文学 ガレージ
私が車を駐車しているのは、マンションのすぐ横に建つ立体駐車場です。 夏、暑くならず、雨が降っても汚れないのは良いですが、車を出すとき2分ほど待たなければなりません。 また、私の前に出そうとしている人がいれば、当然その分待ち時間は長くなり、軽くストレスです。 私はマンションを購入する際、一戸建ての購入は全く検討しませんでした。 防犯上も危ないし、庭なんかあっても手入れする気はないし、メンテナンスも面倒だと思ったからです。 ただ一つ、一戸建てで良いなと思ったのは、ガレージを設置できることです。 できればアメリカ映画に出てくるような、三台も四台も駐車できるような、大きなガレージが欲しいと思いました。 車は一台だけで、自転車やら、発電機やら、芝刈り機やら、チェーンソーやら、雑多なメカニック的なものが置いてあり、少し油のにおいがする町工場のような空間。 私は書斎より、そんなガレージで、読書したり、物思いにふけったりしたいと思ったのです。 じつはそれには、理由があります。 中学生の頃読んだ日野啓三の「天窓のあるガレージ」に影響されたのです。 車がないガレージを自分の空間と定めた少年。 天窓から降り...