。 冬というのは、どこか死を感じさせます。 死と言えば、光源氏の生涯を思い起こします。 前半の華やかな女性遍歴から一転して、ついには出家。 光源氏亡き後も、物語は続きます。 多くの女性と浮名を流し、不遇な時代もあったものの、後に大きな権勢を誇りながら、晩年は最愛の妻、紫の上の死を悲しみ、出家して隠遁してしまいます。 思えば光源氏という人、多くの近しい人を失っています。 母である桐壷更衣、桐壷の母(源氏の祖母)、恋人である夕顔、最初の妻、葵の上、父である桐壷院、父帝の妻でありながら密通を交わし、源氏の子を産む藤壺、やたら嫉妬深い六条御息所、恋敵と言うべき柏木、最愛にして最後の妻、紫の上。 光源氏にとって最初に経験したのが、母、桐壷更衣の死。 この時光源氏、わずか3歳。 人の死がどういうものか分からず、周囲の異様な雰囲気を察し、あやし、と感じます。 要するに、変だ、妙だ、と感...
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欲望

小池真理子先生の「欲望」を読み終わりました。欲望 (新潮文庫)小池 真理子新潮社 中学生時代の同級生、類子と阿佐緒、それに正巳という3人をめぐる長い物語です。 阿佐緒は中学生時代から、男なら誰もが欲望を抱くような肉感的な美少女でしたが、彼女の精神は極めて幼稚です。 類子は読書が好きな文学少女で、容姿は十人並み。 正巳は逞しくも美しい少年で、文学少年です。 類子を語り手に、この3人の愛と欲望の物語が綴られます。 ポイントは、正巳が逞しい美青年に成長したにも関わらず、高校時代の事故により、性的不能に陥ってしまうこと。 類子は司書教諭として働きながら、同僚の妻子ある男性教師と肉体だけの関係を断ち切れずにいます。 しかし類子が恋焦がれてやまないのは、不能の正巳。 正巳は肉感的な阿佐緒に惹かれながら、どこか神々し過ぎて、類子に現実的な恋を求めます。 阿佐緒は30歳も年上の、耽美主義的傾向を持った精神科医と結婚し、セレブ生活を送りますが、夫が自分の体を求めないことから、住み込みの家政婦と出来ているのではないかと疑い、勝手に妄想を膨らませ、根拠の無い嫉妬に苦しみます。 類子は肉欲を不倫で解消し、正巳...
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贖罪

昨日は湊かなえの「贖罪」を読みました。贖罪 (双葉文庫)湊 かなえ双葉社 田舎の小学校で、東京から転校してきた女児が強姦されたうえ、殺されてしまいます。 一緒に遊んでいた4人の女児は犯人を目撃しただけでなく、短い会話を交わしています。 しかし、4人はどうしても犯人の顔を思い出すことができません。 それに怒った被害者の母親は、4人にひどい言葉を投げつけます。 あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。 この言葉に激しい衝撃を受ける女児たち。 15年後、4人それぞれの独白、さらには被害者の母親の独白という形で物語は進みます。 そして、4人ともが、怖ろしい事件を引き起こすのです。 このスタイル、映画化された名作「告白」によく似ています。告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)湊 かなえ双葉社告白 【DVD特別価格版】 松たか子,岡田将生,木村佳乃東宝 そして、最後に明らかになるあまりにも過酷な犯人の真実。 衝撃的なラストです なんとも後味の悪い作品です。 もっとも、この作者の作品は大抵後味が悪く、それこそが真骨頂だと...
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入らずの森

昨夜、「入らずの森」というホラー小説を読みました。入らずの森 (祥伝社文庫)宇佐美 まこと祥伝社 帯の、夜、一人で読んではいけない、という宣伝文句に興味を持ち、購入したものです。 愛媛の山中の過疎の村。 足を怪我してオリンピックへの出場を断念して中学教師になり、あえて田舎の学校を希望して赴任した青年の鬱屈。 サラリーマン生活に嫌気がさし、有機農業へ憧れを抱いてIターンでやってきた初老の夫婦の葛藤。 両親の離婚をきっかけに、東京から祖母の家に身を寄せた不良少女。 そしてなぜか、埼玉県の病院で死の床に着く老婆と介護する娘。 愛媛の寒村をめぐる様々な人々の物語が重層的に語られ、最後にはその関係性が判明する、という構成。 横溝正史を思わせるような因習的な田舎に、わが国らしい、湿った感じが雰囲気を盛り上げます。 森に住む邪悪な生き物。 平家の落人伝説。 この数十年、時折起こる残忍な事件。 和製ホラーらしい道具立てが整っていて、きれいにまとまった小説です。 ただし、決定的な欠陥があります。 怖くないのです。 ホラー小説としては完璧と言えるほどの道具立てと、かちっとまとまった物語が、かえって不気味さ...
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