文学 永遠の0
久しぶりに長い小説を読みました。 「永遠の0」です。 永遠の0 (講談社文庫)百田 尚樹講談社 正直、私の言語感覚から言うと、美しい文章ではありませんでした。てにをはも変でしたし。 それでも、読ませる力技は見事なものでした。 これがエンターテイメントの力かと思いました。 お話は、特攻隊で亡くなった祖父の人となりを追って、孫の姉と弟が当時の知りあいを訪ね歩き、祖父の零戦乗りとしての生活を知って行くという単純なものです。 ある人は臆病者と罵り、ある人は海軍一の操縦士と誉めそやします。 いずれにしろ、祖父は当時としては珍しく、軍国主義の風潮に染まることなく、堂々と、家族のために生きて帰りたい、と口にするのです。 その一方、零戦は太平洋戦争当初、無敵の怪物でしたが、末期にいたって米国は零を凌駕する飛行機を作り、特攻を行う頃にはもはや老兵でした。 しかし祖父は、あまたの同僚や部下を戦闘で失ううちに心が変わったのでしょうか、家族のために生きて帰ると露骨には言わなくなります。 司令部において、特攻は多く、経験の浅い学生あがりが命じられてきましたが、ついに、日中戦争の頃から敵機と渡り合い、10年近くも...