文学

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黒王妃

久方ぶりに長編小説を読みました。 中世ヨーロッパを舞台にした作品を多く手掛ける佐藤賢一の快作、「黒王妃」です。黒王妃佐藤 賢一講談社 夫の死以来、黒い服しか着なくなった王妃、カトリーヌ・ド・メディシスを主人公に、カソリックとプロテスタントが激しく対立し、時には内乱にまでなる16世紀を舞台に、主人公と夫との愛、夫の愛人との暗闘が描かれ、さらに夫亡き後、少年の息子が即位してからは政治の実権を握って暗躍するさまが、スリリングに描かれています。 わが国で言えばちょうど戦国時代にあたる時代で、ヨーロッパでは様々な王国、公国が乱立し、さらにプロテスタントとカソリックの争いがからんでとんでもないことになっちゃっています。 いずこの国も領土や資源欲しさにもっともらしい理由をつけて殺し合いを演じた時代があるのですねぇ。 カトリーヌ・ド・メディシスといえば、サン・バルテルミの虐殺が知られています。 フランスで、カソリックがプロテスタントを大量虐殺した事件ですが、それも彼女が主導したと言われています。 もっとも、黒王妃は長いこと両者が平和裏に共存する社会を目指す宥和政策を採ってきました。 その王妃がプロテス...
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精霊(しょうろう)

今日は精霊の日なんだそうですね。 なんじゃそりゃ、と思ったら、柿本人麻呂、和泉式部、小野小町の忌日が今日だから、なんだそうです。 ますますなんじゃそりゃ、という感じですねぇ。 ちなみにしょうろうのひと読むそうで、要するに死者を悼む日ということでしょうか? 3人とも著名な歌人というのが面白いですね。 柿本人麻呂という人は歌聖とも言うべき人で、私は敬して遠ざけるよりほかありませんが、和泉式部と言う人の歌は面白いと思います。 のどかなる 折こそなけれ 花を思ふ 心のうちに 風は吹かねど あぢきなく 春は命の 惜しきかな 花ぞこの世の ほだしなりける とりあえず春の歌を2首。和泉式部日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)川村 裕子角川学芸出版 小野小町のような暑苦しさは感じられず、春の切ない心情を詠いながら、どこかドライな印象を受けますね。 小野小町は絶世の美女と伝えられますが、和泉式部は容貌に関しては冴えないおばちゃんというイメージがあります。 また、「源氏物語」の作者、紫式部と大層仲が悪かったとも伝えられます。 才気走ってどこかドライな感じがする和泉式部を、ロマンティストの紫...
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異動?

大分春めいてきました。 なんとなく、心が騒ぎます。 今年が今の部署で3年目なので、異動の可能性が高いためと思われます。 それにしても勤め人というもの、3年かそこらで紙切れ1枚がでて、どんな畑違いの部署へでも行かなければならないとは、因果な商売です。 それしか飯の種がないのだから、愚痴っても仕方ないことではありますが。 今の部署ではもう3年過ごしているので、業務に精通しており、残れば楽なのはわかっていますが、同時に何が面倒で何が問題かもよく分かっています。 そうなると、残るのもなんだか面倒です。 私は飽きっぽいので。 おそらく内示は3月19日か20日だと思いますが、それまで、心が騒ぐでしょうねぇ。にほんブログ村 人気ブログランキングへ
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春の嵐とで言いたいような、激しい雨が降っています。 春らしく、気温は高く、事務室のなかは暖房なしでも快適です。 「春の嵐」というヘルマン・ヘッセの小説がありましたね。 はるか昔、中学生の頃読んで感銘を受けた記憶があります。春の嵐―ゲルトルート (新潮文庫)高橋 健二新潮社 象徴的な意味で付けられたタイトルで、何も春の嵐をつづったものではありませんが。 地震や台風、津波などは、自然が物理的な力をもって私たちを襲ってくる怖ろしいものですが、通常、自然はその魔的とさえ言える力を隠して、眠っているかのごとくです。 若山牧水に自然を眠っているかのように詠った和歌があります。 山ねむる 山のふもとに 海ねむる かなしき春の 国を旅ゆく いかにも抒情的な、あざといくらい旨い歌ですねぇ。若山牧水歌集 (岩波文庫)伊藤 一彦岩波書店 それに比べ、ほどほどであれば怖ろしいものではなく、むしろ人間に恵みをもたらす雨は、眠っているようには見えませんね。  その時々のそれぞれの人の気分や状況を反映して、恵みの雨にも見え、涙のようにも見え、また、人を喜ばせもし、沈ませもする不思議なものです。 実家は寺であるため来...
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入院

一昨夜、車が突然パンクしたとこのブログで報告しました。 今日ディーラーに行き、当時の状況を話しました。 ハンドルが急に重くなり、車の自由が効かなくなってハンドルを左に切り、歩道に乗り上げてパンクした、と話したところ、営業マンの表情、にわかにかき曇り、店長を連れてきて相相談したところ、ハンドルが急に重くなるという症状からして、エンジンに不具合が生じている可能性が否定できず、メーカーから専門のメカニックを呼んで精査したい、とのこと。 それには一ヶ月以上を要するとのことで、一ヶ月車が無いのは非常に不便なので、取りあえず一ヶ月、トヨタレンタカーでヴィッツを借りることと相成りました。 レンタカー代は保険から出ますが、ネットで調べたところ長期割引で一ヶ月で10万円ちょっと。 意外に安いのですねぇ。 免許を取得してもう26年、初めて車を購入して21年になりますが、こんなことは初めてです。 快適に新車を楽しんでいただけに、長期入院は残念です。 時間はかかっても、健康を取り戻して帰ってきてほしいものです。にほんブログ村 人気ブログランキングへ
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少し春めいてきましたね。 陽が長くなったのは喜ばしいことです。 それにしても今年はひどい大雪が降って、首都圏の交通網は麻痺しました。 もう雪は懲り懲りです。 幼い頃、私は「まんが日本昔ばなし」が大好きでした。まんが日本昔ばなし DVD-BOX 第1集(5枚組)市原悦子,常田富士男東宝まんが日本昔ばなしDVD-BOX 第2集 (5枚組)市原悦子,常田富士男東宝まんが日本昔ばなしDVD-BOX 第3集(5枚組)市原悦子,常田富士男東宝 かの番組では、狂言と能をセットで演じるがごとく、可笑しな話とシリアスな話をセットで放送していましたね。 私が強烈な印象をもって感銘を受け、今も忘れられないのは、「雪女」。 恐ろしくも悲しく、切ない物語は幼い私に忘れがたい印象を残したのです。 それがため、しばらくは雪女が現れるのではと、恐怖に震えていたものです。 最近私のお気に入りのバンドであるSEKAI NO OWARIに、「スノー・マジック・ファンタジー」という曲があります。 雪女に材をとって製作されたものと想像しますが、これもまた、恐ろしくも切なく、幻想的な曲です。 雪山で遭難した登山者の一瞬の幻覚のよ...
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春雨

今日は気温が高く、雨が降っています。 すっかり春雨の風情です。 春の強い陽射しには瘴気が強く漂って、私をして沈ませますが、春雨には瘴気を消す効果があるように感じます。 春雨や ものがたりゆく 簑と傘   与謝蕪村  春雨を詠んだ句で私が最も愛好するものです。 春雨の中を、蓑を被った者と傘をさした者が楽しげに語らいながら歩く姿には、ほのぼのとした風情が感じられ、私の心も癒されます。蕪村俳句集 (岩波文庫)尾形 仂岩波書店郷愁の詩人 与謝蕪村 (岩波文庫)萩原 朔太郎岩波書店 正岡子規の、 くれなゐの 二尺のびたる 薔薇の芽の 針やはらかに 春雨のふる という和歌のほうが、春雨を詠んだ和歌や俳句の中では有名かもしれませんね。子規歌集 (岩波文庫)土屋 文明岩波書店 どちらも、春雨を、春の足音が感じられる好意的なものととらえているように感じられます。 筒井康隆の「敵」という小説では、定年退職して独り悠々自適の生活をおくる元大学教授の日常がつづられています。敵 (新潮文庫)筒井 康隆新潮社 少し頭が弱くなってきた老学者、「春になったらみんなが来てくれるなぁ」という意味のセリフを繰り返し独りごち...
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雨水

今日は二十四節季の雨水。 雪が雨に変る頃。 「暦便覧」では、陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり、とされています。 今日、明日は数日前まで雪の予報でしたが、雨水と言うとおり、雪は回避されました。 誰の句でしたか、何かの俳句雑誌で見たように思いますが、 心解く 時くれといふ 雨水かな  という意味深長な句が印象に残っています。   季節の変わり目に、心がからまってしまったのでしょうか。 私はこの時季にそんな心境になることはありませんねぇ。 人それぞれ、物思いの季節は異なると言うことでしょうか? 私はそろそろ足音が聞こえてきた春が持つ強い瘴気を、今から怖れています。にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
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雪見酒

ここ数日は雪に悩まされることなく、快適に車通勤を続けています。 しかし予報では、明日から明後日にかけて雪になる可能性があるとか。 厭ですねぇ、 なにしろ首都圏は雪に弱く、電車は止まるわ、タクシーは休んじゃうわ、立ち往生する車が続出するわ、歩行者は転ぶわ、碌な事がありません。 私も2回転倒しました。 雪と言えば雪見酒という優雅な楽しみもありますが、サラリーマンにとって平日の雪は地獄の様相を呈します。 なんだか今年の雪の降り方は異常です。 雪見酒 ひとくちふくむ ほがひかな  飯田蛇笏 ほがひとは、ことほぐのほぐで、祝う、といったほどの意です。新編飯田蛇笏全句集飯田 蛇笏,飯田蛇笏生誕百年記念実行委員会角川書店 いかにも幸せでお気楽な雪見酒を詠んで、なんとなく楽しい気分になる句です。 通勤さえうまくいけば、近いうちに楽しい雪見酒が楽しめそうです。 にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
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鋼の精神

雪が降りしきるなか、定時まで仕事をし、帰宅の途に着きました。 幸い、バスも電車も5分程度の遅延で走っていましたので、ストレスなく帰宅できました。 でも多分、一晩中雪が降ったら、明日の公共交通は全滅でしょうねぇ。 タイミングが良かったとしか言いようがありません。 自宅で降りしきる雪を見る分には、幻想的で美しいものですが、出勤しなければならないとなると、地獄の様相を呈します。 首都圏は雪に慣れていませんからなおさらです。 幸い明日は土曜日。 しかも予報では、気温が高くて雨。 暖かい雨が降れば、雪など溶けてしまうでしょう。 あさっては晴れの予報ですから、今度はお陽様がとどめの一撃で雪を駆逐してくれるでしょう。 あさってはマンション管理組合の年に一度の総会。 その場で次ぎの理事が選任、(と言っても輪番ですが)、されるので、一年に及んだ理事職からも解放されます。 嬉しいですねぇ。 こうやって、季節は確実に春に向かっているのですねぇ。 嬉しいような、少し憂鬱なような。 何しろ私は春の瘴気が苦手。 春愁秋思とは、人の心を表して見事だと思います。 白楽天の「陵園妾」に見られる詩句です。白楽天詩選 (上...
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宇宙意志からの警告

1986年の今日、米国でスペース・シャトルのチャレンジャー号が打ち上げ間もなく爆発しました。 高校生だった私は、強い衝撃を覚えたことを鮮明に記憶しています。 その後、大江健三郎の「治療塔」を読んで、不快な思いをしました。治療塔 (講談社文庫)大江 健三郎講談社 なぜなら、この痛ましい事故を、宇宙意志からの警告と表現していたからです。 いくら嘘八百の小説とは言え、それはないでしょう。 いやむしろ、嘘八百だからこそ、真実があぶり出されるはずです。 真実は物語の中にしか存在しないというのが私の持論であることは、このブログで何度も述べてきたところです。 だからこそ、あってもなくてもいいような、嘘八百でしかない文学に、人は過剰なまでの高い価値を見出すのだと思います。 大江健三郎というのは奇妙な人で、国家から与えられるものは拒否するとか言って文化勲章を辞退したかと思ったら、スウェーデン国王が設立したノーベル財団からのノーベル文学賞は嬉々として貰っていましたね。 要するに外国なら良くて日本国だと駄目なんでしょうね。 天下の悪文家としても知られ、嘘か真か、英語で書いて日本語に訳してるんじゃないかと噂さ...
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スペインのサスペンス

今朝はスペイン製のスリリングなサスペンスを鑑賞しました。 「ペインレス」です。 世の中には不思議な病気があって、痛みを全く感じない奇病に冒された患者がいるそうですね。 そういう人は大怪我や大火傷を何十回もくりかえすのだそうです。 痛みがどれほど生きる上で必要かが分かろうと言うものです。 この映画は、1931年、スペインのある村で、何十人もの痛みを感じない子どもたちが発見されたことによる悲劇を、現代と交錯させながら描いて見事です。ペインレス アレックス・ブレンデミュール,トーマス・レマルキス,イレーネ・モンターラ東宝 痛みを感じない子どもたちは、自傷行為に及ぶばかりでは無く、人の痛みも理解できないため、他人をも傷つけてしまう危険な存在です。 そのため、村の幹部は子どもたちを刑務所の独房に生涯閉じ込めることにします。 時代はスペイン内戦から第二次世界大戦に向かい、戦後はフランコ独裁により苛烈な政治が続いた頃。 一方、現代。 ある中年医師が癌に冒され、両親から骨髄移植を受けなければ余命いくばくもないことが判明し、両親に頼みこみます。 しかし両親は、悲しげな顔で、希望に添いたいが、不可能だと言...
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荷風散人とフランス抒情詩

おととい、昨日とわりと出歩いたので、今日は昼飯を食いに目の前のイタ飯屋に行ったのと、晩のつまみに活赤貝の刺身と魚屋特製の半生の〆鯖購入のために魚屋に行った以外は、家で大人しく過ごしました。 自室で本の整理などしていたら、懐かしい訳詩集が出てきて、思わず全部読んでしまいました。 「珊瑚集 仏蘭西近代抒情詩選」です。珊瑚集―仏蘭西近代抒情詩選 (岩波文庫)永井 荷風岩波書店 永井荷風がボードレールやヴェルレーヌらフランスの詩群の中から厳選し、流麗な文語体で本朝の言葉に移して新たな命を吹き込んだ大正時代の訳詩集で、当時「海潮音」と並んでフランスの詩風を本朝の詩を愛好する紳士淑女に紹介し、もてはやされたと伝えられます。海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)上田 敏新潮社 永井荷風というと、皮肉屋の散文作家のイメージが強いですが、散文作品にも詩の精神が確かに宿っており、詩作はよくしなかった代わりか、訳詩で心を慰めたものと推量します。 永井荷風です。 例えば「ロマンチックの夜」と題されたノワイユ伯爵夫人の詩の一節。 よろづの物われを惑わしわれを疲らす。 行く雲軽く打ち顫ひ、 慾情の乱れ、 ゆるやかなる...
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生き生き

今日は忙しかったですねぇ。 朝9時半から正午まで他機関の人々とテレビ会議。 午後1時からまた会議。 その後、明日から3日間に渡って続くイベント準備。 へとへとになりました。 それでも驚異的な集中力を発揮し、残業を忌避しました。 残業を覚悟していたので、ほっとしました。 今週は気が張っているせいか、なんとなく元気です。 警備のおじさんにも、「肌つやが良いんじゃないですか?」と言われました。 忙しくなって生き生きするというのは、精神障害発症以前には当たり前のことでしたが、精神障害を得て、忙しいと気分が沈むばかりでしたから、よくぞここまで回復したものだと、感慨深いものがあります。 この調子でとりあえず3月末まで、今の席での仕事を乗り切りたいと思っています。にほんブログ村 人気ブログランキングへ
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松の内

いつも分からなくなるのですよねぇ。 正月飾りをいつ処分すればよいのか。 1月7日だったような、15日だったような。 で、調べてみたら、以下のようなことのようです。 もともと、鏡開きは松の内が終わった後の1月20日(旧暦)に行われていたそうです。 しかし、徳川家光が慶安4年(1651年)4月20日(旧暦)に亡くなった際、徳川幕府のお膝元である関東では1月20日を忌日として避けるようになりました。 鏡割りは1月11日に行われるようになったが、松の内の間に鏡開きを行うのもおかしいということで、松の内自体も1月7日までに短縮されたとされています。 地域によって松の内の期間が異なるのは、こうした関東での風習が全国に広まらなかったためと考えられているそうです。 けっこういい加減に決めているのですねぇ。 確かに七草がゆを食う1月7日で松の内が開けるというのは実感としてしっくりきます。 そうすると明日まではまだおめでたいお正月ということで、もう一つやる気が涌かないのも道理です。 正月の 子供に成て 見たき哉 小林一茶の句です。一茶句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)小林 一茶角川学芸出版 お正月と...
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