文学

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世をおさめ、民をやはらぐる道

その道さかりに興り、その流れいまに絶ゆることなくして、色にふけり、心をのぶるなかだちとし、世をおさめ、民をやはらぐる道とせり。 新古今和歌集「仮名序」に見られる和歌の効用です。 色にふけり、心をのぶるなかだちとするというのは素直に腹に落ちますが、世をおさめ、民をやはらぐる道とするというのは、なんとなく違和感を覚えます。 それはつまり、和歌によって政治的影響力が生じるということでしょうか。 かつて、ベトナム戦争激しい頃、反戦を専らとするフォーク・ソングというジャンルが流行りました。それはやがて、四畳半フォークなどと呼ばれ、生活上の哀感を歌う貧乏くさいものに進化もしくは退化していき、今ではほぼ絶滅しました。 音楽に限らず、絵描きでも小説家でも彫刻家でも、政治的メッセージを込める作品は少なくありません。 言いたい気持ちはわかりますが、私はこれを、芸術家の堕落としか考えられません。政治に色気を持ったなら、すぱっと政治家に転身すればよいのです。例えば石原慎太郎のように。今となっては石原慎太郎が元々は文芸の世界の人で、今も精力的に書き続けていることは、忘れさられてしまった感があります。 レーガン元...
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夜長

相変わらず残暑は厳しいのに、日は確実に短くなっていますね。 私はほぼ定時で帰宅します。 11月も終わりころになると、17時でも真っ暗なんですよねぇ。 あれはなんだか厭な気分になるものです。 やっぱり明るいうちに帰りたいですねぇ。 一方秋の夜長を楽しむ不良どもが平安貴族。 毎日昼頃起きてきて、深夜、牛車であっちの姫、こっちの姫と渡り歩きます。 破廉恥なやつらです。 秋の夜も 名のみなりけり 逢ふといへば 事ぞともなく 明けぬるものを 古今和歌集に見られる小野小町の歌です。 秋の夜が長いというのは名ばかり、あなたにあっていると、呆気なく夜明けがきちゃうんですもの、といった感じでしょうかねぇ。 遊んで生きていた平安貴族に比べて、百姓や漁師は毎日が生きるか死ぬかの戦いであったことでしょう。 そして平安時代、一般庶民が圧倒的多数。 雅な和歌などに接していると、ではこの頃、奴婢はどうやって生きていたのだろう、小作農はどうやって生きていたのだろう、という疑問に駆られます。 私たち安月給のサラリーマンは、いわば現代の水呑み百姓。 最低辺を生きていることは、間違いありますまい。 それならばなおさら、精神...
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vita sexualis

私にとっての性的な事件は、誰でもそうだと思いますが、若い頃に集中しています。 物心ついたとき、私にはすでに好きな子がいました。 小学校1年生、7歳の頃です。 その女の子とは気が合って、互いの家を訪問したりして、遊んでいました。 遊ぶといっても、私は普通の男の子のように外を駆け回るのは好みませんでしたから、もっぱら家の中でおしゃべりをしたり、じゃれあったりして遊んでいたのです。 お医者さんごっこなんかして、まだ役に立たないはずの幼い性器が勃起したりして、戸惑ったものです。 じゃれあっている時に、なんとなく、口づけしたのですよねぇ。 7歳というのはちょっと早いような気もしますが、「好色一代男」の世之介は6歳で初体験を済ませていますから、私なんか可愛いものですねぇ。 小学校4年生から6年生にかけて、私の心をときめかす女子は現れませんでした。 しかし、私を困らせる女が登場しました。 4年生のときに隣の席になり、なんとなく仲良くなったのですが、そのうち彼女はストーカーまがいの行為にでました。 ラブレターをよこす、風邪で休めば花束をよこす、写真をくれ、と言ってくる。 私は終始、無視し続けていました...
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残暑

ここ数日非常に厳しい残暑が続いていますね。 まだエアコンなしでは眠れません。 夏はあんまり暑くなかったように感じますが、残暑がしつこい感じがします。 秋暑き 猫の横顔 たけだけし  日野草城 猫の横顔がたけだけしいだなんて、よけい暑くなっちゃいますよ。 うそでもいいから日向で気持ちよさそうに寝ていなさい。  友を葬る 老の残暑の 汗を見る  高浜虚子 これはまだ私にはわからない心境ですねぇ。 友人の葬式というのは出たことがありません。 ていうか、友人で死んだやつはまだいません。 しかしそれでも、ドスのきいた、迫力ある句であることはなんとなくわかります。 ぢりぢりと 向日葵枯るる 残暑かな  芥川龍之介  これはまた、なんとも不気味な句ですねぇ。 向日葵が枯れる風情というのは、他の花と違い、荒々しくて無様です。 向日葵が、死そのもののような無残な姿をさらし、なお、暑い、というのですから、うんざりします。 向日葵のグロテスクな花が枯れていくとは、句を読むだけで怖気がふるいますねぇ。 残暑が厳しいからと、残暑の句ばかり見ていたら、よけい暑くなってしまいました。 エアコンが普及する前、人々は暑...
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今宵は仲秋の名月。 秋と言うには少々暑いですが、良く晴れて、月がよく見えそうです。 暗くなれば、ぐっと涼しくなるでしょう。 秋の月は、春の桜と並んで、わがくにびとが愛でてやまない風流の象徴。  西洋では、今宵、狼男が出没し、殺戮を繰り返すとか。  私の著作「荒ぶる」の表紙も月です。荒ぶるとびお 暢宏日本文学館 室町幕府八代将軍、足利義政は、応仁の乱をきっかけとする乱世に嫌気がさしたのか、東山に銀閣寺を建て、酒を飲んでは月に見惚れていたと聞きます。 銀閣寺観音堂は、月が夜どおし見えるように設計されており、月の動きに合わせて二階に登ったり、廊下を伝ったりしたようです。 銀閣寺です。 NHK大河ドラマ「花の乱」では、市川團十郎が絵空事の芸術世界に現実逃避する頼りない足利将軍を、三田佳子が夫とは打って変わって頼りがいのある日野冨子を演じて見事な対比でした。NHK大河ドラマ 花の乱 完全版 第壱集 三田佳子,市川團十郎,野村萬斎,佐野史郎,草刈正雄ジェネオン エンタテインメントNHK大河ドラマ 花の乱 完全版 第弐集 三田佳子,市川團十郎,野村萬斎,佐野史郎,草刈正雄ジェネオン エンタテインメン...
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