文学

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学生時代

私の先輩が、この四月に定年退職して、そのまま農業を学びたいと、某大学農学部に入学しました。 知らない間に受験勉強していたのですね。 それにしても、還暦を迎えて大学生とは 六十の手習いというわけですか。 うらやましいかぎりです。 将来は農家を目指すんでしょうか 最初の学生の頃はヘルメットをかぶって警官相手に角材を振り回していたそうです。 いかにも団塊の世代らしい第二の人生です。 私は学生に戻れるとしたら、理系の学問を学んでみたいですね。  もうあはれとかをかしはいいです。 学生に 学生時代問われ居り いいちこの瓶 倒して立てて 佐々木幸綱の歌です。 安い焼酎を飲みながら、学生たちに自分の学生時代を語る老教授の絵が浮かびます。 おそらく作者自身を歌ったものでしょう。 この場合、学生も教授も男でなければなりません。 別に男女差別をするわけではありませんが、師と弟子が酒を酌み交わす図は、私の美意識では男同士でなければならないのです。 ましてそれが国文学徒であればなおさらです。 もしかしたら、かつて私自身が国文科の学生であり、女子大生がまわりに多すぎたせいかもしれません。 私の卒論の指導教授も今...
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夏の句

暑い日が続くと、外に出るのも勇気がいります。 炎天へ 打って出るべく 茶漬け飯 国文学者、 川崎展宏の句です。 打って出る、という表現が、ひどい暑さを物語っていますね。 茶漬け飯は、冷たい茶漬けとみました。 冷たい茶漬けで水分を補給し、体を冷やし、飯のパワーで一気に炎天をすすんで行く、勇ましいような滑稽なような句ですね。 次に夏らしく不気味な句。 生者より 亡者に 西瓜ごろごろす  小内美邑子 向日葵や 信長の首 切り落とす   角川春樹 亡者は死してなお、強い食欲を持っているのでしょうか?夏は魑魅魍魎が跋扈する時期です。そんなこともありましょう。 日の出の勢いの絶頂で命を絶たれた信長。夏の盛りを、夏の花の王として咲き誇る向日葵を、信長の首にたとえているのでしょうか。 どちらも、じんわりといやな汗が出るような気味悪さがあります。 今度は軽く、黛まどかの句です。 兄以上 恋人未満 掻氷 水着選ぶ いつしか彼の 目となって 女性らしい句ですね。 私は俵万智の短歌はどうにも受け付けないのですが、黛まどかの俳句は瑞々しくて良いと思います。 情念の強さの違いでしょうかね。 暑い暑いと愚痴をたれて...
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時とともに

何事も、古き世のみぞ慕わしき。今様(いまよう)は、無下(むげ)にいやしくこそなりゆくめれ。 鎌倉時代のブログともいうべき、「徒然草」第22段の冒頭です。 はるか鎌倉時代から、人々はその当時の風俗や言葉遣いを嘆いていたことが分かります。 現代日本語も、短い間に変化しました。 古い映画やニュースで語られる日本語は、今とはずいぶん違います。 まず、早い。 小津安二郎や黒澤明の映画など、早口で、かなりきつい東京弁です。 書き言葉で言えば、明治から始まった口語文。これの普及で、古文漢文をすらすら読むことは、現代人には困難になりました。  戦後、新仮名遣いが始まり、日本語の変化は加速しました。 怖ろしいことに、敗戦のショックかコンプレックスか知りませんが、敗戦直後には国語教師の間で日本語をすべてローマ字化しようという運動さえありました。 そして、現代。 いわゆるギャルと呼ばれ、自らもそう称している頭の弱そうな若い女性が放つ言葉は、私のようなおじさんにはとても下品に聞こえます。 もはやら抜き言葉などは本来の言葉に取って代わりました。 近い将来、らをきちんと発声しただけで、年寄り扱いされるかもしれませ...
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今日は土用の丑。 本来ならばうなぎを食すべきところ、ひねくれ者の私はもう一つの夏の味覚、鰹をいただきました。 もちろん、たたきで。 近頃は刺身も流行っていますが、やはりほんのりと香ばしいたたきに軍配が上がります。 目には青葉 山ほととぎす 初がつお 有名な山口素堂の句です。 夏の季語がいくつも並んで、豪華な感じがしますね。 ほとんどこの一句をもって知られている俳人とさえ言えます。 しかし今年の夏は、死人が続出する猛暑で、この句のように優雅に命の盛りを楽しむわけにもいきますまい。 まずはおのれの健康を守ること。さらには死なずに秋を迎えることが肝要です。  特にご高齢のみなさまには十分に水分をとり、エアコンを積極的に使われますようにお願いします。
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大暑

今日は大暑ですね。 その名のとおり、ここ数日は猛烈に暑いですね。 外に出ると息苦しいような感じで、鯉のように口をパクパクさせてしまいます。 日本人は猛暑に苦しみながら、夏を楽しんでもきました。  炎天を 槍のごとくに 涼気すぐ  飯田蛇笏の句です。 炎天下、一陣の涼気が槍のように過ぎて行った、という意味でしょうか。 涼しさを槍にたとえるとはなんとも豪気です。 飯田蛇笏一流の表現ですね。 少し色っぽく、 サラリー数ふ 恋ざかりなる 日盛りに  私と同世代の俳人、高山れおなによる句です。 汗をかきながら給料を数え、デートの算段でもしているのでしょうか。 微笑ましいですね。 さらに艶っぽく、 行水の 女にほれる 烏かな 高浜虚子の手になる句です。 昔は盥に水をはって、庭で行水をしていましたから、女が裸で庭に出ていたのですね。 その色香にカラスが迷う、というわけで、カラスというところが良いですね。 趣向を変えて、 かぶと虫 昔いぢめし 男の子 現代を代表する俳人、黛まどかの句です。 子供の頃、かぶと虫を捕まえに行って、からかったあの男の子はどうしているだろう、という初恋を追慕する句と読みました...
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