文学

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死と桜

予報では、今日の首都圏は23度ほどにも気温が上がるとか。 桜もいよいよ見ごろというわけです。 これは花見に出かけなければなりますまい。 しかし連日の送別会で疲れた肝臓に昼酒は禁物。 それなら近場で酒肴打ちそろえての、花が目的なんだか酒が目的なんだかわからない花見は止して、ちょっと足を伸ばして上野か靖国・千鳥が淵あたりを散策するのが上策というもの。 花見というと浮かれたように見えますが、桜は狂い咲き、狂い散るその様から、生き死にの在り様を否が応でも考えさせる、怖ろしい花でもあります。 国文学者にして民俗学者の折口信夫(おりくちしのぶ)は、歌人、釈迢空(しゃく ちょうくう)として、独特の句読点を用いた歌を多く残しています。 人も馬も 道ゆきつかれ 死ににけり。 旅寝かさなるほどの かそけさ 道に死ぬる馬は、仏となりにけり。 行きとどまらむ 旅ならなくに ちょっと読みにくいですが、私は桜の季節、このような不吉な歌を思い出しては、慄然とします。釈迢空歌集 (岩波文庫)富岡 多惠子岩波書店 私の友人に、この人を神のように崇めている者がありました。 「死者の書」などの小説も書いていて、独特の文体が...
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桜が咲き始めたようです。 桜を見ると、今年も生きて桜を見ることができた、という気分になるから不思議です。 まだ高齢というわけでもないのに。 桜の狂的な力が、そんな不思議な感慨を呼び起こすのでしょう。 ねがはくは 花のもとにて 春死なむ そのきさらぎの 望月の頃 おそらくわが国で最も愛吟されている歌ではないでしょうか。 言わずと知れた、西行法師のあまりにも有名な歌です。山家集 (岩波文庫 黄 23-1)佐佐木 信綱岩波書店 西行全歌集 (岩波文庫)久保田 淳,吉野 朋美岩波書店 西行法師は春の死を望みましたが、私は死の季節である冬に、ピリピリと冷たい空気の中、死神に連れて行かれたいと願っています。 死の季節に死ぬるのは、道理にかなっているように思います。 職場は4月の人事異動がオープンになり、浮足立っている感じです。 私は研究協力担当部署から、総務担当部署に異動が決まっています。 今日の午後、後任と引継、3月31日の午後、前任と引継の予定です。 心ざわつくこの時季に狂乱の桜が咲き乱れ、散り乱れるとは、奇妙なシンクロニシティを感じます。 あるいは、それを狙ってわざと会計年度や学年暦の変更が...
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黒王妃

久方ぶりに長編小説を読みました。 中世ヨーロッパを舞台にした作品を多く手掛ける佐藤賢一の快作、「黒王妃」です。黒王妃佐藤 賢一講談社 夫の死以来、黒い服しか着なくなった王妃、カトリーヌ・ド・メディシスを主人公に、カソリックとプロテスタントが激しく対立し、時には内乱にまでなる16世紀を舞台に、主人公と夫との愛、夫の愛人との暗闘が描かれ、さらに夫亡き後、少年の息子が即位してからは政治の実権を握って暗躍するさまが、スリリングに描かれています。 わが国で言えばちょうど戦国時代にあたる時代で、ヨーロッパでは様々な王国、公国が乱立し、さらにプロテスタントとカソリックの争いがからんでとんでもないことになっちゃっています。 いずこの国も領土や資源欲しさにもっともらしい理由をつけて殺し合いを演じた時代があるのですねぇ。 カトリーヌ・ド・メディシスといえば、サン・バルテルミの虐殺が知られています。 フランスで、カソリックがプロテスタントを大量虐殺した事件ですが、それも彼女が主導したと言われています。 もっとも、黒王妃は長いこと両者が平和裏に共存する社会を目指す宥和政策を採ってきました。 その王妃がプロテス...
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精霊(しょうろう)

今日は精霊の日なんだそうですね。 なんじゃそりゃ、と思ったら、柿本人麻呂、和泉式部、小野小町の忌日が今日だから、なんだそうです。 ますますなんじゃそりゃ、という感じですねぇ。 ちなみにしょうろうのひと読むそうで、要するに死者を悼む日ということでしょうか? 3人とも著名な歌人というのが面白いですね。 柿本人麻呂という人は歌聖とも言うべき人で、私は敬して遠ざけるよりほかありませんが、和泉式部と言う人の歌は面白いと思います。 のどかなる 折こそなけれ 花を思ふ 心のうちに 風は吹かねど あぢきなく 春は命の 惜しきかな 花ぞこの世の ほだしなりける とりあえず春の歌を2首。和泉式部日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)川村 裕子角川学芸出版 小野小町のような暑苦しさは感じられず、春の切ない心情を詠いながら、どこかドライな印象を受けますね。 小野小町は絶世の美女と伝えられますが、和泉式部は容貌に関しては冴えないおばちゃんというイメージがあります。 また、「源氏物語」の作者、紫式部と大層仲が悪かったとも伝えられます。 才気走ってどこかドライな感じがする和泉式部を、ロマンティストの紫...
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異動?

大分春めいてきました。 なんとなく、心が騒ぎます。 今年が今の部署で3年目なので、異動の可能性が高いためと思われます。 それにしても勤め人というもの、3年かそこらで紙切れ1枚がでて、どんな畑違いの部署へでも行かなければならないとは、因果な商売です。 それしか飯の種がないのだから、愚痴っても仕方ないことではありますが。 今の部署ではもう3年過ごしているので、業務に精通しており、残れば楽なのはわかっていますが、同時に何が面倒で何が問題かもよく分かっています。 そうなると、残るのもなんだか面倒です。 私は飽きっぽいので。 おそらく内示は3月19日か20日だと思いますが、それまで、心が騒ぐでしょうねぇ。にほんブログ村 人気ブログランキングへ
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