文学

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昭和は遠く

今日は文化の日。 もともとは明治大帝の誕生日であることを知る人も少ないでしょう。 降る雪や 明治は遠く なりにけり と中村草田男が詠んだのは、昭和六年のこと。 明治が終ってやく20年後のことです。中村草田男集 (朝日文庫―現代俳句の世界)中村 草田男朝日新聞社 今、平成の御世も27年。 昭和は遠くなりにけり、というのが実感です。 激動の明治時代を生き抜いた明治大帝のご遺徳を偲びつつ、戦争に明け暮れた近代の反省に立って文化的な事柄に精を出そうというのが文化の日の主旨なんでしょうかね。 しかし生まれついての怠け者である私は、貴重な文化の日を、ただだらだらと過ごしています。
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家日和

昨夜は奥田英朗のユーモア小説集を読みました。 「家日和」です。家日和 (集英社文庫)奥田 英朗集英社 まったくこの作家のユーモアのセンスには笑わされ、感心させられます。 喜劇を生み出すというのは極めて知的な作業で、冷静さを必要としますね。 それでいて、ミステリや悲劇ほど売れないし評価されないというのは悲しいことですね。 この短編集は、ネット・オークションにはまる主婦や、妻と別居中に自宅マンションを自分好みの男の城に変身させてしまう中年サラリーマンなどなど、様々な滑稽な家族が提示され、面白くもあり、身につまされもしといった、読み応えのあるものに仕上がっています。 文学の世界において、シリアスなものがもてはやされがちですが、これからは喜劇をこそ、称揚せしめねばなりません。
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記憶破断者

今日は「記憶破断者」というSFミステリを一気に読みました。 記憶が1時間くらいしかもたないという奇病、前向性健忘症を患う男と、他人の記憶を書き換えることができる超能力者との対決の物語。 他人の記憶を書き換えられることを悪用し、悪事のかぎりを尽くすダーク・ヒーロー。 1時間前のことも覚えていられない男はノートを持ち歩き、こと細かくメモし続けることで、相手に対峙しようとします。 ラスト近く、超能力者にノートを読まれることを想定し、あえて嘘を書いたり、重要なことを書かないでおいたりといった工夫をこらしていることが判明します。 しかも当の本人はそれすら忘れてしまうので、ノートに書かれたことが本当だと信じ、だからこそ相手を欺くことが出来るという仕掛け。 巧妙に仕組まれた物語で、堪能しました。記憶破断者 (幻冬舎単行本)小林泰三幻冬舎
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謎解き

本格推理、SFミステリ、コメディ調のミステリなど、様々なタイプのミステリを集めた短編集を読みました。 小林泰三の「大きな森の小さな密室」です。大きな森の小さな密室 (創元推理文庫)小林 泰三東京創元社 その多様さゆえに少々戸惑いを覚えましたが、独特の世界に引き込まれました。
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白玉の

私が最も敬愛する歌人、若山牧水はたいへんな大酒飲みでした。 朝2合、昼2合、夜6合の酒を欠かさなかったと伝えられます。 歌人は酒の飲みすぎが祟って43歳の若さではかなくなってしまいました。 病床にあっても酒を欲し、医者ももはや止めなかったそうです。 酒を詠んだ歌は数知れず。 その中でも、 白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしずかに 飲むべかりけり というのは絶唱とも言うべき秀歌でしょうねぇ。 この時季、帰宅して酒を口に含むと、必ず思い出します。若山牧水歌集 (岩波文庫)伊藤 一彦岩波書店 それにしても、40代後半に突入し、日々の楽しみは晩酌ばかりとなるとは、私も衰えたものです。 酒の酔いがもたらす心地よさを求めて研鑽を怠り、精神の怠惰を放置するようになろうとは、若い頃には想像もしなかったことです。 加齢がもたらす衰えは、ひとつ肉体ばかりではなく、精神にも及ぶのですねぇ。 しかし私はもはや、それに抵抗する術を持ちません。 肉体よりも先に朽ちていく精神の、その朽ちいく速さに、ただ、茫然とするばかりです。にほんブログ村 芸術・人文 ブログランキングへ
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