文学

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刑死の明日に、迫る夜温(ぬく)し

私が一貫して死刑制度廃止を願っていることは、このブログに何度も書きました。 なんとなれば、この世に生きとし生ける者は、死から逃れる術を持たず、すべての生き物が死刑囚とも言え、いずれ来る死を早めることが刑罰になるとは思えないからです。 まして宅間守のように早期の死刑執行を望んでいる者を殺してしまうのは、本人の希望を叶えてやることになります。 それよりは、終身獄中に置いて、反省と贖罪を促すことが、刑罰として相応しいと思えてなりません。 死刑囚の中には、永山則夫のように、獄中で小説を書いて豊かな文学的才能を発揮した者もいます。無知の涙 (河出文庫)永山則夫河出書房新社 彼が日本ペンクラブに入会したいと言い出した時、ペンクラブは喧々諤々の騒ぎになり、結局入会を認めませんでしたね。 文学者の集まりと雖も社会を構成する団体である以上、犯罪者を入れることは出来ない、という意見と、文学は人間の恥部や悪をも描くものであり、犯罪者だからと言って入会を認めなければ、文学の死を意味するという意見が激しく対立したことを覚えています。 それはさておき。 死刑囚の歌人に、島秋人と言う人がいます。 強盗殺人の罪により...
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怠け者

昨日久しぶりに晴れたかと思えば、今日は早くも雨降り。 秋の長雨とは言いますが、いい加減にしてほしいものです。 今日は朝湯につかって朝飯を食った後は、テレビを観たり小説を読んだりしてのんびりと過ごしています。 昼は近所の蕎麦屋でとろろそばを食しました。 その後しばし昼寝して、少しだけ、明日のプレゼンの資料を読み返したりしました。 怠け者の私が日曜日にわずかとは言え仕事の資料に目を通すとは。 明日は西からお日様が昇るかもしれません。 なまけもの なまけてあれば こおひいの ゆるきゆげさへも たへがたきかな 北原白秋の短歌です。 全編平仮名、珈琲さえも平仮名。 読みにくいったら無いですが、いかにも怠け者な感じは漂います。北原白秋歌集 (岩波文庫)高野 公彦岩波書店 私の夢は専業主夫になって、家事さえも手を抜いて怠け者の暮らしをおくることですが、私と同居人と共働きだからこそ、どうにか経済的にやっていけているのも事実で、同居人1人の稼ぎでは、あっという間に貧窮することは目に見えています。 まぁ、夢なんて、叶えるものではなく、ただひたすら憧れているから楽しいのかもしれませんねぇ。
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路(ルウ)

今日は午後から目白で競争的資金獲得のための勉強会。 直行直帰を許されているので、朝はのんびりです。 昨夜、吉田修一の「路(ルウ)」という小説を読了しました。路 (文春文庫)吉田 修一文藝春秋 吉田修一といえば、芥川賞受賞作の「パーク・ライフ」など、巧みな心理描写で人生を描き出す作家というイメージを持っていました。パーク・ライフ (文春文庫)吉田 修一文藝春秋 「路(ルウ)」は台湾新幹線の受注から完成までの10年近い日々を描いた長編で、読み始めた当初、奮闘するサラリーマンの物語なのかなと思い、やや退屈な感を覚えました。 しかし読み進むうち、そこはさすがに吉田修一と思い知らされました。 新幹線を売り込む商社に勤める若い女性と、台湾人で日本の建築会社に勤める男との淡い恋、女性の日本人の恋人の鬱病発症、台湾で生まれ育ち、戦後日本に引き上げた老人の鬱屈、台湾人同士の恋物語などが重層的に綴られ、大団円に向かってそれぞれの人生が交差していく、感動的で切ない叙事詩に仕上がっており、非常な感銘を受けました。 変形的なメリー・ゴーラウンド方式の手法を採った作品で、私は圧倒されました。 私は優れた小説を読む...
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ひろくさびしき

業務多忙だと憂鬱になるのは、何も私が精神障害を患っているからだけではありますまい。 誰だって忙しいのは嫌でしょう。 多忙のなかにこそやり甲斐があると言っても、それは限度があります。 暇なのも時間が経たなくて苦痛です。 真、人というものはわがままに出来ているようです。  命一つ 身にとどまりて天地(あめつち)のひろくさびしき 中にし息(いき)す 窪田空穂の和歌です。窪田空穂歌集 (岩波文庫)大岡 信岩波書店 命の器でしかない肉体を詠って壮大です。 その壮大さを思う時、私はおのれの小さな感情に恥じ入るばかりです。  小さな肉体に閉じ込められて世の片隅で生きるしかない私たち。 私たちはその宿命を呪いながらも、呪うばかりではなく、幸福を求めずにはいられません。 そのような人類全体、いや生命全体を貫くどうしようもない運命を嘆かずにいられない精神とは、如何なる構造になっているのでしょうね。にほんブログ村 人気ブログランキングへ
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茶器

職場の警備員から、妙なことを頼まれました。 焼き物が趣味だとかで、満足いく出来の茶碗が3つほどあるので、お茶の師匠をやっている私の母に見てもらいたいというのです。 私は母が茶道の先生をやっているなんて、職場で話した覚えが無いのですが、飲み会の席か何かでぽろっと言っちゃったんでしょうね。 それを伝え聞いた警備員から茶碗を預かったというわけです。  こんな感じです。 私は茶道具に関しては全くの素人ですが、素人目ではなかなか良く出来ているように感じます。 果たして母が何と言うか。   で、今日これから実家に行かなければならなくなりました。 8月13日に墓参りに行ったばかりなのですが、自分を頼ってこられると断れないという厄介な性格が災いして、素人の茶碗を母に見せるという面倒ごとを引き受けてしまいました。 まぁ、そんなにけなされることは無いとは思いますが。
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