文学

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プリズム

今日はどんよりと曇り、寒い日でした。 自宅のプリンターが全く動かなくなってしばらくたつので、近所の大手家電量販店でプリンターを購入し、接続しました。 もうじき年賀状の季節ですからね。 宛名書きを手書きで行うなんて、考えただけでもぞっとします。 それ以外は、自宅で大人しく読書をして過ごしました。 読んだのは、貫井徳郎の「プリズム」。プリズム (創元推理文庫)貫井 徳郎東京創元社 ちょっと変わった構成のミステリーでした。 小学校の若い女教師が自室で死んでいるのが見つかります。 死因は置時計の角で頭を殴られたらしいこと。 この作品は、4人の関係者が、それぞれに推理をめぐらし、別々の結論に至る、という構成になっています。 4つの章で、それぞれ語り手が代わり、連作のような形式になっています。 しかも推理する人物それぞれが、被害者に全く異なる印象を抱いており、ちょっと、芥川龍之介の「藪の中」を連想させます。 立場が代われば見方も変わる、ということを痛感させられます。藪の中 (講談社文庫)芥川 龍之介講談社 まず教え子の男子小学生が推理。 教え子にとっては、被害者は児童の気持ちが分かってくれる、やさ...
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海が引く

秋も深まってまいりました。 今日は朝から冷たい雨。 冬が死の季節だとするなら、秋は死を予感させる頃。 移ろいゆく四季に、人生をなぞらえるのは、季節が豊かなわが国民であってみれば、自然なことでしょう。 秋の暮 大魚の骨を 海が引く 西東三鬼の句です。西東三鬼全句集三橋 敏雄沖積舎 大魚の骨とは、すでに亡くなった魚の骨。 それが海に洗われているというのです。 老境に達した俳人は、その姿に自身の死と、死がもたらすであろう再生を夢見ていたのでしょうか。 壮大な感じがする句ですね。 今年は一つ下の後輩が心不全で突然死し、私もまた、おのれの死を想わずにはいられませんでした。 輪廻転生が、また、成仏が事実なら、死は新たな生への始まりとも言えるでしょう。 後輩は中有の闇を越えて、新たに輪廻の輪に入ったのでしょうか。 あるいは見事涅槃に至り、輪廻の輪から抜け出したのでしょうか。 誰にも分からないことです。 上の句は、誰にもわからない生死の問題を、壮大な景色のなかに切り取ってみせたような感じがします。 黙示的とでも言いましょうか。 私も独り、秋の海で壮大な夢想に浸りたくなりました。にほんブログ村 芸術・人...
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隣は何を

秋も深まってきたようで、今日は寒いくらいです。 今日から、私は股引と半袖の下着の上に長袖の下着を着用して、Yシャツを着ています。  あったかい。 暖房がまだ入らないのでちょうどよいようです。 しかし驚愕なことに、今日も半袖シャツ1枚で出勤している人を見かけました。 衣装の差が激しい時季なんですねぇ。 秋深き 隣は何を する人ぞ あまりにも有名な、松尾芭蕉の句です。 秋のどこか悲しい感じがよく出ていますね。芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)雲英 末雄,佐藤 勝明角川学芸出版 隣が何の仕事をしている人か知っていますが、半袖シャツ1枚で出勤する人を見ると、何をする人ぞ、という気分になるというものです。 私はマンション住まいゆえ、近所づきあいというものは全く無く、入居して15年、隣の人を会えば挨拶くらいはしますが、どんな仕事をして、いかなる家族構成なのかも知りません。 まさしく隣は何をする人ぞ、です。 これから1~2ヶ月、深まる秋に思いを馳せつつ、秋の物悲しさに囚われないよう、鋼の精神を保ちたいものです。にほんブログ村 人文 ブログランキングへ
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しゃべれども しゃべれども

昨日は静かに読書などして過ごしました。 読んだのは、「しゃべれども しゃべれども」。しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)佐藤 多佳子新潮社しゃべれども しゃべれども Blu-ray スペシャル・エディション国分太一,香里奈,森永悠希,松重豊,八千草薫TCエンタテインメント 20代半ばの、二ツ目の噺家、今昔亭三つ葉と、彼のまわりに集う個性的な人々の物語です。 劇的な展開があるわけはなく、一種の人情喜劇ですが、じつに読ませます。 三つ葉の元に、吃音に悩む青年、うまくしゃべれない野球解説者、口下手なために失恋した女、関西弁のためにいじめられる小学生らが、それぞれの悩みを落語を習うことで解決しようと奮闘します。 しかし、落語の指導をする三つ葉にしてからが、恋に仕事に悩みに悩む、一個の青年に過ぎません。 彼らはときに反目しあい、ときに語り合い、それでも素直になれずに相手を認める一言が出ない、やきもきするような人々です。 そのやきもきは、やがて、私たち誰もが抱えている人間心理の複雑さだと気づきます。 それに気づいたとき、この小説な圧倒的な迫力と、いとおしさをもって読者に迫ってきます。 良い小説で...
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酒のむ独り

ずいぶん涼しくなってきました。 朝夕は肌寒いほどです。 季節は確実にめぐっているのですねぇ。 月見酒の旨い季節ですが、私は月がでていようといまいと、独り、毎夜の晩酌を楽しむ愚か者です。 月花も なくて酒のむ 独り哉 俳聖、松尾芭蕉の句です。芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)雲英 末雄,佐藤 勝明角川学芸出版 雄大でスケールが大きい俳句を詠むイメージがある俳聖ですが、こんな内省的というか、寂しい句も詠んでいるのですねぇ。 俳聖といえども人であったかと、少し、ほっとします。 なんとなく親近感がわきます。 わが国では、酒と風流を結び付けて考えがちですが、本当のところ、酒呑みというもの、風流を感じようと感じまいと、酒を呑むものです。 呑んでは体に毒だと思いつつ、今宵も独り、呑んでしまうのでしょうね。 月があろうとなかろうと、花があろうとなかろうと。 独り呑む酒は、愉快になることもあれば、果てしも無く内省的になり、私を落ち込ませることもあります。 でもその落ち込みは、なぜだか心地よかったりするのです。 あぁ、酒を控えなければ。にほんブログ村 人気ブログランキングへ
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