文学

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ひまわり

今日も千葉は暑かったですねぇ。 お盆は過ぎてもまだまだ夏は続きます。 夏といえば、ひまわり。 ひまわりの毒々しい色、びっしり詰まった花弁、一面に咲き誇る姿、どれも私には暑さを倍加させる、気味の悪い特徴に思えます。 だから私は、ソフィア・ローレンの名画「ひまわり」のラストが気に入りません。 なんだか薄気味悪いではないですか。 向日葵の ゆさりともせぬ 重たさよ  北原白秋 暑そうですねぇ。 風も吹かないのですね。 しかしその重たさ、晩夏に違いありません。 重たいひまわりは、秋の訪れを誘うものでもあるようです。 髪に挿せば かくやくと射る 夏の日や 王者の花の こがねひぐるま  与謝野晶子 こちらは盛夏の趣ですね。 日周りとも書いたというこの夏の花。 その花を髪飾りにして、王者の花を誇ったのですね。 歌人自身も若く美しく輝き、王者の花は歌人を神々しく彩ったことでしょう。 夏の終わりはどこかさびしく、王者の花はもうその輝きを失いつつあります。  その寂しさを超えたなら、過ごしやすい秋の到来。 待ち遠しいですねぇ。白秋 青春詩歌集 (講談社文芸文庫)三木 卓講談社新選 与謝野晶子歌集 (講談社...
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細君譲渡

文学者のゴシップといえば、谷崎潤一郎が妻を佐藤春夫に譲った細君譲渡事件が有名ですね。 それが世に発表されたのは、今から81年前の今日、昭和5年8月19日のことでした。 某有名新聞に、谷崎夫妻及び佐藤春夫の3名連名で発表されたから、世間はびっくりぎょうてんです。 我等三人この度合議をもって、千代は潤一郎と離別致し、春夫と結婚致す事と相成り、潤一郎娘鮎子は母と同居致すべく、素より双方交際の儀は従前通りに就き、右ご諒承の上、一層の御厚誼を賜りたく、いずれ相当仲人を立て、ご披露に及ぶべき候えども、取敢えず寸楮を以ってご通知申し上げ候。(抜粋) 谷崎潤一郎は千代と結婚するも、不埒にもすでに夫がいる千代の妹に懸想し、千代との仲は冷え冷えとします。 そこにやはり夫婦仲の悪かった佐藤春夫が割って入り、千代に同情し、やがて恋情を抱きます。 数年間の紆余曲折を経て、佐藤春夫も谷崎潤一郎も離婚、佐藤春夫は元谷崎夫人の千代と結婚。 谷崎潤一郎は晴れて独身を謳歌することになります。 よくあることと言ってしまえばそれまでですが、高名な作家同士のことで、当時のゴシップ紙は飛びついたことでしょう。 例えば、今、平野啓...
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紅旗征戎(こうきせいじゅう)

私はこのブログで、政治や社会的事件のことを書き連ねていますが、藤原定家の「名月記」を読んでいて、つくづく修行が足りぬわい、と実感しました。 「名月記」に、次のような件りがあります。 世上の乱逆追討、耳に満つといえども、これを記さず。紅旗征戎、わが事に非ず。 源平の合戦が始まった頃の言葉です。 藤原定家といえば、「新古今和歌集」を編んだ当時一流の歌人。 京のみやびに生きた人です。 その彼が、世の中の政治的なことは耳に入ってきても、自分には関係がない、というのです。 ただの腐れ公家ではなく、気骨のあった人と見えます。 私も彼に倣って、世の中のことなど知らぬ、と言ってみやびの世界に生きたいものですが、所詮は貧乏サラリーマン。 なかなか高踏的な態度で生きていくことはできないのです。 「新古今和歌集」を文庫で読もうとすると、今まで岩波文庫しかありませんでしたが、これは注や訳がなく、素っ気無いものでしたが、近頃角川ソフィア文庫から出たものは、解説つきで面白いですね。 近頃古典というと角川ソフィア文庫にはまっています。 古典の入門書としてお勧めの文庫です。新古今和歌集〈上〉 (角川ソフィア文庫)久保...
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蝿の王

英国のノーベル賞作家、ウィリアム・ゴールディングの「蝿の王」を映画化したものを昨夜見ました。 飛行機が海に墜落、乗っていた陸軍少年兵学校の生徒たちが、ゴムボートで命からがら南洋の無人島にたどり着きます。 最初は、ルールに則り、規則正しく生活しますが、やがて、規律を守ろうとする一派と、無人島の主として狩りや釣りを楽しみ、好きなように生きていこうとする一派とに分かれ、しかもどんどん好きにやっていこうという派の人数が増えていきます。 彼らは顔に赤と黒のペイントをし、木の槍を持ち、豚をとらえては豚を丸焼きにしながら踊り狂います。 英国紳士たるべき陸軍少年兵学校の生徒にあるまじき行為です。 残りわずかになった規律派ですが、話し合いを持とうとしていさかいを起こし、ついには殺されてしまいます。 四面楚歌となった規律派のリーダーは、ジャングルの中を必死で逃げます。 そしてそれを追う顔にペイントをし、槍をもった軍団。 大人顔負けの紛争を戦っている彼ら、海辺に現れた軍のヘリコプターを見て、急にあどけない子どもに戻ってしまいます。 小説では、規律正しい英国軍人の卵たちが、やがて崩壊し、ついには殺人にまで手を...
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牧水先生

今年の夏は各地で花火大会や祭りが中止になり、なんとなく寂しいですね。 もっとも、人ごみが苦手な私は、花火やお祭りの賑わいは苦痛でしかありませんが。 中止の理由は震災の影響なんでしょうねぇ。 やむを得ざる仕儀というわけです。 野末なる 三島の町の あげ花火 月夜のそらに 散りて消ゆなり 若山牧水が珍しく詠んだ、花火の歌です。  どうということもない歌ですが、なぜか、閑散とした花火会場の景が浮かびます。 もっともそれは、隅田川や江戸川やの、混雑激しい花火会場と比較して、という意味ですが。 北南 あけはなたれし わが離室(はなれ)に ひとり籠れば 木草(きぐさ)見ゆなり こちらは暑さに参って風通しの良い離れでのんびり横になっている風情でしょうか。 今でいえば、休暇をとって冷房を効かせた部屋から一歩も出ずに日を過ごす怠け者の喜びといったところでしょう。  なまけつつ こころ苦しき わが肌の 汗吹きからす 夏の日の風 牧水先生、のんびり夏の日を部屋にこもって酒でも喰らっているのかと思ったら、人並みに罪悪感なんか感じちゃってるんですねぇ。 だらだら過ごすことに罪悪感を感じるのは、わが国の国民性でし...
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