文学

スポンサーリンク
文学

太陽と月に背いて

私はかねてより、西洋の詩が苦手です。 翻訳すると、日本語として、こ慣れていない感じがして、どうにも恥ずかしいのです。 そういう意味では、上田敏訳の「海潮音」などは、七五調に整えられ、例外的に好む数少ない詩集です。 不思議なのは、日本人によって日本語で書かれた自由詩も、もう一つ気に入らないことです。 まして俵万智が始めた現代語での和歌など、虫酸が走ります。 やっぱり日本の詩歌は、定型の文語文がしっくりくるようです。 日本語は世界で最も詩歌に適した言語だとされますが、それも伝統に則った型にはめてこそ。 自由に作れるということは、それだけ無駄な文句が増えるというものです。 以前、といってももう16年も前ですが、フランスのデカダンス詩人、ランボーとヴェルレーヌとの葛藤を描いた映画を観たことがあります。 「太陽と月に背いて」です。 天才少年詩人、ランボーを、レオナルド・ディカプリオが演じて、その美少年ぶりはなかなかのものでしたが、映画そのものは、ゲイのポルノのように下品なものでした。ランボーです。 映画のなかで、ランボーやヴェルレーヌが自作の詩をうっとりと詠みあげるシーンが何度かありました。 私...
文学

黒子

予報では今日から土曜日まで雨ということでしたが、千葉は今日は曇りですね。 湿気が異常に高いのが、台風の接近を予感させます。 ピークは土曜日だとか。 マンションに籠って過ごすことになりそうです。 しかしまた、それもよし。 変に秋晴れだったりすると、何か外出しなければいけないかのようなプレッシャーに襲われます。 台風を理由に、堂々と家でだらだらしているのは、それはそれで気持ちの良いものです。 台風の 過ぎて黒子の 一つ増え 田辺レイ 面白い句ですね。 台風の間に、ストレスでほくろが増えちゃったんでしょうか。 しかし、たかがほくろ。 そこに生活の小さな悲しみを見るのは、大げさに過ぎるでしょうか。 田辺レイは昭和10年生まれと言いますから、現在76歳でしょうか。 「鱧の皮」という句集を偶然手にして、なかなか面白く感じました。  他に、  秋暑し シルバーシートに 細く坐し  雑炊の 喋り過ぎたる 舌を焼きといった句が目につきます。 いずれも生活上のそこはかとない悲しみを感じます。 古今和歌集仮名序によれば、人の心を種にして、万の言の葉より生まれける、のが和歌。 俳句も同じでしょう。 種が人の心...
文学

二百十日

早いもので、明日は二百十日。 台風が多いとされる季節です。 昔の人が言うことは当たり、今、大型の台風が日本列島に向けて接近中。 土曜日には、最接近するとか。 今は気密性の高いマンションに住んでいますから、台風が来たところでなんともありませんが、子どもの頃住んでいた家は違いました。 台風がくると、まず木製の雨戸を閉めます。 雨戸を閉めれば大丈夫かというとそうでもなく、雨戸、ガラス戸が風で大きな音を立てます。 ところどころ雨漏りがするので、その下にバケツを置きます。 そんなことの一つ一つが、幼い私を、お祭りのようなわくわくする気持ちにさせました。 その実家も、私が中学1年生の時に立て替えて、台風にまつわる昭和らしい思い出は、途切れてしまいます。昭和57年、昭和が終わる7年前の出来事です。 夏目漱石に「二百十日」という小説がありますね。 阿蘇登山の間抜けな顛末を語りながら、主人公の金持ち批判、庶民に頭の革命を起こす、といった血気盛んな感じと、相棒の、のんびり観光を楽しもうという態度が対照的で、落語の「長短」を聞くような滑稽味があります。 夏目漱石が神経症的な作品を連発する前の、乾いた文体が魅...
文学

侏儒

昨夜ニュースで民主党代表選挙の様子を見ていて、民主党の国会議員が400人ちかくもいて、その中から一人だけ選ばれるというのは、どういう気持ちがするのだろうと、不思議な感慨を覚えました。 民主党から立候補して落選した人、野党議員、浪人しながら国政を目指す人、そういうたくさんの人の頂点に立つのだから、たいへんなことです。 まして国会議員なんて、いずれ劣らぬ狸ぞろい。 権謀術数や謀(はかりごと)など、お手の物でしょう。 そこで、芥川龍之介の「侏儒の言葉」の一節を思い出しました。 宇宙の大に比べれば、太陽も一点の燐火(りんか)に過ぎない。況(いわん)や我我の地球をやである。しかし遠い宇宙の極、銀河のほとりに起っていることも、実はこの泥団の上に起っていることと変りはない。生死は運動の方則のもとに、絶えず循環しているのである。そう云うことを考えると、天上に散在する無数の星にも多少の同情を禁じ得ない。いや、明滅する星の光は我我と同じ感情を表わしているようにも思われるのである。芥川龍之介です。  続いて、詩人は真理を謳い上げたとかで、次のような正岡子規の和歌を引用しています。 真砂なす 数なき星の その...
文学

涼しい

今日は馬鹿に涼しいですねぇ。 曇って気温が低く、湿度もあまり高くありません。 半そででは寒いほどです。 今年は震災に伴う原発事故の影響で節電ということが厳しく課されましたが、なんとなく乗り切ってしまいそうです。 もう、ぎらぎらの夏は終わったんでしょうねぇ。 残暑もきつくはなさそうです。 去年の猛暑が嘘のようです。 夏と秋と 行きかふ空の かよひぢは かたへすずしき 風やふくらむ 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)の歌で、古今和歌集に見られるものです。 大意は、夏と秋が空の路を行き交っている、片方からは涼しい風が吹いてくるだろうか?、というほどかと思います。 季節の変わり目、夏と秋がせめぎ合っている感じがよく出ていますね。 夏ごろも たつ夕風の すずしさに ひとへに秋の 心地こそすれ 橘敦隆の歌です。 解説の必要はないでしょう。 秋が近付いた晩夏の夕風を優雅に詠んでいます。 ここでちょっと変わったのを。 わが夏を あこがれのみが 駈け去れり 麦藁帽子 被りて眠る少年の わが夏逝けり あこがれし ゆえに怖れし 海を見ぬまに 上記2首は寺山修二青春歌集に見られる歌です。 少年期をメランコリッ...
スポンサーリンク