文学

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籠り居

仕事始めから一週間が過ぎて、ようやっと、仕事も軌道に乗ってきたようです。 言い換えれば、忙しくなってきたということ。 どこでもそうでしょうが、1月から3月に向けては、どうしても忙しくなります。 寒いし、忙しいし、嫌な時季です。 土曜日は少しですが、雨か雪が降る予報。 首都圏では雪は大ニュースですが、積もることはなさそうです。 うずみ火や 我かくれ家も 雪の中 私が偏愛する与謝蕪村の俳句です。 冬の醍醐味は、とても寒い日に、暖かい自宅に籠り居ることでありましょう。 その郷愁を美しく表現していると思います。蕪村句集 現代語訳付き     (角川ソフィア文庫)玉城 司角川学芸出版 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 という、三好達治の短い詩へ与えた影響、あるいは類似点を指摘する声も多く聞かれます。 この詩も、冬の郷愁に満ちたものだと感じます。 太郎と次郎とは何者じゃ?などと無粋は言いますまい。 兄弟仲良く枕を並べて眠っているようにも、家族ではなく、それぞれの家に雪が降っているようにも受け取れます。 どう受け取るかは、読む者の勝手。  私は、近所に住...
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師走何ぢゃ

師走も押し詰まってきました。 明日からの3連休を終えれば、もう今年も最後の週。 しかも私は年休消化のため、25日(火)に休暇を入れました。 4連休です。 これで今年も年休は完全消化。 計画的に休暇を取ってきたおかげです。 なんとなく気は急きますが、師走だ、師走だと騒いでも、良いことなどありはしません。 師走何ぢゃ 我酒飲まむ 君琴弾け 幸田露伴、号して蝸牛庵先生の俳句です。蝸牛庵句集 (1949年)幸田 露伴中央公論社露伴の俳話 (講談社学術文庫)高木 卓講談社 上手い句とは言い難いですが、師走がどうしたと開き直り、酒を飲もうという心意気が、天邪鬼と言おうか、偏屈と言おうか、いずれにせよ風狂の趣が漂います。 私はしがないサラリーマンゆえ、文人趣味とも風狂とも縁遠い生活をしていますが、忙しい師走に、あえて酒を飲みつつ琴を聞くような心境に、憧憬を覚えます。 もっとも私も、師走だろうが正月だろうが関係なく酒を呑む呑ん兵衛ですから、琴の音が無いだけで、同じようなことをしているとも言えます。 正月は呑むものと決まっていますが、師走に酒というのはあんまり相性が良くないのかもしれません。 最近は肝臓...
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ユートピア

昨夜は湊かなえの山本周五郎賞受賞作、「ユートピア」を一気に読みました。 文庫本で350頁。ユートピア (集英社文庫)湊 かなえ集英社 太平洋を望む美しい田舎町に引っ越した陶芸家や写真家ら芸術家たちと、地元の人々との物語。 ミステリーの要素もありますが、それはおまけ程度。 女同士のいやぁな感じの話に終始します。 一気に読ませる力はたいしたものですが、この作者の作品としてはやや物足りない感じがしました。 いやぁな感じの小説を書かせたら右に出る者がいない作者ですから、もっともっと嫌味な作品を期待しています。
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夜は満ちる

今日は久しぶりに寒い日となりました。 出かける気が起きず、久しぶりに読書など楽しみました。 小池真理子御大の短編集、「夜は満ちる」を読みました。夜は満ちる (集英社文庫)小池 真理子集英社 怪談というのか、ホラー小説というのか、そういうのに分類されるようですが、私は違った趣を感じました。 奇妙な味の、詩情あふれる幻想譚、という印象。 7つの短編からなる小説集ですが、震え上がるように怖いというのではなく、どこか切ないと言いましょうか。 至福の時を過ごさせてもらいました。
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露の世

朝夕めっきり涼しくなりました。 肌寒いほどです。 そろそろ夜露に濡れる季節ですねぇ。 露と言えば世の儚さを象徴する言葉。 豊臣秀吉の辞世が特に有名ですね。 露と落ち 露と消えにし 我が身かな          浪速のことも 夢のまた夢 また、小林一茶は次のような句を残しています。 露の世は 露の世ながら さりながら  この句は、同じ言葉を繰り返すという技法で、露のようなはかない人生を、秋の物寂しい味わいとともに見事に切り取っているように感じられます。 はかない人生と知ってはいても、そうは言っても・・・ 後に続く言葉は何でしょうね。 私の場合、俗っぽいですが、金の欲しさよ、でしょうか。一茶句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)小林 一茶角川学芸出版 毎日が繰り返しのように見えるサラリーマン生活ですが、確実に終わりに向かって突き進んでいるのは確かで、露のようなものだと思えば、苦役のような仕事ですら、なんだか愛おしく感じられるから不思議です。 秋の夜長に、露のような世の中を想ってみるのもまた一興でしょうか。
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