文学

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十になる子の酒の燗

今宵もまた、懲りもせずウィスキーのロックを傾けています。 こんなに毎夜酒を喰らっては体に毒だと思いながら、気が付くとグラスに琥珀色の液体を注いでいます。 できれば週に2日くらい空けたいのですがねぇ。 酒くさき 鼓うちけり けふの雪 やっぱり酒といえば冬。 勢い、酒と雪を同時に詠んだ句は座りがよろしいようで。 芭蕉の弟子、其角の句です。 ロシアなど寒い国では、酒の消費量も多いようですね。 逆に暑い風土のインド人はあまり飲まないとか。 また北極圏とかになっちゃうと酒を造ることがそもそもできないんだそうで、寒さをしのぐ最良の術が無いとは気の毒です。 酒と風土は切っても切り離せませんね。 アラブ人はかつては酒を飲んでいたようですが、イスラム教の普及により、飲まなくなったとか。 するとちょうどその端境期にあった呑んべえは、さぞかし苦しんだでしょうねぇ。 アル中一歩手前の私に、これから日本国民は全員イスラム教に改宗するから、今後一切酒を飲むなと言われたら、地獄の苦しみでしょうから。 初雪や 十になる子の 酒の燗 これも其角の句。 2人の娘に恵まれ、たいそう子煩悩だったと伝えられる俳人らしい、微笑ま...
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ピグミーの恋

45年以上も前、昭和42年に三島由紀夫はエッセイで、近頃はピグミーの恋が跋扈している、と嘆いています。 その意味するところは、障害を乗り越える強さも持たず、忍ぶ恋の焦燥や高潔をも知らず、むやみとくっついたり離れたりしてばかりいる、やれやれ、といったところかと想像します。 人は易きに流れがちですからねぇ。 また、かつて色恋沙汰は破廉恥とされ、親が決めた相手と結婚するのが普通だったため、親の意向に逆らって恋を貫こうとすれば、必ず障害を乗り越えなければならず、また恋は忍ぶものだったことでしょう。 高度経済成長真っ盛りの昭和40年代前半、にわかに恋愛を謳歌する若者が溢れかえり、それは当時の中年からみれば、破廉恥にも見え、安易にも見えたのでしょう。 でもそれは、中年文学者の美意識には抵触するにせよ、多くの若い男女にとって、楽しいことだったに相違ありません。 ピグミーの恋が薄っぺらく見えたとしても、本人たちは本気だったでしょうし、二人の恋が美的であるかどうかなんて、創作者では無い者にとって、どうでも良いことです。 今はさらに進んだかといえばそうでもなく、草食系だの絶食系だのが溢れかえり、ピグミーの...
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過ちて改めざる、是を過ちと謂う。 「論語」にある言葉です。 全くそのとおり、としか言いようがありません。論語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)谷口 広樹角川書店 このような易しい教えに満ちた「論語」こそ、道徳の教科化にあたって、その柱にすべき、大中華帝国の偉大な教えであろうと思います。 ついでに、現在のレッド・チャイナの人々も再び学びなおすべきでしょう。 人は自己の過ちを認めたがらないもの。 世に尊敬を集める人でも、ちょっとした過ちを隠そうとして、にっちもさっちもいかないものです。 現代社会では、過ちを犯した場合、それを素直に認め、改善策を講じれば、それほど責められることはないものです。 しかしえてして、過ちを糊塗しようとしてさらに嘘をつき、その嘘をさらに強化しようとしてまた嘘をつく、地獄のような循環に巻き込まれた時、組織であれ個人であれ、真なる破滅を迎えるものと思います。 夢野久作という、今では忘れ去られてしまったかのような感がある戦前の作家が、「少女地獄」と言う佳品を残しています。 誰からも好かれたいと願う若い看護婦が自殺するところから物語が始まり、残され...
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埋火

今日からやっと職場の暖房が入りました。 体が楽ですねぇ。 うづみ火や 我かくれ家も 雪の中 私が敬愛する与謝蕪村の冬の名句です。 私はこの句を、古今東西のあらゆる句の中で、最も偏愛しています。 職場に暖房がついて、この句を思い出しました。 まだ雪は先の話ですが、寒さに弱い私には、すでにしっくりくる感じです。 他に蕪村の句で、 埋火や 終には煮ゆる 鍋のもの という、こちらも冬籠りの心地良さを詠んだものがあります。 こちらもなかなか良い感じ。蕪村俳句集 (岩波文庫)尾形 仂岩波書店 同じ埋火という季語を使っても他の俳人だとこうはいきません。 埋火も 消ゆや涙の 煮ゆる音 こちらは俳聖、松尾芭蕉の句。 なんだか湿っぽくてもう一つです。芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)雲英 末雄,佐藤 勝明角川学芸出版 埋火の 夢やはかなき 事ばかり 正岡子規の句です。 これは近代人らしい懊悩が感じられて、それはそれで良いですが、必ずしもわが国の伝統に合致しているとは言えません。子規句集 (岩波文庫)高浜 虚子岩波書店 冬は日の出が遅くて日の入りは早い、平たく言えばお日様を拝める時間が短いわけで...
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選ばれてあることー孤独な女優ー

堀北真希と言えば、なかなかの人気女優で、20代半ばになりますが、清純派のイメージを保っています。 毒気を放つのが魅力の吉高百合子や沢尻エリカとは大きく異なります。 私は毒気を放っている女優のほうがお好みですが。 しかし、堀北真希、テレビ局員に聞いた苦手な女優ランキングで1位に選ばれてしまいました。 演技でしか彼女を知らない私には、不思議な結果に感じられます。 テレビ局員の話では、堀北真希という女優、とにかく愛想がなくて近寄りがたく、硬い性格なんだとか。 話しかけるなオーラがびんびん出ているそうです。 林真理子との対談で、基本的に外出はしない、というか行く所がなく、そのために服を買っても着る機会がないので買い物もしないとか、酒は好きだが他人と飲むのは嫌なので両親と自宅で飲むだとか、恋愛に関しては、興味はあるが外に出ないから無理、人づきあいが苦手だし1人でも楽しいから無理、と20代半ばの女性、しかも華やかな芸能界で生きてきた人とは思えないネガティブ発言を連発していました。 あるいは芸能界で生きてきたからこそ、なのかもしれませんねぇ。 14歳でスカウトされてすぐにテレビドラマに出演し、数々の...
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